子育てアラフォー専業主婦が老後に備える方法~iDeCoのメリットをやさしく解説
LIMO / 2020年10月17日 18時0分
子育てアラフォー専業主婦が老後に備える方法~iDeCoのメリットをやさしく解説
子育てに忙しい40代専業主婦。子供の教育費を優先して、自分の老後対策は後回しの方も多いかもしれません。
夫婦で3,000万円の老後資金が必要といわれる中、注目されているのが個人型確定拠出年金「iDeCo(イデコ)」です。扶養範囲内のアラフォー主婦が、iDeCoで安心な老後に備える方法をシミュレーションしていきます。
専業主婦は公的年金をいくらもらえる?
夫が会社員などの第2号被保険者の場合、扶養範囲内の妻は第3号被保険者に該当し、65歳から国民年金を受け取ることができます。
厚生労働省の「平成30年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、男性の厚生年金受給額は平均で月16万3840円、女性の国民年金受給額は平均で5万3342円。夫が会社員で妻が専業主婦の場合は、合わせて22万円弱となります。
60歳で定年退職し、65歳から年金を受け取るとすると、その間の5年間は公的年金の収入がありません。また、高齢になると医療費などもかさむため、一般的には夫婦で3,000万円の老後資金が必要といわれています。
専業主婦でも、iDeCoのメリットはある?
専業主婦は、iDeCoをやる意味がないという専門家もいますが、老後はどんな人にも平等に訪れるもの。夫の定年退職金を1,000万円と仮定、残り2,000万円の老後資金を貯めるには、20年間毎月6万円を積み立て、年利3%で運用する必要があります(金融庁の「資産運用シミュレーション」で試算)。
子供の教育資金や住宅費に加え、夫の給与だけで2,000万円を用意できるでしょうか? 目標金額から逆算すると、夫婦で協力して準備した方が効率的でしょう。
ここでは40歳の専業主婦が、iDeCoで毎月2万円を積み立てる場合のメリットについて検証していきます。
①運用益が非課税
通常、運用益には20.315%の税金がかかりますが、iDeCoでは非課税となります。運用利回りによりますが、20年間で約10~70万円お得になります。
②受取時に一定額まで非課税
iDeCoは原則60歳以降に、1)一時金、2)年金、3)一時金と年金の併用(一部の金融機関のみ)のいずれかの方法で受け取れます。
なかでも人気なのは「退職所得」扱いができる一時金だそうです。年金受取より税額控除額が大きいためです。
退職所得の金額は(収入金額-退職所得控除額)× 1/2で計算され、退職所得控除額は、
40万円 × 勤続年数(勤続年数20年以下の場合)または
(勤続年数-20年)× 70万円+800万円(勤続年数20年超の場合)
となっています。
iDeCoの積立は、収入金額=一括受取金額、勤続年数=iDeCo加入期間として計算されます。したがって運用利回りによっては非課税、年利5%でも税金は1万6550円に抑えられます。
ただ、iDeCoの一時金を受け取った前年以前14年以内など、一定条件下で会社から退職金をもらう場合は、収入金額の合算、勤続年数の算出が複雑になるので注意が必要です。
年金として受け取る場合は、公的年金と合算の上、雑所得として扱われます。雑所得は総合課税の対象で、給与所得など他の収入と合算した額に応じて税率が決まるのですが、たとえば65歳未満の年金受取がiDeCoだけなら、108万円(公的年金控除額60万円+基礎控除48万円)まで非課税となります。
③所得税・住民税を節税できる?
結論から言うと年収によります。下の図表3を参考にしてください。
積立金額はいくらにすればいい?
専業主婦は、毎月5,000円~2万3,000円(1,000円刻み)で積み立て可能です。1万円以上、できれば拠出限度額2万3,000円の積立をおすすめします。毎月の口座管理手数料が最低でも171円かかる一方、専業主婦は所得控除のメリットがない場合があるからです。
積立額が5,000円の場合、単純計算で171円÷5,000円=3.42%以上の利益を出し続けないと、手数料負けする可能性があります。この場合は少額投資非課税制度「つみたてNISA」を利用した方がよいかもしれません。
iDeCoとつみたてNISAの比較は、『まだ間に合う? 40代おひとりさまの老後資金をモデルケースで検証』(https://limo.media/articles/-/18996?page=2)(P2)の図表をご参照ください。
おわりに
iDeCoのメリットは、節税効果だけではありません。つみたてNISAでも老後資金の準備は可能ですが、iDeCoの方が年齢に合わせた資産配分の変更が簡単です。また60歳まで引き出せないからこそ、老後の資産形成に向いているといえます。パート収入から老後資金を積み立てるなど、さまざまな工夫をして老後に備えたいものです。
【参考資料】
「平成30年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況(https://www.mhlw.go.jp/content/000578278.pdf)」(厚生労働省年金局)
「NISA特別ウェブサイト 資産運用シミュレーション(https://www.fsa.go.jp/policy/nisa2/moneyplan_sim/index.html)」(金融庁)
「平成30年就労条件総合調査 結果の概況(https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/jikan/syurou/18/dl/gaiyou04.pdf)」(厚生労働省)
「タックスアンサーNo.2732 退職手当等に対する源泉徴収(https://www.nta.go.jp/m/taxanswer/2732.htm)」(国税庁)
「タックスアンサーNo.1600 公的年金等の課税関係(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1600.htm)」(国税庁)
「平成25年1月1日以降の退職所得に対する住民税の特別徴収について(https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_zeisei/czaisei/65871.html)」(総務省)
「個人型確定拠出年金 節税メリットシミュレーション(https://www.jis-t.kojingata-portal.com/about/setsuzei2.html)」(JIS&T)
「手数料(口座管理料)で比較(https://www.dcnenkin.jp/search/commission.php)」(iDeCoナビ)
外部リンク
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