本当は「Don’t Go To」?地元民が旅行客を受け入れたくないわけ
LIMO / 2020年11月14日 16時45分

本当は「Don’t Go To」?地元民が旅行客を受け入れたくないわけ
Go Toトラベル事業は、withコロナの時代における「新しい生活様式」に基づいた旅のあり方を普及し、そして定着させる目的で誕生した取り組みです。
国内旅行を対象とした宿泊・日帰りの旅行代金の半額相当が支援されるとして、費用を抑えて旅行したい人から注目されています。
旅行業を営む経営者にとって客足が増えることは喜ばしい反面、県外からの旅行客を素直に喜べない地元民の葛藤もあるようです。
そこで今回は、筆者の地元で問題視されている「Go Toトラベル問題」のひとつをご紹介します。
旅行客を素直に喜べない地元民
旅行客が増えれば地元の経済が活性化し、住民に良い影響を与えるのはいうまでもありません。
しかし、Go Toトラベル事業は国を挙げての取り組みであるにもかかわらず、筆者が住む地域では「なんでそんなキャンペーンするのか」「また県外者がたくさん来ている」などとマイナスに捉えている人も少なくありません。
地元住民が気にしていることはただひとつ。「県外からの旅行者によって新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が持ち込まれてしまうのではないか」ということです。
筆者の県は全国の中でも感染者が少なく、三密を避けたりマスクの着用を徹底したりと、住民たちのCOVID-19対策への心がけも強いと感じています。
また、少子高齢化が進んでいることもあり、お年寄りの割合も非常に高い地域です。せっかく住民全体がCOVID-19対策をしているというのに、Go ToトラベルでCOVID-19が持ち込まれるのではないかと懸念する声があちこちから聞こえてくるのです。
Go Toトラベルに反対しているのは「母親」が多数
筆者は3人の子どもを育てていますが、同じ母親たちが口を揃えて言うのは「Go Toトラベル反対」の意見です。
幼い子どもを持つ母親たちは、子どもがCOVID-19に感染してしまうことだけではなく、自分自身が感染してしまうことをもっとも恐れている印象を受けます。
母親がCOVID-19に感染してしまえば、一体誰が子どもの面倒を見るのでしょうか。今まであまり感染者を出さなかった県であるからこそ、COVID-19に感染したときの対処法を具体的に考えられないという家庭も多く存在しています。
実際に、筆者も幼い子どもを抱える母親として、週末になると観光名所に向けて溢れるような人混みを目にすると、正直「大丈夫かな…」と不安がよぎってしまうのです。
経済を回すことも大切ですし、歴史ある旅館業を守っていくことも大切です。しかし、仕事をこなしながら幼い子どもを必死に育てている母親の目線で考えると、やはり「まだ旅行キャンペーンは早いのでは?」と感じてしまいます。
医療機関が少なすぎる地方
地方住民がGo Toキャンペーンを懸念する大きな理由は、地方における「医療機関の充実度」にあります。
都会に比べて医療機関が少ない地方では、COVID-19が一気に感染拡大したときの受け皿がありません。
医療機関だけではなく、感染者の滞在先として使用されているホテルや民宿なども少ないことから、地方でCOVID-19の感染者が急激に増加してしまうと「医療崩壊」は避けられそうにありません。
医療機関の数が少ないことは、旅行客ではなく、日々そこで暮らしている地元住民が痛いほど感じていること。
筆者の知人に医療従事者がいますが、やはりGo Toトラベルには否定的な意見を持っています。「都会から地方にCOVID-19を持ち込んでも、持ち込んだ本人は気付くこともない。でも、そこから医療崩壊まではあっという間に進んでいくもの」と心配していました。
Go Toトラベル公式サイトでマナーを身に付けよう
ここまでは、筆者の住む町で聞こえてくるリアルな声をお届けしました。
しかし、国としても「旅行・観光・宿泊業の復興」はもっとも力を注いで成し遂げたい取り組みであり、地方経済活性化のためにも欠かせないキーポイントでもあります。
「Go Toトラベルなんて廃止すべき!」と考えている地方住民の多くは、Go Toトラベルが行なっている感染予防対策についての詳細や事業者に課されている取り組みなどを把握していない場合も少なくありません。
「COCOA(COVID-19接触確認アプリ)を活用すること」「間隔をあけること」「飲食直前までマスクを着用すること」「お土産は触らずに見て選ぶこと」など、Go Toトラベル公式サイト(https://goto.jata-net.or.jp/info/2020091001.html)では、感染リスクを避けて旅を楽しめるように細かな対策がまとめられています。
基本的に、どのような取り組みでも、賛成の人もいれば反対の人もいるでしょう。Go Toトラベルに対する厳しい意見もまだまだ聞こえてきますが、観光者は節度ある行動を心がけたいですね。
一方で地元住民も、旅行客に「訪れてくれてありがとう」の気持ちを持てたなら、お互いに気持ちのいい関わりを持てる日が来ることでしょう。
参考
『「新しい旅のエチケット」と「新しい旅のルール」』Go To トラベル事務局(https://goto.jata-net.or.jp/info/2020091001.html)
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