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「介護離職」を避けるために、はたらく世代が知っておきたい4つの制度

LIMO / 2020年11月20日 15時5分

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「介護離職」を避けるために、はたらく世代が知っておきたい4つの制度

みなさんは、家族に介護が必要となったとき、今の仕事と両立することはできますか?

多くの人は、NOと答えるのではないでしょうか。

「働き続けるにしても、今のままの勤務体制では厳しい」このように感じる人も多いはずです。

介護をするために仕事を辞めることを「介護離職」といいます。これを防ぐためにも、事前の対策や、使える制度を知っておくことはとてもたいせつです。

そこで今回は、介護離職の現状や、介護を理由として離職を決めてしまう前にぜひ知っておいていただきたい制度をご紹介します。そして、はたらき続けるために、一人一人ができることについても考えていきましょう。

「介護で仕事を辞める人」年間9万人以上

総務省の「就業構造基本調査(https://www.stat.go.jp/data/shugyou/2017/pdf/kgaiyou.pdf)」(2017年)によると、過去1年間で「介護・看護のため」に前職を離職した人は約9万9000人にも及ぶことがわかりました。

内訳をみると、男性が約2万4000人であるのに対して、女性が約7万5000人と、男女で3倍の差ついていることも判明しました。

「介護離職ゼロ」を目指す、国の制度

2015年(平成27年)、安倍前首相が、アベノミクスの第2ステージへの移行を宣言した際、「介護離職ゼロ」を目標の1つとして掲げました。(※1(https://www5.cao.go.jp/keizai1/abenomics/abenomics.html))(※2(https://www.mhlw.go.jp/topics/2016/01/dl/tp0115-1-02-02p.pdf))

「介護サービス基盤の確保」や「介護人材の確保」、「介護する家族の相談機能強化・支援体制の充実」「介護に取り組む家族が介護休業・介護休暇を取得しやすい職場環境の整備」などを具体例として挙げたのです。

これらを踏まえ、知っておくと役に立つ、国がおこなっている対策や制度を見ていきましょう。
※2015年以降「育児・介護休業法などが改正」、2021年1月にも改正予定(※3(https://jsite.mhlw.go.jp/osaka-roudoukyoku/var/rev0/0110/3021/2.pdf))(※4(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000130583.html))

はたらく人が知っておきたい、4つの制度

ここからは厚生労働省の資料(※5(https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/suishin/meeting/wg/hoiku/20190412/190412hoikukoyou02.pdf))をもとに、ぜひ活用していただきたい国の制度をご紹介していきます。

①介護休業制度

休業開始予定日の2週間前までに、書面等により事業主に申し出をすることで、対象家族(要介護者)1人につき3回まで、通算93日を上限に休業できます。

休業中の経済的支援として、一定の要件を満たす人には、介護休業給付金(賃金の67%相当)が最大93日分支給されます。

②介護休暇制度

対象家族(要介護者)1人につき年5日(2人以上の場合は年10日)まで休暇を取得できます。

通院の付き添いや、ケアマネジャーなどとの短時間の打ち合わせにも活用可能です。休暇日は、企業によって賃金の何%かを支給してもらえる場合もありますが、給付金などがないため、有給休暇を使用した方が得な場合もあります。

③所定外・時間外労働・深夜業の制限

月24時間、年150時間を超える時間外労働を制限したり、深夜業(午後10時~午前5時まで)を制限したりする仕組みです。

定められた時間内での労働や、早い時間での終業が可能となるため、介護への参加がしやすくなるでしょう。

④短時間勤務の措置等

介護休業とは別に、以下の4つを3年間で2回以上利用できます。
事業主には、1~4のいずれかの措置を選択して講じることが義務づけられています。

    短時間勤務制度

    フレックスタイム制

    始業・終業時間の繰上げ・繰下げ

    介護費用の援助措置

「中小企業の事業主」が知っておきたい支援制度

はたらく側だけではなく、事業主側にも支援があることで、企業全体で介護休業の取得を勧めやすくなる効果が期待できます。

両立支援等助成金(介護離職防止支援コース)

従業員の介護離職防止や、仕事と介護の両立に関する取組みをおこなった中小企業の事業主に対して、助成金が支給される制度です。(※6(https://www.mhlw.go.jp/content/000696083.pdf))

労働者に介護休業取得、復職をさせた中小企業には57万円(※1事業主あたり、1年度5人まで)の助成金が支給されるしくみです。

介護離職を避けるために、ひとりひとりができること

家族と役割分担をする

介護を1人で担うとなれば、仕事を継続することは困難になります。

勤務時間や勤務体制を変更するなどしても、体力的・精神的負担から、結局退職しなければならない状況に追い込まれることも少なくありません。

同居している家族と役割分担をして負担を軽減するなど、家族内でのお互いのサポートは欠かせないでしょう。

施設などの利用を検討する

仕事と在宅介護を両立することはとても大変です。

「できるだけ家で面倒をみてあげたい」「まだ施設に入所するほどではないかな…」などと、介護サービスの利用をためらっているケースもあるのではないでしょうか。

施設には入所だけでなく、日中だけ通いで介護を受けられるデイサービスや、1日単位(1か月につき連続で最長30日まで)で泊まることができるショートステイなどもあります。こうした介護サービスをじょうずに活用していくことも1つの手といえるでしょう。

再就職は簡単ではない場合も・・・

介護でいったん仕事を辞めた後、「親が施設に入所したため再就職しよう」「親が亡くなってしまったから再び働きに出よう」と考える人は多いかと思います。

しかし、再就職を望んでも、年齢がネックとなり職探しが困難を極めたり、仕事へのブランクから入社を断られたり、ということも少なくありません。

現状、再就職ができない40代~60代の人も多いと言われています。

親などの介護に直面したとき、仕事を辞めるという決断よりも、まずは、今の職場で働きながら介護ができる制度を利用したり、外部の介護サービスを利用したりすることを検討していかれることをおすすめします。

さいごに

「介護離職」は、誰にでも起こりうる問題です。今後、高齢者の増加に伴って、ますます私たちにとって身近な問題となっていくでしょう。

自分が介護を担う立場になったとき、仕事を辞めなくても済むように、家族が元気なうちに話し合っておくことはとても大切です。そして、今回ご紹介した支援体制や制度を知っておくことは、将来の自分自身を助けることに繋がります。

国が掲げる「介護離職ゼロ」の実現はまだまだ先になりそうですが、まずは、自分ができることから始めてみてはいかがでしょうか。

【参考】
「就業構造基本調査(https://www.stat.go.jp/data/shugyou/2017/pdf/kgaiyou.pdf)」(平成29年)総務省
(※1)「安倍内閣の経済財政政策(https://www5.cao.go.jp/keizai1/abenomics/abenomics.html)」内閣府
(※2) 新・第三の矢 安心に繋がる社会保障② 「介護離職ゼロ」に直結する緊急対策(https://www.mhlw.go.jp/topics/2016/01/dl/tp0115-1-02-02p.pdf)厚生労働省
(※3)「育児・介護休業法等が改正されました!(https://jsite.mhlw.go.jp/osaka-roudoukyoku/var/rev0/0110/3021/2.pdf)」(平成29年)厚生労働省
(※4)「子の看護休暇・介護休暇が時間単位で取得できるようになります(令和3年1月1日施行)(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000130583.html)」厚生労働省
(※5)「仕事と介護の両立支援制度について(https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/suishin/meeting/wg/hoiku/20190412/190412hoikukoyou02.pdf)」(平成31年)厚生労働省
(※6)「両立支援等助成金 支給申請の手引き(2020年度版)(https://www.mhlw.go.jp/content/000696083.pdf)」厚生労働省

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