介護費用ってどのくらいかかるもの? 老後の二大不安は「お金」と「健康」
LIMO / 2020年12月4日 12時0分
介護費用ってどのくらいかかるもの? 老後の二大不安は「お金」と「健康」
「老後2,000万円問題」が話題になって以来、今まで以上に老後資金に不安を感じるようになった方も少なくないのではないでしょうか。老後の生活費はもちろん、「もし自分や家族が介護状態になったらいくらかかるのか」と心配になる方もいるでしょう。
将来、どの程度の介護が必要になるかによって介護費用は大きく異なるため一概には言えませんが、おおよその相場を把握しておくと老後の資金計画を立てる際に役立つかもしれません。そこで今回は、調査データをもとに平均的な介護費用について見ていきます。
老後に不安を感じる人が増加
今年10月に松井証券が公表した「老後資金に関する調査」では、「あなたは、老後に不安がありますか」という問いに対し、「不安がある」と回答したのは43.1%、「やや不安がある」が40.5%となっており、全体の8割以上が老後に不安を感じているという結果が出ています。
「老後の何が不安なのか」という質問では、79.5%の方が老後の資金、53.1%の方が老後の健康維持と答えました。
また、メットライフ生命が実施した「老後を変える 全国47都道府県大調査2020」では、新型コロナウイルスによって「老後不安が増えた」という方は48.7%と、約半数にものぼりました。
ここでも、老後に対する不安要因は上から順に「お金」「健康」「認知症」と続いており、いずれにおいても「老後資金」と「健康」が老後の二大不安要素になっていることがわかります。
要介護認定は80歳から急上昇
それでは、実際に老後の介護が必要になる方の割合はどれくらいなのでしょうか。男女共同参画白書(内閣府)の「要介護認定者数と認定率(年齢階級別)」から、男女・年齢別の要介護認定率を見てみましょう。
図1のように、男女ともに年齢と比例して要介護認定率が上がっていき、80歳を過ぎると全体の2~3割、85歳を過ぎると全体の4~5割の方が介護を必要とする状態になるようです。
また、厚生労働省の「2019年国民生活基礎調査の概況」では、介護が必要になった主な原因の1位は認知症、2位は脳血管疾患(脳卒中)、3位は高齢による衰弱としています。
介護にかかる費用はどれくらい?
日本人の平均寿命は、医療の進歩などによって年々長くなっています。厚生労働省の「令和元年簡易生命表」によれば、日本人の平均寿命は男性が81.41歳、女性が87.45歳。これが、2050年には男性が84歳、女性は90歳を超えることが予測されているといいます。
80歳以降に介護が必要な状態になる方が増加することを踏まえると、将来的に介護を受けることになる可能性は少なくありません。そうなると気になってくるのが、「どれくらいの費用がかかるのか」ということではないでしょうか。
次に、生命保険文化センター「平成30年度生命保険に関する全国実態調査」をもとに、介護にかかった費用の平均額を見てみましょう。
一時的な費用の平均は69万円
同調査によると、介護費用(公的介護保険サービスの自己負担費用を含む)のうち、介護ベッドを購入したり、家を介護向けに改造したりするなどして、一時的にかかった費用の合計金額は平均「69万円」となっています。
図2のように、「掛かった費用はない(15.8%)」「15万円未満(19.0%)」と、比較的費用がかかっていない割合が高いものの、なかには100万円以上かかっているケースもあり、ある程度の備えがあったほうが安心と言えるでしょう。
毎月かかる費用は平均7.8万円
また介護が始まると、デイケアの利用やおむつ代などの費用が継続的に必要になりますが、そうした費用の1カ月の平均は「7.8万円」となっています。一般的な家庭では、なかなか負担の大きい金額ではないでしょうか。
ただ、この金額はあくまでも平均額ですので、要介護度(要支援1~2、要介護1~5)によっても大きな差があることに注意が必要です。たとえば、重度の介護が必要となる要介護4では月平均9.9万円、要介護5では10.4万円となっており、毎月高額な費用がかかっているケースも多いことがわかります。
同調査では過去3年間に介護経験がある方に対して、介護を始めてからの期間(介護中の場合は経過期間)についても調査しており、介護期間の平均は54.5カ月(約4年7カ月)でした。
仮に、これらの平均値をもとに計算してみると、介護の一時的な費用(69万円)+月額費用(7.8万円×54.5カ月)で、介護費用は合計494万円ほどかかる計算になります。
おわりに
将来介護が必要になるのか、どれくらい費用がかかるのか、正確なことはそのときになってみないとわかりません。しかし、わからないからといって何の準備もしていないと、もしものときに困ったことになってしまうでしょう。
健康なときに老後の資金計画を立ててみても、その健康が失われたときのことは想像しにくいかもしれません。しかし、80歳を過ぎると介護が必要になるケースが増えること、平均寿命が延びていることを考えると、いずれ自分も介護が必要になる可能性は少なくないはずです。
老後の資金計画を考えるときには生活費や遊興費などに意識が行きやすいのですが、介護費用についてもしっかりと考えていきたいものですね。
【参考】
・「老後資金に関する調査(https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000132.000019241.html)」(松井証券株式会社)
・「老後を変える 全国47都道府県大調査2020(https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000233.000005541.html)」(メットライフ生命保険株式会社)
・「男女共同参画白書 平成30度版 要介護認定者数と認定率(年齢階級別)(https://www.gender.go.jp/about_danjo/whitepaper/h30/zentai/html/zuhyo/zuhyo01-00-43.html)」(男女共同参画局)
・「令和元年簡易生命表(https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/life/life19/dl/life19-02.pdf)」(厚生労働省)
・「2019年 国民生活基礎調査の概況 Ⅳ介護の状況(https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa19/dl/05.pdf)」(厚生労働省)
・「平成30年度 生命保険に関する 全国実態調査(https://www.jili.or.jp/research/report/pdf/h30zenkoku/2018honshi_all.pdf)」(公益財団法人 生命保険文化センター)
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