見逃しがちな老後の大きな出費。「知らなかった」では済まない!
LIMO / 2021年1月3日 8時5分
見逃しがちな老後の大きな出費。「知らなかった」では済まない!
「老後2,000万円問題」を始め、いまだ収束が見えない新型コロナウイルスの感染拡大など、将来が不安になるような経済状況が続いています。そんな中でも「今までしっかり準備してきたから大丈夫!」という方もいるでしょう。
しかしながら、老後の資金計画については今一度見直してみたほうが良いかもしれません。というのも、長く会社に勤めて定年を迎えた方たちに話を伺うと、「ある出費」を見逃していたというケースがとても多いのです。
しっかりと老後資金を準備していても、想定外の大きな出費があると当初の計画が崩れてしまいかねません。そこで今回は、安心して老後を迎えられるよう、見逃しがちな老後の出費について改めて確認していきたいと思います。
会社勤めが長い人が見落としがちな出費とは?
数十年間勤め上げ、ようやく自分の時間がゆっくり取れるようになる定年退職。しばらくは読む時間がなかった本でも読んで自宅でのんびり過ごそうか、長めの旅行にでも行こうかと、いろいろと夢は膨らむことでしょう。
しかし、筆者が出会った方々の中には、理想の老後を叶えるべくコツコツと準備してきたにもかかわらず、「定年後の健康保険料や住民税の存在を忘れていた」という方が多数いました。自分で確定申告をする自営業の方や、日頃から税金や保険料をしっかりと確認している方は、「それを忘れるの!?」とびっくりするかもしれませんね。
筆者も驚きましたが、「健康保険料は会社と折半」「給与天引きで納付まで会社が済ませてくれる」という状態が長かった方の中には、給与の手取り額しか見ておらず、保険料や税金に意識が向いていなかったというケースが少なくないようです。
または、定年後に保険料や税金が全額自己負担になることは知っていても、会社と折半していた頃と大差ないだろうという曖昧な理解でいたために、「こんなに健康保険料が高いと思わなかった…」という方もいました。
いくらかかる? 健康保険料や住民税のシミュレーション
老後資金の計画を立てる際に健康保険料や住民税の存在を忘れていると、定年初年度から老後の計画が大きく崩れる恐れがあります。
というのは、健康保険の保険料や住民税には、前年の収入によって金額が決定する「所得割額」があるため、定年前に役職に就いていたなどで給与額が高かった人は金額が高額になるからです。
「高額になる」と言われてもピンとこない方のために、定年後に国民健康保険に加入した場合の保険料をシミュレーションしてみましょう。シミュレーションの条件は、以下のように設定します。
東京都江戸川区に居住
加入者数2人、ともに60歳
前年の給与所得額は夫600万円、妻が0円(被扶養者)
加入者数を2人としたのは、国民健康保険には被用者保険と違って「扶養」の概念がなく、世帯全員が加入する必要があるためです。
「江戸川区国民健康保険料シミュレーション(https://www.city.edogawa.tokyo.jp/edg/simulation/keisan_kokuho.html)」を使い、この条件で保険料を計算してみると、世帯年間保険料の見込み額は83万5,140円になります(2020年12月時点)。
この金額を単純に12カ月で割ると1カ月あたりの保険料額は6万9,595円ですが、国民健康保険料は6月~翌年3月の10回払いで納付するため、1回あたりの納付額は8万3,514円になります。
さらに、ここに住民税が加わると、年間の納付額は100万円を超えることになるでしょう。初年度にこれほどの想定外の出費があると、かなり負担も大きいのではないでしょうか。
インターネット上では、市区町村などが健康保険料や住民税のシミュレーターを公開していますので、ぜひ老後の資金計画を立てる際には活用しましょう。居住する市区町村によって金額が異なる場合があるので、必ず自分の居住地域のシミュレーターを利用してくださいね。
確定申告も忘れずに!
会社勤めが長かった人がもう1つ忘れがちなのが「確定申告」です。会社勤めの間は、会社が税金の計算から納税まで代行してくれましたが、定年後はすべて自分でやらなければなりません。
つい面倒に思いがちですが、きちんと確定申告をすれば納めすぎた税金が還付されたり、健康保険料や住民税の金額が下がったりすることもあるので忘れずに行いましょう。なお、年金収入のみで、年間収入400万円以下の場合は「確定申告不要制度」が利用できるので、興味がある方はそちらも確認しておきましょう。
確定申告に必要となる源泉徴収票や生命保険料控除証明書などは、大切に保管しておいてくださいね。
おわりに
会社勤めが長く、健康保険料や住民税の給与天引きに慣れていたという方の中には、「定年後の健康保険料や住民税の存在を忘れていた」という方が多くいました。
日常の忙しさから離れ、ほっと一息できる正月休み。「老後の準備は完璧!」と思っている方や、「まだまだ老後は先で実感がない…」という方まで、今一度将来の資金計画を見直してみてはいかがでしょうか。
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