月の生活費、いくらが普通? シングルマザーが「普通の生活」に感じるザワつき
LIMO / 2020年12月30日 20時15分
月の生活費、いくらが普通? シングルマザーが「普通の生活」に感じるザワつき
『「普通の生活」東京の子育て世帯でいくら?⇒30代で月54万必要です。(労組団体試算)』…。12月半ば、こんな記事タイトルが目に止まりました。東京地方労働組合評議会の試算によれば、「東京在住・30代・子ども2人の4人世帯」の場合、「普通の生活」をするのにかかるのは月54万円とされています。
この月54万円という金額に、心がザワついた人もいるのではないでしょうか。30代でシングルマザーの筆者も、その中のひとり。この調査をもう少し詳しく読み解きながら、「普通って何」ということについて考えます。
月54万円の内訳は?
上記の試算は、「正社員の夫・扶養内で働く妻・公立小学校と私立幼稚園に通う子ども2人」の家族をモデルケースとして行われています。
練馬区の43㎡前後の賃貸に住み、ひと月の家賃は9万5千円、食費は約11万円(1人1食300円、飲み会は月1回で3500円)、行楽地へのお出かけは月1回8000円、教育費は約2万8000円…等々を積み上げると月に54万円、年間で約650万円が必要ということになります(税・社会保険料込み)。
なお、この記事の元となった「東京都最低生計費試算調査結果」を見ると、年収については2019年の厚生労働省『賃金構造基本統計調査』(東京都分)の平均をもとに、「30代夫:月収(所定内給与額)35万円、一時金(賞与その他特別給与額)105万円、年収525万円 」と計算されています。
月50万円を「普通」に感じる?
上記の記事に対し、SNSでは「高過ぎ」「どこの上級市民?」「実感に合ってる」「質素な試算」「子ども2人で43㎡前後は狭い」「普通って何?」など、さまざまな意見がみられました。
「東京都最低生計費試算調査結果」という名称を見て分かる通り、これが東京で生活するには最低必要とされる金額のようです。実際の調査では練馬区の他に八王子市でも試算されており、八王子市では住居費6万2500円、食費10万9833円、教育費2万8417円…等で月の費用が約50万円です。
都内でも場所によって住居費が大きく変わる一方、その他の部分はさほど変わりません。額面なのか手取りなのか、また都内でも練馬区か八王子市かで試算から受ける印象は異なります。それでも30代の4人世帯で「普通」に生きるためには、月50万円程度は必要なことがわかるでしょう。
生きている限り「普通」は何度も変わる
ここで考えてしまうのが、SNSでも度々見られた「普通って何だろう?」です。
学生時代、「週末は家でお昼過ぎまで寝て、ドラマや漫画を見てこもっているのが大好き」という友人もいれば、「土曜は必ず買い物やカフェ巡りをして、月1回は小旅行が普通」という友人もいました。個人に落とし込むと暮らし方はここまで違うものなので、2人それぞれにかかる費用に差があるのは容易に想像できます。
筆者も、これまでの人生を振り返ると、何が「普通」かは何度も変化してきました。乳幼児~高校生までの生活と、大学生で1人暮らしをしながらバイトをする生活、独身で社会人の生活、結婚後夫婦だけの生活、育児中の生活、そしてシングルマザーの生活では、お金の使い方も、働き方も、日々の過ごし方や選ぶ物も異なります。
社会全体を見ても「普通」の変化を実感します。今の30代が子どもの頃は、「会社員の父と専業主婦の母、子どもは2人、持ち家、車あり」が一般的でした。30年後の今は共働きが主流であり、子どもは1人というケースも多いもの。それどころか「結婚しない」「子どもを持たない」という選択肢も増え、それも珍しいことではなくなっています。
このように、個人であれ社会であれ「普通」は何度も変わりゆくもの。そしてずっと普通が続く人もいれば、思わぬことで普通から外れることも珍しくありません。それはコロナ禍を見てもわかるでしょう。生きている限り変化を避けることはできないため、私たちは「普通」が変わることに慣れる必要があるともいえるのではないでしょうか。
「普通」は自分で変えることもできる
普通は自分次第で変えることもできます。たとえば、「シャンプーはサロンで購入した2000円のものが普通」だった独身時代から、結婚して「家族共有で500円が普通」の生活に変えていくように。
また、シングルマザーになった筆者の場合、以前はポイントの活用やメルカリなどのフリマアプリ、中古店、副業、少額からの投資などは「普通」ではありませんでした。今はそれら駆使することでお得に感じたり、利益を得る方法をさらに模索することが「普通」になってきています。
結婚・出産すると、金銭感覚も、生活も、働き方も、時間の使い方も、すべてが変わります。そして離婚してからも、また生活は変わっていきます。ただ、大変なのは変わる前後。人間ですから、しばらくは前の生活を懐かしんだり、比較してしまうこともあるでしょう。
そういった心のザワザワにも次第に慣れ、「自分にとっての普通」が変化し、それがマイペースとなって暮らすようになります。ただ、子育てをするうえでは、ニュースなどを見ることで「世間の普通」を知っておくことも大切だと感じています。
個人的には、シングルマザーになってからの「普通」の変化より、独身時代と1人目出産後での変化の方が大きいと感じました。あの経験があったからこそ、その後の「普通」の変化にも対応できるようになったように思います。
【参考資料】「東京都最低生計費試算調査結果(http://www.chihyo.jp/oshirase/data/shiryo-shosai.pdf)」(東京地方労働組合評議会)
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