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2021年の中国~成長に向けてギアアップ <HSBC投信レポート>

LIMO / 2021年1月5日 9時0分

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2021年の中国~成長に向けてギアアップ <HSBC投信レポート>

中国は、新型コロナウイルスの健康危機とその経済的打撃からの回復速度において、間違いなく世界の他の国々を上回っている。パンデミックの封じ込めに比較的迅速に成功したこと、早期の景気刺激策の導入により、予想よりも早く生産活動が正常化したことで、中国の輸出が世界市場でシェアを拡大し、「感染症の影響を早く受け、早く脱出」した恩恵を受けている。

中国の景気回復は、製造業と投資が先行してけん引し、その後、ここ数ヶ月は出遅れていたサービス業や消費が拡大する、という2段階を辿っている。中国は2020年にプラス成長(+2%前後)を記録する唯一の主要経済国となる可能性が高く、2021年には成長率が長期トレンドを上回る+8.0%程度に加速すると予想される。

中国経済はすでに第2四半期に生産高/GDPでコロナショック前の水準に戻っており、2020年末までにほぼパンデミック前の「成長路線」に戻る態勢が整うことになる。

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今後は消費とサービスが成長を主導

2021年に向けては、投資から個人消費へ、製造業からサービス業へ、また投資においてはインフラ・不動産投資から製造業の設備投資へと成長のけん引役がシフトしていくと予想される。個人消費は、雇用市場の改善と家計所得の回復に支えられるだろう。

新型コロナワクチンの普及が中国の経済活動の正常化に及ぼす影響は限定的であろうが、ウイルスの影響を最も受けやすい対人/消費者向けサービス部門の完全な回復には必要と見られる。

輸出は好調を維持する可能性大、米中間の緊張緩和と域内貿易の拡大が追い風に

世界的に生産の回復が勢いを増したとしても、有効なワクチンの普及が広がり、2021年には世界経済が本格的な回復局面を迎えることで、中国の輸出は好調を維持すると予想される。同時に、新型コロナウイルス対策グッズや巣籠り商品需要は今後数ヶ月でピークを迎え、個人消費は(商品から)サービスへとシフトする可能性が高いと見ている。

米バイデン政権下での米中貿易関係は、より冷静で予測可能なものとなり、貿易紛争に関する多国間ルールに基づく協調的なアプローチが採られることになりそうだ。バイデン氏が米国経済に損害を与えると判断したトランプ氏の中国をターゲットとした措置(関税引き上げなど)が、今後、一部修正されたり、解除されたりする可能性がある。

しかし、バイデン氏は当初国内問題に焦点を当てる可能性があること、国有企業(SOE)への補助金、公正な貿易取引、市場アクセス、強制的な技術移転、知的財産権保護などの構造的な問題に対する厳しい姿勢への超党派的な支持を考えると、米国の関税や技術制限の即時または大幅な変更はありそうもない。

米国は今後も中国を戦略的競争相手とみなし、米国の先端技術へのアクセス制限を維持する可能性が高いが、共通の関心分野(気候変動、パンデミックのコントロールなど)では中国と協力するだろう。貿易摩擦は緩和方向に傾くことが見込まれる。一方、新たに署名された地域包括的経済連携(RCEP)協定により、中国は地域経済協力をさらに強化し、ASEANとのサプライチェーン構築に向けた投資を拡大するだろう。

金融政策の正常化と財政の健全化、的を絞った支援と調整されたアプローチが継続

急速な経済成長の回復から、当局は2021年に緊急の金融/財政支援を漸減させることが見込まれ、それに伴い金利の緩やかな正常化、信用の伸びの鈍化、不動産や金融規制に対するよりタカ派的トーンへのシフトが予想される。パンデミックと債務返済猶予で、中断されていたデレバレッジや債務整理に、より高い優先順位が与えられる可能性がある。

とはいえ、来年3月に期限を迎える中小企業(SME)向け融資の返済猶予政策など、デフォルトリスクを注視した上で、ターゲットを絞った緩和策や流動性支援は継続されることが見込まれる。また、信用の差別化がより重視されているとしても、システミックリスクの顕在化を防ぐことが重要な政策目標であることに変わりはない。

足元のインフレ率はマイナス圏にあり、供給サイドの要因が緩和されたことによる食料・豚肉価格の下落から、2021年は2020年よりも更に低下する可能性がある。コアインフレ率は、サービス消費が徐々に正常化する中で、小幅に持ち直すと予想されるものの、低水準にあるインフレ率は政策支援の突然の終了をサポートするものではない。

政府はまた、企業部門の救済措置や公共投資の支援(対家計への限定的な財政移転)に焦点を当てた、反循環的な財政刺激策(例:一時的な税・手数料の救済・免除)の一部を段階的に廃止する可能性がある。

財政の健全性確保は、消費と民間投資に向けた成長のリバランスを促進するのに役立つだろう。2021年には、財政赤字と地方政府の特別債発行割当の削減(および1兆元の新型コロナウイルス対策特別国債の発行はなし)が予想されるが、緊縮財政は見込まれない。内需拡大に向けた、より多くの政策と改革努力が期待される(例:主要な経済成長のドライバーとしての「都市化2.0」)。

第14次5ヶ年計画と「双循環」開発戦略の効果的な実施に注力

生産性の向上と長期的な成長の可能性を高めるために、政策当局は構造改革により重点を置くことが見込まれる。第14次5ヶ年計画では「固有の技術とイノベーションの推進」、「国内(消費)需要の拡大・高度化」、「高品質でよりバランスの取れた持続可能な成長の追求」に重点が置かれている。

また、「双循環」戦略では、「一帯一路イニシアチブ(開発/プロジェクトの質を重視した)」を含め、開放を推進し続けながら、自給率の改善と競争力の強化に重点を置いている。

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