「ふざけんな」発言のサイゼリヤ、国内事業赤字の苦境
LIMO / 2021年2月3日 19時5分
「ふざけんな」発言のサイゼリヤ、国内事業赤字の苦境
政府高官の昼間の飲食自粛要請に、「ふざけんな」と発言したと報じられたのがサイゼリヤ(7581)の堀埜一成社長。そのサイゼリヤ、2021年8月期第1四半期は黒字を維持していますが、コロナ禍で国内事業は赤字に転落しており、海外事業の黒字に助けられている状態です。
格安イタリアンで成長したサイゼリヤの近年の業績は、どのような状態なのでしょうか。
サイゼリヤ社長の発言が注目される
新型コロナウイルス第3波による感染者急増を受け、東京都などで緊急事態宣言が発出される中、西村経済担当相がランチも含めて極力外出を控えるようにと呼びかけたのが1月12日の記者会見。これにサイゼリヤの堀埜社長が反発。“ふざけんな”という発言が報道され話題となりました。
この発言が飛び出したのは西村大臣会見の翌日1月13日、同社の2021年8月期第1四半期決算発表会見の席でのことです。苦境に陥っている飲食業界からは共感の声が出ていることも報じられましたが、コロナで苦しいのは同社も同じ。その国内事業の落ち込みを見ると堀埜社長の危機感も理解できます。
第1四半期の営業利益は対前年同期比▲80%減に
まず、サイゼリヤの2021年8月期第1四半期(Q1)の決算と、過去2期のQ1決算での業績を見てみましょう。
2021年8月期Q1:売上高328億円、営業利益3.7億円、経常利益4.5億円、四半期純利益2.5億円
2020年8月期Q1:売上高381億円、営業利益19億円、経常利益22億円、四半期純利益13億円
2019年8月期Q1:売上高383億円、営業利益19億円、経常利益20億円、四半期純利益13億円
上記のように同社の今期Q1は黒字を維持しています。しかし営業利益は対前年同期比▲80%減の3.7億円。過去は約20億円の利益水準だったことからすると、コロナ禍でのサイゼリヤの苦戦が如実に現れています。
ちなみに、2020年8月期通期の売上高は1,268億円、営業利益▲38億円、経常利益▲21億円、当期純利益▲35億円という結果でした。
国内店舗網整理の成果が出始めていたが
コロナ禍前の2019年8月期に、サイゼリヤは国内不採算店舗の大規模なスクラップアンドビルドを行っています。格安イタリアンの先駆者として全国に店舗を広げた同社ですが、少子高齢化による人口減少もあり国内店舗網の見直しを余儀なくされていました。
その結果、2020年8月期の上半期(9-2月)には、既存店売上高が対前年同月比で100%を超える月が3カ月となるまでに回復。しかし、国内店舗網の整理に一定の目処が立ちつつあるタイミングでコロナ禍に見舞われることになったのです。
そして迎えた2021年8月期。Q1は全体としては黒字を維持していますが、国内事業は▲9億円の赤字。地域別の営業利益は日本▲9.0億円、豪州1.9億円、アジア12億円と、海外部門の利益で黒字を維持している格好です。
なお、前期2020年8月期の地域別営業利益は国内▲56億円、豪州0.2億円、アジア18億円で、国内事業は既に通期で赤字となっていました。
赤字の国内事業の行方
数字的に同社の最適解は、国内事業を最低限に留めて海外事業に注力することでしょう。しかしそれは国内店舗のさらなる縮小に繋がります。
同社はまだ自己資本比率が66%あるため(2020年8月期)、海外部門の黒字と合わせ、外食企業の中でもまだ体力に余裕がある状態です。ただし生き残りのためには、他の外食チェーン店で既に発表されているような国内店舗削減をさらに進めざるを得なくなるかもしれません。
お手頃価格のエスカルゴなど格安イタリアンを国内に広め急成長を果たしたサイゼリヤは、コロナ禍で赤字部門となった国内事業をどのように立て直すのか。今後の業績及び国内店舗数の推移が注目されます。
参考資料
株式会社サイゼリヤ「2021年8月期第1四半期決算短信〔日本基準〕(連結)(https://www.saizeriya.co.jp/PDF/irpdf000937.pdf)」
株式会社サイゼリヤ「2020年8月期決算短信〔日本基準〕(連結)(https://www.saizeriya.co.jp/PDF/irpdf000849.pdf)」
株式会社サイゼリヤ「2019年8月期第1四半期決算短信〔日本基準〕(連結)(https://www.saizeriya.co.jp/PDF/irpdf000618.pdf)」
株式会社サイゼリヤ「サイゼリヤ月次報告(https://www.saizeriya.co.jp/PDF/irpdf000931.pdf)」
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