世帯収入の減少予想額は100万円以上。働く主婦の「お金と仕事の不安」
LIMO / 2021年2月19日 11時35分
世帯収入の減少予想額は100万円以上。働く主婦の「お金と仕事の不安」
新型コロナウイルスの感染拡大で、世界中で生活スタイルが大きく変化した2020年。旅行業や運輸業、飲食、レジャー分野など、企業収益が急速に悪化した業種もあります。勤め先によっては世帯収入がかなりダウンしたというケースもあるでしょう。
ワクチン接種が各国で開始されている今、事態好転の期待感が高まってはいますが、感染収束に時間がかかるのは必至。そのため、現段階では景気のV字回復は期待できません。
そうした中、働く主婦層を対象にしたアンケートでは、今年の世帯収入が減少すると考えている主婦が半数に迫るという結果が出ています。
半数近くが「今年の世帯年収は昨年より減る」と回答
主婦に特化した人材サービス「しゅふJOB」(運営:ピーススタイルグループ)。その調査機関「しゅふJOB総研」は2021年1月、世帯年収に関するアンケートを実施しました(対象:しゅふJOBパート登録者、既婚者のみ、有効回答数:618)。
同調査によると、2021年の世帯年収が昨年と比べて増えるか減るかを聞いた質問では、49.2%が「昨年より減りそう」と回答。「変わらなそう」は34%で、「昨年より増えそう」と答えたのは8.1%に留まります。
このように、半数近くの働く主婦が、2021年は混乱を極めた昨年よりも苦しい家計になりそうだと危機感を感じているようです。
また、世帯年収の増減予想額に関する設問では、減少すると答えている人の予想平均額は107万円。月額にして約9万円も収入が減るということになります。
その一方、増えると答えた人の予想平均額は73万円と月額にして6万円程の増加を見込んでいるなど、減収世帯の方が多いものの、コロナ禍の直撃を受けない世帯があることもうかがえます。
パートの掛け持ち、転職は難しい
雇用情勢も厳しい状況が続いています。厚生労働省が1月29日に発表した昨年12月の新規求人は72万2181人で、前年同月比18.6%減少。前年を下回るのは12カ月連続です。
一方、同日発表の総務省の労働力調査によると、12月の完全失業率は季節調整値で2.9%と前月比横ばい。しかし「完全失業率は横ばいだが、就業者数は減少、完全失業者数は増加しており、いずれも悪い方向」との認識が示されています。
特に新型コロナによるダメージが大きい観光業や飲食業、レジャー関連産業では、勤務先の存続が危惧されるなど深刻な状況になっています。筆者の周辺でもこうした業種に務めている女性たちがいますが、シフトの減少などに直面して転職やパートの掛け持ちを検討しています。
しかし、子どもを持つママたちにとって、日中働ける仕事や働きやすい環境の職場は人気が集中するため、求人枠の取り合いとなり思うように事が運ばない様子。
中には、「先行きが厳しいのなら転職しようと思っても、競争率が高まっている中で今の職場を辞める勇気はない」とこぼす人もいます。一方、コロナ禍の直撃を受けていない職種は安泰なのかというとそうとも限りません。
比較的安定している職場で働く筆者の身内のひとりは、人手不足でも会社は新規採用に慎重になっていると教えてくれました。
「景気が悪い状態が長引けば遅かれ早かれ影響が及ぶかもしれず、積極的に動けない」というのが本音とのこと。コロナ禍による影響の大きさに関係なく、どの業種でも雇用情勢が不透明さを増し、思うような仕事探しができなくなってきているのは確かです。
ローンや保険契約の見直しも必至
また、正社員で働いているものの収入が減少した、あるいは派遣契約が更新されない、パート勤務のシフト変更で勤務日数が減ったなど、この1年で激変した主婦の方は少なくないでしょう。
予想もしていなかった家計の変化が起きると、家のローンや子ども教育費にかかわる進路変更などについて、真剣に検討する必要が出てきます。
経済状況が好転したとしても、すぐに収入が回復することは望めません。世帯年収がどの程度減りそうなのか、複数の予想を立てて固定費の支払いや保険契約を見直す必要があるかもしれません。家計でのお金の流れを把握することは平時でも重要なことですが、今回のような緊急時ではなおさら大切なことでもあります。
災害が起きるとメディアでは度たび、「自分は大丈夫」と考える正常性バイアスが働いてしまう事例が取り上げられます。昨年から続くコロナ禍は巨大災害級の出来事であり、私たちの生活が根本的に変わる事態となりました。
減収が免れそうにないのなら「何とかなるさ」と考えず、事態を悪化させないための手段をパートナーと話し合うことも念頭に入れておくべきでしょう。
不景気の傷跡は長く残る
近年の日本ではバブル崩壊、リーマンショックが大不況の原因となりました。いずれも回復するまでに長い時間がかかり、「就職氷河期」や「派遣切り」などの言葉が生み出されました。こうした過去を教訓に、早めに対策を講じることは今を生きる私たちにとって必要なことなのかもしれません。
参考資料
「働く主婦に聞く、2021年の世帯年収はどうなる?(https://www.bstylegroup.co.jp/news/shufu-job/news-25322/)」(しゅふJOB総研/ビースタイルグループ)
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