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来年から高校の授業に「資産形成」 政府が躍起になる子どもへのマネー教育

LIMO / 2021年2月23日 12時35分

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来年から高校の授業に「資産形成」 政府が躍起になる子どもへのマネー教育

文部科学省が2022年度から高校の授業に「資産形成」の内容を導入し、金融庁が職員を学校に派遣して授業を行うなど、日本でも若年層へのマネー教育が推奨され始めました。

お金にまつわるゲームやクイズが体験できる小学生向けサイトも金融庁に開設され、事業者による子ども向けマネーセミナーも活況です。国を挙げて進める「子どもへのマネー教育」の現状や取り組みを紹介します。

若年からの金融教育が必要な時代に

欧米では学校でも家庭でも幼い頃からお金に関する知識を身に付けさせ、資産形成や金銭的自立を積極的に促します。ところが日本では成人であっても資産形成に対する意識の薄さが目立つため、政府が積極的に国民の金融リテラシー教育に取り組み始めています。

ただ、海外と違い日本では金融に関する学校教育がほとんど行われていなかったため、浸透させるのはなかなか難しいという指摘もあります。そこで注目されたのが、小さい頃から金融知識を自然に身に付けられる「子どもへのマネー教育」です。

小学校からお金に関する授業が行われている欧米とは異なり、日本では子どもがお金の話をするのは好ましくないという風潮もあって、子どもへのマネー教育は遅れていました。

ところが現在では人生100年時代を迎えるための資産の備えや、情報技術の進展で登場した新たな金融サービスへの知識が必要となってきたのです。2022年に成年年齢が18歳へと引き下げられることもあり、若年からの金融教育が重要との認識も高まりました。

高校の社会・家庭科の授業に「資産形成」を導入

若年期からお金に関する正しい知識を学ぶためのマネー教育施策として、文部科学省は2022年度から高校の新学習指導要領に「資産形成」の内容を組み込んでいます。

具体的には、公民科と家庭科に株式や投資信託といった金融サービスに関する内容が導入されたのです。電子マネーなどのキャッシュレス決済や仮想通貨、金融商品のリスクとリターンなど、具体的な題材も取り扱います。

金融の専門知識がない教師も多いのではという指摘もありましたが、そこは金融庁がサポートを担当します。同庁の職員が学校に出向いて生徒に「出張授業」を行うのをはじめ、教材づくりや教師を対象にしたセミナーを実施して手助けします。

金融庁ではこれまでも職員が講師となり、資産形成などについて教える「出張授業」に注力。国立大学付属の小学校や中学校、高校で生徒に教えたり、日本銀行などとも連携し大学で金融リテラシー講座を開講したりしてきました。今後はこうした出張授業を公立や私立の学校にも拡充する考えです。

金融庁などがお金にまつわるゲームやアニメのサイトを開設

金融庁は日本銀行や財務省とも連携し、小学生向けにお金にまつわる豆知識やゲームを紹介するサイトを開設しています。お金の流れや価値、日本の財政や税金についてクイズやゲームで学んだり、ネット上で日本銀行の建物を巡り歴史や仕事内容を確認できたりするバーチャルツアーなどが楽しめます。

政府や日本銀行、地方公共団体などで組織する金融広報中央委員会の金融サイト「知るぽると」にも、キッズコーナーが設けられています。

お金をめぐる各種アニメをYouTubeで視聴できるのをはじめ、お金の使い方、仕組み、銀行、税金、景気などを学べるコーナーがあり、クイズも楽しめます。中学生・高校生向けコーナーでは、クレジットカードや契約に関するルールに加え、金融経済用語についてもわかりやすく解説しています。

子ども向けのマネーセミナーや体験型スクールも人気

キッズ向けのマネーセミナーや体験型スクールを手がける事業者も増えています。親が幼児や小学生の子どもと一緒にマネー教育を楽しめるプログラムもあり、早くから子どもにお金について学んで欲しいと思っている親に需要があるようです。

日本子どもの生き抜く力育成協会の「キッズ・マネー・スクール」は、子どもが店長になって商品の仕入れや陳列、集客、売り上げや利益の確保などについて学べたり、クレジットカードや電子マネー、携帯ゲームなど“見えないお金”について知ったりできる体験型学習を提供。

幼児から中学生向けまでの各種カリキュラムを手がけ、楽しむだけでなく、働いてお金をもらう大変さやお金の大切さがわかる内容になっています。

学校や自治体への出張講座も行うイー・カンパニーが運営する「キッズ・マネー・ステーション」もおこづかいや金銭の管理から始まり、投資、キャッシュレス、為替などのワークショップを展開しています。

幼児から高校生までを対象にした各種講座でお金や社会の仕組みを教えるとともに、将来に向け「自立する力」を養わせることが目的です。親向けにも、家庭で実行できるマネー教育や教育費の準備に関するアドバイスを提供しています。

また、最近は子ども向けのマネー本もたくさん出版されています。ほとんどの本は未就学児、小学校低学年~高学年、中学生、高校生というように年齢・学年別に分かれていて、低年齢向けではマンガ版もあります。

人気キャラクターの「ドラえもん」がお金の誕生や仕組みについて解説する本などは、子どもも喜んで手に取ってくれそうです。

学年が進むとクラウドファンディングや仮想通貨、保険、投資、起業などが登場する本も多いため、大人にも役立ち、楽しめるのではないでしょうか。

まとめ

子どもへのマネー教育はお金を儲けるためではなく、お金の重要性や仕組みを知って社会性を身に付けてもらうことが目的です。

金融広報中央委員会の調査によれば、金融知識が高い人はお金のトラブルを回避できやすいという特徴があるといいます。自立したおとなになるための入り口として、知識や判断力を養えるマネー教育はとても大切といえるでしょう。

参考資料

「安定的な資産形成に向けた取組み(https://www.fsa.go.jp/singi/singi_kinyu/market_wg/siryou/20181116/01.pdf)」(金融庁)
「附属だよりー平成30年7月11日付(http://www.zenfuren.org/shorui/zenfurendayori/zenfurendayori111.pdf)」(全国国立大学附属学校連盟・全国国立大学附属学校PTA連合会)
「新しい学習指導要領・家庭編(https://www.mext.go.jp/content/1407073_10_1_2.pdf)」(文部科学省)
「新しい学習要領・公民編(https://www.mext.go.jp/content/1407073_04_1_2.pdf)」(文部科学省)
「キッズ・マネー・ステーション(https://www.1kinsenkyouiku.com/)」(株式会社イー・カンパニー)
「キッズ・マネー・スクール(https://kids-money.com/)」(一般社団法人 日本子どもの生き抜く力育成協会サイト)

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