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「従業員の奮闘に報いる」ケーズデンキ。絶好調ケーズHDが過去最高益に

LIMO / 2021年2月25日 11時35分

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「従業員の奮闘に報いる」ケーズデンキ。絶好調ケーズHDが過去最高益に

コロナ禍は各方面に影響を及ぼしていますが、小売業では明暗が分かれています。経済産業省の商業動態統計によると、感染第1波で緊急事態宣言が出された昨年(2020年)上期の商業販売額のうち、小売業は全体で前年同期比▲5.3%減、特に百貨店業界は同▲33.1%減という大幅な落ち込みを記録しました。

一方で巣ごもり需要に支えられたホームセンターは+7.5%、家電大型専門店は+3.5%増。郊外型家電量販大手のケーズデンキを運営するケーズホールディングス(以下、ケーズHD)も、コロナ特需の恩恵を受け、2月1日に発表した2021年3月期第3四半期の連結業績(2020年4月~12月)は大幅な増収増益となっています。

「『お客様第一』の実現のための従業員第一」を事業コンセプトの一つとして掲げる同社は、この好調さを支える従業員にどんな還元を行ったのでしょうか。近年の業績とともに見ていきます。

コロナ禍で郊外型の家電量販店に追い風

家電量販店の販売額が増加した要因について経済産業省の経済解析室ニュースでは、「テレワークやオンライン授業の増加によるパソコンやタブレットなど情報家電の好調に加え、特別定額給付金効果もあり、5月以降、生活家電等も復調した」と分析しています。

その家電量販店には、都心部の駅前に立地する都市型大型店舗を擁する「ビックカメラ」などと、「ヤマダ電機(ヤマダホールディングス)」「エディオン」といった郊外型店舗中心の企業があります。

コロナ禍では不要不急の外出自粛要請により都心部での人出が減少したことで都市型は苦戦を強いられましたが、逆に昼間人口が増え、マイカーで買いに行ける郊外型はコロナの影響が相対的に小さかったようです。特に、他の郊外型各社が今期の通期売上高予想を前期比3~7%増と見込むなか、ケーズHDは10%増とするなど、好調さが際立っています。

コロナ特需で躍進、今期は過去最高益を見込む

茨城県水戸市に本社を置くケーズHDは全国に504店舗(2020年3月末時点)を展開しており、FC店舗はわずか4店でほとんどが直営店です。地域別では関東に約150店と重点的に出店していますが、他の地域にはまんべんなく展開しています。

近年、同社は店舗数拡大と共に安定成長を続けました。2018年3月期から2020年3月期までの業績推移は、売上高が6791億円⇒6891億円⇒7082億円、営業利益は307.6億円⇒327.2億円⇒329.9億円、当期純利益は227.1億円⇒238.1億円⇒215.3億円となっています。

2019年3月期はエアコン・冷蔵庫・洗濯機・PCなど幅広い製品の好調が寄与。人件費・広告費の削減も相まって増収増益となりました。

翌2020年3月期は消費増税前の駆け込みが牽引したものの、暖冬などの気候要因によって売上高の伸び悩みも見られました。利益面では長期保証対象製品が予想より増加したことで保証関連の費用が増大し、キャッシュレス化手数料の増加も影響して当期純利益が減益となっています。

2021年3月期は当初、今期予想をコロナの影響で未定としていましたが、コロナ特需によって大幅に業績が拡大。2月1日に発表した通期予想では売上高7800億円(前期比10.1%増)、営業利益481億円(同45.8%増)、当期純利益340億円(同57.9%増)と、過去最高益を見込んでいます。

「コロナ禍での従業員の奮闘に報いる」

冒頭で触れたように、ケーズHDでは「がんばらない経営」と「『お客様第一』の実現のための従業員第一」を事業コンセプトに掲げてきました。そして、この”社員ファースト”の姿勢は、今期の業績急伸の中でも貫かれています。

実際、賃金ベースアップ、6月度特別手当、冬季賞与の増額支給に加え、2月1日発表の業績上方修正では「販売費及び一般管理費につきましては、コロナ禍での従業員の奮闘に報いるため、第4四半期に特別手当の支給を織り込んでおります」と述べられています。

そのため人件費は増加していますが、大幅な増収増益はまさに「従業員の奮闘」のたまものでしょう。従業員にしっかりと還元することが士気を高め、それが顧客サービスの向上やさらなる業績アップにつながる好循環をもたらす原動力になるのではないでしょうか。

上昇と下落を繰り返す株価

最後に同社の株価を見ていきましょう。ケーズHDは2018年1月25日に1,617.5円の上場来高値を付けましたが、業績の鈍化が投資家から嫌われ、2019年2月には1000円を下回る水準まで落ち込みました。

2019年後半に持ち直し、2020年2月には1400円台まで回復しますが、コロナの影響で3月には1000円を割るところまで急落。以降は好調な業績に支えられ、8月には1600円目前まで上昇しました。その後いったん1200円台まで落ち込みましたが、再度上昇し2月は1500円前後で推移しています。

ケーズホールディングスの過去5年の株価推移

(/mwimgs/5/f/-/img_5fbeb39bac0967d4c6f8a19aea3391bc131126.jpg)

拡大する(/mwimgs/5/f/-/img_5fbeb39bac0967d4c6f8a19aea3391bc131126.jpg)

まとめ

コロナ特需で今期業績が大幅に伸びているケーズHD。来期はその反動が来る可能性がありますが、中期経営計画では2024年3月期の目標売上高を8000億円としています。今後はコロナ前のペースに戻って店舗数を拡大し、安定成長を続けられるのか注目です。また、業績がどう転じるにせよ、「従業員第一」の姿勢は持ち続けてもらいたいものです。

参考資料

「2020年上期小売業販売を振り返る(https://www.meti.go.jp/statistics/toppage/report/archive/kako/20201009_1.html)」(経済産業省 経済解析室ニュース)
ケーズホールディングス 2019年3月期決算短信〔日本基準〕(連結)(https://ssl4.eir-parts.net/doc/8282/tdnet/1699520/00.pdf)
ケーズホールディングス 2020年3月期決算短信〔日本基準〕(連結)(https://ssl4.eir-parts.net/doc/8282/tdnet/1829265/00.pdf)
ケーズホールディングス 2021年3月期第3四半期決算短信〔日本基準〕(連結)(https://ssl4.eir-parts.net/doc/8282/tdnet/1924636/00.pdf)
ケーズホールディングス 2019年3月期決算説明資料 中期経営計画説明資料(https://ssl4.eir-parts.net/doc/8282/ir_material_for_fiscal_ym/63869/00.pdf)
ケーズホールディングス 2020年3月期決算説明資料(https://ssl4.eir-parts.net/doc/8282/ir_material_for_fiscal_ym/80411/00.pdf)
ケーズホールディングス 2021年3月期第3四半期決算説明資料(https://ssl4.eir-parts.net/doc/8282/ir_material_for_fiscal_ym/94625/00.pdf)
ケーズホールディングス 2021年3月期通期業績予想の修正に関するお知らせ(https://ssl4.eir-parts.net/doc/8282/tdnet/1924638/00.pdf)
企業理念(https://www.ksdenki.co.jp/company/vision/)(株式会社ケーズホールディングス)

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