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教育費が世帯年収に占める割合はどのくらいか。家計に重い大学進学

LIMO / 2021年3月18日 12時35分

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教育費が世帯年収に占める割合はどのくらいか。家計に重い大学進学

文部科学省が発表した令和2年度学校基本調査(確定値)によると、大学・短期大学の進学率は58.6%、大学のみの進学率は54.4%で過去最高となりました。親世代と異なり半数以上が大学に進学するわけですから、教育費の負担を重く感じる家庭も多いことでしょう。

日本政策金融公庫では、64歳以下の男女、かつ高校生以上の子どもを持つ保護者を対象に「令和2年度 教育費負担の実態調査結果」を実施。高校入学から大学卒業までの教育費や世帯収入などの調査結果が出ています(有効回答数4,700人、各都道府県100人)。どのような内容なのか見てみましょう。

高校~大学にかかる教育費用は965万円

高校入学から大学卒業までに子供1人当たりにかかる費用は、入学時にかかる費用と授業料などの在学費用を累計すると高校3年間で246.2万円(前年調査248.7万円)。

大学に入学するとこれに718.9万円(同690.4万円)が加わり、高校入学時から大学卒業までにかかる費用の合計は965.1万円。前年調査(939.1万円)から約26万円増加という結果になっています。

進路によって大きく違う費用

高校卒業後の入学先別に見た高校入学から大学卒業までの教育費用は次の通りです。高校費用は共通ですが、その後の進路によって入学費用・在学費用にはかなり開きがあります。

高専・専修・各種学校:557.8万円(高校費用246.2万円、入学費用50.4万円、在学費用261.2万円)

私立短大:658.2万円(高校費用246.2万円、入学費用58.2万円、在学費用353.8万円)

国公立大学:783.2万円(高校費用246.2万円、入学費用77.0万円、在学費用460.0万円)

私立大学文系:949.7万円(高校費用246.2万円、入学費用95.1万円、在学費用608.4万円)

私立大学理系:1,109.2万円(高校費用246.2万円、入学費用94.2万円、在学費用768.8万円)

このように、私立大学の場合は入学費用に100万円近くかかっています。つまり、入学時期に合わせてまとまった資金を準備しておかなければならないというわけです。

また、在学期間が私立短大であっても、1年単位でみると在学費用は約180万円。トータルでの費用は4年制大学よりは安く済むとはいえ、一時期かなり大きな負担になると言えます。

世帯収入に対する在学費用の割合は平均15.9%

在学費用には、授業料以外にも通学費用や教科書・教材代、施設設備費などが必要になります。年の近い兄弟姉妹が同時期に大学に在籍する場合は、教育費の負担は相当重くなるでしょう。

では、世帯収入に占める子供の在学費用(子供全員にかかる費用の合計)の割合※はどのくらいかというと、同調査の結果では平均で15.9%(前年調査16.3%)でした。

※世帯年収に占める在学費用の割合=子供全員にかかる在学費用の累計÷世帯年収の累計×100。

また、世帯収入に占める子供の在学費用の割合(以下、負担割合)の分布は、以下の通りです。

10%未満:31.6%

10%以上20%未満:33.9%

20%以上30%未満:18.7%

30%以上40%未満:6.3%

40%以上:9.5%

このように、「10%以上20%未満」が33.9%と最も多く、「10%未満」の31.6%とあわせると約3分の2(65%)の世帯では負担割合を20%以内におさめていることがわかります。

一方で、負担割合「40%以上」の世帯も約1割(9.5%)あり、在学費用が重荷になっている家庭もあることがわかります。

世帯年収の階級別に負担割合をみると?

次に、年収階級別に負担割合をみてみます。

世帯年収200万円以上400万円未満:31.7%

世帯年収400万円以上600万円未満:20.8%

世帯年収600万円以上800万円未満:15.8%

世帯年収800万円以上:12.6%

世帯年収600万円以上の世帯では負担割合が10%台であるのに対し、600万円未満では、「400万円以上600万円未満」世帯が20.8%、「200万円以上400万円未満」世帯の平均負担割合は31.7%と、かなり高い数字になっています。

教育費を捻出するための工夫

では、教育費を賄うためにどんなやり繰りをしているのでしょうか。教育費の捻出方法を聞いたところ、上位5つまでの回答は以下の通りでした(3つまで複数回答)。

第1位 教育費以外の支出を削っている(節約):29.5%

第2位 子供(在学者本人)がアルバイトをしている:21.5%

第3位 預貯金や保険などを取り崩している:20.4%

第4位 奨学金を受けている:18.6%

第5位 残業時間やパートで働く時間を増やすようにしている:11.8%

このように、教育費以外での節約が最も多く、本人のアルバイトや奨学金制度の利用も入っています。預貯金や保険などを取り崩しとあるのは、加入していた学資保険の保険金の利用も含まれていると思われます。

おわりに

子供のためを思うと、教育費は削ることが難しいものです。それどころか、課金ゲームのようにどんどんつぎ込んでしまいがちなお金だといえます。だからこそ、親自身が周りに流されずに、子供の将来を冷静に考えることが大切かもしれません。

子供が社会人になると、目の前には親自身の老後が待っています。そんな現実も踏まえて、教育費にかけられる金額を考えてみてはいかがでしょうか。

参考資料

令和2年度 学校基本調査(確定値)の公表について(https://www.mext.go.jp/content/20200825-mxt_chousa01-1419591_8.pdf)(文部科学省)

令和2年度 教育費負担の実態調査(https://www.jfc.go.jp/n/findings/pdf/kyouikuhi_chousa_k_r02.pdf)(日本政策金融公庫)

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