1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 経済
  4. 経済

コロナ禍で「金融資産が増えた」理由。老後資金の不足を補うものとは

LIMO / 2021年3月20日 11時35分

写真

コロナ禍で「金融資産が増えた」理由。老後資金の不足を補うものとは

「老後2000万円問題」で世間が大きく揺れたのはかれこれ1年半ほど前のことですが、これがきっかけで老後の資金繰りについて考え始めた方も多かったのではないでしょうか。老後生活の心配に加え、昨年からはコロナ禍による現在の生活への不安感も重なり、何かとお金について考える機会は増えています。

そこで今回は、最新の世論調査の結果を元に、金融資産の保有状況と老後における生活資金源に対する意識について解説していきます。

コロナ禍でも「貯蓄ゼロ」世帯は減少?

今年1月に金融広報中央委員会が発表した「家計の金融行動に関する世論調査(2020)※」によると、金融資産非保有世帯の割合は、「単身世帯:36.2%」「二人以上世帯:16.1%」でした。

この世論調査は2007年から毎年行われており、2019年に行われた前回調査では「単身世帯:38.0%」「二人以上世帯:23.6%」でしたので、二人以上世帯では5ポイント以上も「貯蓄ゼロ」世帯が少なくなっています。

また、二人以上世帯における金融資産の保有額は、前回調査では平均値1,139万円、中央値419万円であったのに対し、今回は平均値1,436万円、中央値650万円でした。

一部の多額の貯蓄を保有している人の値に影響されやすい平均値と比べ、より実態に近い値を表すと言われる中央値を見ても、「650万円-419万円= 231万円」と、1年間で貯蓄額が大きく増加したという計算になります。

2020年と言えば、新型コロナウイルスの流行が始まり、日本だけでなく世界中が大混乱に陥った年でしたので、なかにはこの結果には違和感を抱く方もいるかもしれません。もう少し内容を詳しく確認していきましょう。

なお、金融資産とは預貯金や株式などの有価証券、投資信託、生命保険のことで、そのうち預貯金については「運用目的」で蓄えているものと本調査では定義されています。

※2020年調査は、新型コロナウイルス感染拡大を踏まえて、例年と調査時期、調査方法が異なります(①調査時期:例年は6~7月であるが今回は8~9月、②従来の「訪問調査」を取り止め「郵送調査」のみとした)。

金融資産残高が増加した理由

金融資産保有世帯のうち、1年前と比べ金融資産残高が「増えた」と回答した世帯の増加理由をみると、二人以上世帯では、多い順に以下のようになっています。

「定例的な収入が増加したから」(39.9%)

「定例的な収入からの貯蓄割合の引き上げ」(29.9%)

「株式・債券価格の上昇による評価額の増加」(11.4%)

定期的な収入額を自分でコントロールすることは容易ではありませんが、コロナ禍による将来への不安感から財布の紐を固くした人も多かったのでしょう。

また一方では、今年2月には日経平均株価が約30年ぶりに3万円台を回復して大きな話題になりましたが、こうした市場の変化からの恩恵を受けた人も少なくなかったようです。

近年は「つみたてNISA」や「iDeCo(個人型確定拠出年金)」の登場で、少額から株式や投資信託などの金融商品を購入しやすくなっているという点も影響しているのかもしれません。

金融商品の「収益性」を重視する人の割合が増加傾向

さて、金融商品を選ぶ際の基準には収益性・安全性・流動性などがありますが、金融商品の選び方も変化しつつあるようです。

二人以上の世帯において、金融商品を選択する際に「収益性を重視する」と答えた人の割合は19.2%で、2012年の14.5%と比較すると、約5ポイント上昇しました。

いずれの年においても、「安全性を重視する」人が最も多くなっていますが、その割合は2012年41.8%、2017年39.0%、2020年34.6%と年々減少傾向にあります。

とは言っても、将来のお金を増やす手段として金融商品を保有するのであれば、もちろん安全性は確保しておきたい、でも今の収入や貯金だけでは老後の生活が不安だから収益性も…と、悩む方が大半でしょう。

一面的な情報だけを信じるのではなく、自分の投資目的とリスク許容度をしっかりと認識した上で、金融商品を選ぶことが大切です。

「老後も働き続ける」という選択肢

定期的な収入額をいきなり増やすのは難しいことですが、長く働くことで定期収入を得られる期間を延ばすという選択肢もあります。

二人以上の世帯において「老後の生活資金源(複数回答)」について聞いたところ、多い順に「公的年金」(80.8%)、「就業による収入」(49.8%)、「企業年金、個人年金、保険金」(40.5%)となりました。

2007年には「就業による収入」は38.3%でしたので、この10年程で10ポイント以上増加しており、老後に対する意識が大きく変わりつつあることがわかります。取り崩せるほどの金融資産がないので、定年退職後も再雇用制度などを利用してそのまま働き続けざるをえない、と考えている人もいるでしょう。

老後は仕事ばかりで忙しかった生活から解放されて、好きなことに打ち込みながら悠々自適の生活を送るというのがひとつの理想ではありますが、現実はそんなに甘くはないようです。

筆者の父親も昔はよく「定年退職したら毎日釣りをして過ごす」などと言って、定年退職後に引っ越す海辺の近くの住居を探しては母親と言い合いになっていたものですが、実際には定年退職したあとすぐに再雇用されて今も働き続けています。

おわりに

最新の世論調査を元に、金融資産保有状況と老後の生活に対する意識の変化を解説してきました。たった数年の間でも私たちの生活を取り巻く「お金」とそれに対する意識は大きく変化しているようです。

特に、金融商品については巷に多くの情報があふれていますが、さまざまな角度から検討し、自分の生活設計に合う金融商品を選ぶことを心がけてくださいね。

参考資料

「家計の金融行動に関する世論調査(2020)(https://www.shiruporuto.jp/public/data/survey/yoron/pdf/point2020.pdf)」(金融広報中央委員会)

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください