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サラリーマンの「専業主婦優遇」年金保険料は不公平なので廃止しよう

LIMO / 2021年4月18日 18時35分

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サラリーマンの「専業主婦優遇」年金保険料は不公平なので廃止しよう

サラリーマンの専業主婦は、年金保険料を払わなくても老後に年金が受け取れます。これは自営業者の専業主婦との間で大きな不公平になっているので、改めるべきだ、と筆者(塚崎公義)は考えています。

サラリーマンの専業主婦は年金保険料を払わない

日本の公的年金制度は2階建てです。その上に私的年金が乗っかるので、全部で3階建てだと言われていますが、本稿では主に公的年金、それも1階部分の国民年金の話をしましょう。

1階部分の国民年金は、原則として20歳から60歳までの居住者全員が加入します。制度上、居住者は3つのグループに分けられています。

第1号は第2号でも第3号でもない人々で、自営業者等々です。第2号は、サラリーマン(サラリーウーマンや公務員等を含む、以下同様)です。第3号は、サラリーマンの専業主婦(サラリーウーマンの専業主夫を含む、以下同様)です。

第1号は、自分で年金保険料を支払う必要があります。支払わなくても刑罰は受けませんが、老後に受け取れる年金が少なくなったりしますので、ぜひとも払っておくべきでしょう。

第2号は、年金保険料が給料から天引きされるので、自分で支払う必要はありませんし、未払いで老後の年金が受け取れないということもないでしょう。ちなみに、支払うのは厚生年金保険料ですが、これを支払うことによって1階部分の国民年金保険料も支払ったものとみなしてもらえます。

第3号は、年金保険料を支払う必要がありません。配偶者であるサラリーマンが厚生年金保険料を支払ったことで、自分も国民年金保険料を支払ったものとして扱ってもらえるのです。

同じ無職で払う人と払わない人がいるのは不公平

無職の独身者は第1号ですから、国民年金保険料を支払う義務があります。自営業者の専業主婦も第1号ですから、同様です。それなのに、サラリーマンの専業主婦だけが第3号として支払いを免れるのは不公平です。

結婚は金のためだけにするわけではありませんが、金のことだけを考えれば、独身無職者は独身のままでいるよりも、自営業者と結婚するよりも、サラリーマンと結婚した方が得なのです。

これは不公平です。第3号という制度を廃止して、サラリーマンの専業主婦にも国民年金保険料の支払いを義務づけるべきです。独身無職の人や、自営業者の専業主婦は怒りの声を上げるべきです。

もしかすると、独身自営業者も怒りの声をあげるべきかもしれません。今の制度が続くと、独身自営業者は婚活市場における競争条件がサラリーマンより不利になってしまいますから(笑)。

ちなみに、サラリーマンの専業主婦を不公平だと感じている共働きサラリーマンも多いようですが、それは誤解かもしれません。

専業主婦を養なえるのは普通の2倍稼ぐ高所得サラリーマンだろうということだとすれば、高所得サラリーマンは所得が2倍で払う厚生年金保険料も2倍で老後に受け取る年金額も夫婦合計で普通のサラリーマンの2倍です。

国民年金は保険料も老後の年金額も全員同額なのに対して、厚生年金は保険料も老後の年金額も原則として所得比例だからです。

つまり、夫婦合計してみれば、「高所得サラリーマンと専業主婦」と「共働きサラリーマン夫婦」は同じなのです。

「高所得ではない普通のサラリーマンと専業主婦」と「普通のサラリーマンの共働き」を比べれば不公平とも言えるでしょうが、普通のサラリーマンで専業主婦を養うのは大変ですから、そのあたりは目くじらを立てなくても良いのかもしれませんね(笑)。

女性の社会参加を阻害する要因となりかねない

130万円の壁という言葉を聞いたことがあるでしょうか。サラリーマンの専業主婦がパート等で年収130万円以上稼ぐと、サラリーマンの専業主婦とは認められなくなり、第1号として自分で自分の分の国民年金保険料を支払う義務が生じるのです。

そこで、サラリーマンの専業主婦たちの多くは、パートの年収が130万円未満に収まるように、働く時間を調節していると言われています。これが130万円の壁と呼ばれるものです。

これは、大いに働いて稼ぎたいという専業主婦の勤労意欲を阻害するものです。女性の社会進出が求められている現在、働きたくない女性を無理に働かせるわけにはいきませんが、働きたい女性の勤労意欲を阻害する要因を取り除くことは必要でしょう。

マクロ的な労働力需給という観点からも、少子高齢化で労働力不足の世の中になっていくわけですから、働きたい人が働きたいだけ働けるような制度がぜひとも必要です。

第3号の廃止で年金財政も大幅に改善

第3号の制度が廃止されてサラリーマンの専業主婦が第1号となれば、彼らも国民年金の保険料を支払うことになります。そうなれば、年金財政は一気に大幅に改善するでしょう。

日本の年金制度は現役世代が高齢者を支える「賦課方式」となっているため、少子高齢化になると年金財政が悪化してしまうのですが、それを一気に大幅に遅らせることができるのが、第3号制度の廃止なのです。

もちろん、激変緩和措置を講じないと、多くのサラリーマンが生活に困窮してしまうかもしれませんので、そのあたりは工夫が必要でしょう。たとえば現在の第3号は最初は少額の保険料を支払い、次第に増やしていく、といったことでいかがでしょうか。

さて、サラリーマンの専業主婦は、国民年金保険料を払えと言われて困惑するかもしれませんが、そこは発想を転換しましょう。大いに働いて130万円を大きく超える金額を稼ぎ、国民年金保険料を払ってもなお、手取り収入が以前より多くなるように頑張れば良いのです。

もちろん、事情があってそこまで稼げないという人もいるでしょうが、多くの専業主婦は頑張れば大いに稼げるはずです。高度成長期の主婦は子供が大勢いて、電気洗濯機もコンビニ弁当もなかったわけですから、それと比べれば、今の主婦は大いにパートで稼ぐだけの時間的余裕があるはずです。頑張りましょう。

本稿は、以上です。なお、本稿は筆者の個人的な見解であり、筆者の属する組織その他の見解ではありません。また、年金制度等は複雑なので、厳密さより理解の容易さを優先しています。そのため、細部が事実と異なる場合があります。ご了承ください。

<<筆者のこれまでの記事リスト(http://www.toushin-1.jp/search/author/%E5%A1%9A%E5%B4%8E%20%E5%85%AC%E7%BE%A9)>>

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