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小学校の英語・プログラミング教育は格差を招く? 教育改革への不安

LIMO / 2021年4月27日 20時5分

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小学校の英語・プログラミング教育は格差を招く? 教育改革への不安

1年前、全国の多くの小・中学校そして高校で臨時休校という異例の事態になり、3月から5月末までの3カ月間、子どもたちは自学自習をするしかありませんでした。

私立学校を中心に、オンライン形式で子どもたちの学習状況を把握したり、課題を出すなどの対応をする学校もありましたが、全体から見ればごくわずかです。

本来、2020年度は小学校での英語教科化やプログラミング教育など新学習指導要領が本格化し、新しい学校教育が注目されるはずでした。しかし、新型コロナウイルスの感染拡大によって出鼻をくじかれることに。

前例のない事態で仕方がない面はあるものの、大多数の親は教育改革の遅れを不安視しているようです。

教育改革の遅れを案じる親は多い

今年2月、株式会社イー・ラーニング研究所が「2021年 2020年度教育改革並びに新学年に関する調査」を実施(対象:20代~50代の子どものいる親、250人)。

そこで、「教育改革は新型コロナウイルスによって遅れを取っていると感じているか」と聞いたところ、87%の親が「はい」と答えています。

実際、3カ月間にもおよぶ休校措置は、戦後の公教育制度が始まって以来、初めてのこと。前例のない事態に、家庭や学校ではどう対応すればよいか混乱を極めました。

学校が再開された6月以降、様々な行事の中止や夏休み短縮などの対応が功を奏したのか、筆者の子どもたちが通う小学校では初冬の頃に授業の遅れを取り戻し、例年通りのカリキュラムに追いつきました。つまり、表面上は「全て年度内に学習内容を教えられた」ということになります。

とはいえ、子ども本人が勉強した単元を理解し、覚えているかどうかは別問題です。さらに時間的な余裕がなかった分、本来の目玉である英語やプログラミング教育が十分に行き届かなかったのではないかと、多くの親が考えるのは自然なことでしょう。

2020年度からの教育改革への期待値が高かった分、コロナ禍で翻弄された反動もあり「本当に当初の予定通り行われたのか」という不安の声が大きくなるのは無理もないことです。

学校外での学習機会の格差が広がる懸念

2020年度から始まったプログラミング教育は、専門の教科が追加されたわけではありません。既存の教科にプログラミング的な要素、すなわち思考力を鍛えるような内容で授業を実施するということになっています。

学校のパソコン室で授業を行うことはありますが、「アプリを作る」「ロボットを動かす」という、いわゆる習い事のプログラミング教室と同じようなことは多くの公立学校では実施されていません。

一方、英語に関してはスピーキングやリスニング中心で小学5年生から教科として扱われ、成績がつけられます。

小学校低学年では本格的な英語教育が行われるわけではありませんが、ひと昔前に比べて学校外で英語を学ぶ環境も整ってきています。たとえば全国に教室のある公文や学研に通ったり、あるいはタブレット端末でも小学校入学前から英語を学ぶことができます。

こうして以前よりも英語を学ぶ敷居が低くなったため、「小学校で英語が始まるから早めに習わせる」という家庭が増えても何ら不思議ではありません。学校での教育改革に合わせるように学校外での学びの機会を増やす家庭もあれば、そうでない家庭もある、というような分断も起きるでしょう。

経済的な理由や家庭の考え方など様々ですが、2020年度からの新学習指導要領をきっかけに学校外での学習機会の格差が拡大し、「学校で等しく新しい学習を勉強する」という趣旨から逸脱してしまう可能性があることも忘れてはいけないでしょう。

子どもに合わせた学習指導が待たれる

通常、公立小学校では授業の他にも運動会や発表会などの行事の練習を行い、児童の成長を促していきますが、昨年度は臨時休校とコロナ禍により勉強主体の学校運営となりました。

そのため、様々な経験を通して成長するという大切な過程が抜けてしまった印象があります。授業の遅ればかりに注目が集まりますが、コロナ禍以前の学校運営と冷静に比較してみることも必要でしょう。

また、臨時休校時に学習時間を確保するため、塾や家庭教師または通信教材を利用して穴埋めできた家庭と、そうでない家庭に分かれ、学力格差が進むことも懸念されます。

こうしたなか、文部科学省が推し進めている「GIGAスクール構想」に基づき、タブレット端末やノートパソコンを児童生徒1人に1台配布することが進んでいます。今後、経済力に左右されず、子ども1人ひとりに合わせた習熟度別の指導が実施されることを期待したいものです。

参考資料

2021年 2020年度教育改革並びに新学年に関する調査(https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000130.000013831.html)(株式会社イー・ラーニング研究所)

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