国産野菜にこだわるリンガーハット大幅赤字。100億円借入で巻き返しなるか
LIMO / 2021年5月6日 18時35分
国産野菜にこだわるリンガーハット大幅赤字。100億円借入で巻き返しなるか
「長崎ちゃんぽん」や「濱かつ」で知られる株式会社リンガーハット(8200)は、2021年2月期に▲87億円の最終赤字を計上しました。一方で約100億円の借入を実行し、今期は黒字化を図る方向です。
国産野菜たっぷりの長崎ちゃんぽんが食べられ、体に優しい外食店ともいえるリンガーハット。その経営危機に、ホリエモンも「おいしいのに…」と嘆きのツイートを投稿したと報じられましたが、近年の業績はどうだったのか、詳しく見てみましょう。
最終利益が▲87億円と大幅赤字に
多くの外食チェーン店がコロナ禍で苦戦を強いられています。リンガーハットもその例に漏れず、2021年2月期決算で最終利益▲87億円と大幅な赤字を計上。名の知れた企業による大赤字は驚きを持って受け止められました。
同社の過去3期の決算は、下記のように推移しています。
2019年2月期 売上高469億円、営業利益24億円、当期純利益8.4億円
2020年2月期 売上高473億円、営業利益16億円、当期純利益▲2.1億円
2021年2月期 売上高340億円、営業利益▲54億円、当期純利益▲87億円
2022年2月期(予想) 売上高370億円、営業利益4.0億円、当期純利益8.0億円
2019年2月期は20億円を超える営業利益を計上していました。しかし、新型コロナウイルス問題が発生した2020年2月期には、営業利益は黒字ながら店舗の減損により当期純利益は▲2.1億円の赤字。続く2021年2月期は営業利益ベースでも赤字に転落しました。
また、2021年2月期も出店17店に対し128店舗を閉店したほか、収益性の下がった店舗の資産価値を引き下げるなど店舗の減損を計上したため、当期純利益は2期続けての赤字に。さらに当期純利益は▲87億円と大幅な赤字となりました。
約100億円の借入を行い今後に備える
リンガーハットの売上には毎期“その他の営業収益”が計上されています。その額は2019年2月期13億円、2020年2月期14億円、2021年2月期10億円で、利益額をかさ上げしています(その他の営業収益は売上総利益と合算される)。
その他の営業収益を除くと既に2020年2月期時点でほぼ収支均衡であり、2021年2月期は前期比での減収分がダイレクトに赤字に響いた状態です。
大幅赤字となった2021年2月期ですが、一方で同社はコスト削減(販管費が対前年同期比▲36億円)に加え、100億円を超える借入金の積み増しを行っています(財務活動によるキャッシュ・フロー104億円)。
当期純利益▲87億円を計上したものの約100億円の借入を行うことで、今後の企業存続に向けて万全を期した状態といえるでしょう。
今期は営業利益から当期純利益まで黒字化を予想
2022年2月期(今期)について、リンガーハットは増収と黒字回復を予想。また、2020年2月期比で売上高+8.7%増の計画です。
とはいえ、4都府県で4月25日から緊急事態宣言が発出されるなど(5月11日までの予定)、足元では前期同様の厳しい経営環境が続いています。ただしコロナワクチン接種の広がりとともに経済正常化が進み、前期が売上の底となれば達成可能な業績予想といえます。
ただ、コロナワクチン接種の広がりとともに経済正常化が進み、前期が売上の底となれば、達成可能な業績予想といえます。
調理システムの自動化開発や、国産野菜の積極的利用の結果として国内のキクラゲ自給率を1%→8%に押し上げるなど、外食業界でユニークな施策を続けてきたリンガーハット。
これまでちゃんぽんの麺増量は無料でしたが、2月で麺無料サービスが終了しており、厳しい経営状況は既にサービスにも影響を与えています。約100億円の借入を背景にコロナ禍を乗り越えることができるのか、今後の業績の行方が注目されます。
参考資料
以下、すべて株式会社リンガーハット発表による。
2019年2月期決算短信〔日本基準〕(連結)(https://ssl4.eir-parts.net/doc/8200/tdnet/1691997/00.pdf)
2020年2月期決算短信〔日本基準〕(連結)(https://ssl4.eir-parts.net/doc/8200/tdnet/1817821/00.pdf)
2021年2月期決算短信〔日本基準〕(連結)(https://ssl4.eir-parts.net/doc/8200/tdnet/1953995/00.pdf)
長崎ちゃんぽんリンガーハットFAN BOOK
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