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ソニーの新中計、半導体事業は車載やAIセンシングで収益拡大へ

LIMO / 2021年6月9日 11時35分

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ソニーの新中計、半導体事業は車載やAIセンシングで収益拡大へ

イメージセンサーへの投資も増額

 ソニーは、先ごろ開催した「IR Day 2021」で、2025年度までのイメージング&センシング・ソリューション(I&SS=半導体)事業の展望を示した。25年度にROIC(投下資本利益率)20~25%、CMOSイメージセンサー(CIS)の世界シェア60%(金額ベース)という従来目標を維持しつつ、市場の変化に応じてソリューション事業や車載用を拡大。反転攻勢に向けてCISの増産投資を再開する方針を明らかにした。

CISは車載やAIセンシングを拡大

 主力のCISは、コロナ禍で市場環境が大きく変化した。米中摩擦で20年秋以降はファーウェイへ出荷できなくなり、ToF(Time of Flight)センサーを用いるモバイルセンシング領域はアプリ不足で普及拡大が先延ばしになっている。25年度にセンシング用の比率30%という従来目標は据え置くが、顧客基盤の分散・拡大、高画質・多機能化、微細画素+新技術による差異化などを重点方針に掲げて、収益の再拡大に努める。

 車載用は、ADASの普及でカメラの搭載数が多いレベル2.5車種が増加しているため、年平均成長率50%で売り上げが伸びている。20年度のOEM顧客の獲得数は16年度比で4倍に増加しており、25年度には20年度比で3倍に増やす。LiDARに関しては「あくまでティア2として事業を展開する」(ソニーセミコンダクタソリューションズ社長兼CEOの清水照士氏)と述べ、部品メーカーとしての位置づけを維持する考えを示した。

 ソリューション事業は、AI処理機能を搭載した積層型ビジョンセンサー「IMX500」などを活用したスマートカメラで顧客の課題解決に取り組み、リカーリング型ビジネスを拡大する。すでに280件の引き合いを受け、54件の商談が進行中。国内リテール顧客とレジなしキャッシュレス決済の開発を進めているほか、ローマ市とスマートパーキングやバス停の混雑検知などに活用を図っている事例を紹介した。

増産や再エネ導入に投資

 需要増に備えて、CISの増産投資も再開する。18~20年度は増産に約5800億円を投じたが、21~23年度はこれよりも増やす。需要動向に応じて、4月に稼働した長崎テックFab5への装置導入を進めると同時に、増設部分の建設にも着手した。

 また、環境負荷の低減へ再エネの導入を拡大する。21年度中に熊本テック2号棟に太陽光発電設備を設置・稼働させ、次いで長崎テックFab5と大分テックにも順次導入する。中国恵州とタイは21年度中に再エネ100%を達成し、21年度は20年度比で再エネ導入を約3倍にする。

CIS以外ではマイクロ有機ELやVCSELを拡大

 CIS以外の半導体事業では「デジタルカメラのビューファインダー用が主力のマイクロ有機ELディスプレーはAR/VR用に拡大する。VCSEL(垂直共振器面発光レーザー)はセンシング用光源として車載用に展開するほか、データセンターの通信用にも供給する。MEMSファンドリーはキャッシュカウとして新製品の開発などを順調に進めている。MMICやパワーアンプは顧客を増やさず効率を上げて事業の安定化を図る」(清水氏)と語り、集中と選択で黒字化していけると見通しを語った。

 また、TSMCと合弁で日本に新工場を建設すると報じられたことについては「CIS用ロジックは基本的にファンドリーから調達している。ロジック工場を自社で建てることはない。コメントは控えるが、工場があることが日本の半導体安定調達に大きな意味を持つ」と述べた。

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