Z会や進研ゼミだけじゃない! 通信教育はタブレットで激変
LIMO / 2021年6月19日 19時35分
Z会や進研ゼミだけじゃない! 通信教育はタブレットで激変
昨年春の臨時休校は3カ月にも及び、その間、子どもの学習時間をどう確保するか頭を悩ませた保護者も少なくありません。そうした中、家庭で勉強できる通信教材のニーズが急速に高まりました。
昭和の頃からから変わらず小学生〜高校生の家庭学習を支える通信教材は手堅い人気がありますが、2010年代に入るとそれまでの紙ベースでの添削指導から脱却し、現在はタブレット端末を利用した学習が主流に。定番の進研ゼミやZ会だけではなく、新たな通信教材も誕生しています。
通信教材はすでにIT化が進んでいる
現在、公立小中学校では児童生徒1人に1台のタブレット端末やノートパソコンが配布され、緊急時でも家庭で担任の先生とやり取りをしたり、学習ができる環境整備を整えています。
昨年の臨時休校でオンライン対応の遅れが指摘されたのを受けてのことですが、親の多くが「遅い」と感じたのには理由があります。
それは、すでにタブレット端末での通信教材が誕生し、認知度が高まっていたからです。ICT機器での学習が浸透しつつあった小中学生の子を持つ親から、「どうして学校ではできないのか」という不満の声が上がるのも無理からぬことと言えるでしょう。
こうしたタブレット端末を使った通信教材の歴史は、ジャストシステムの「スマイルゼミ」が2012年12月に小学生講座をスタートしてから始まりました。
ジャストシステムは日本語ワープロソフトの一太郎の会社として有名ですが、公立学校での学習支援ソフトなど教育にも長く携わっています。そのノウハウを活かして誕生したのが「スマイルゼミ」でした。
どの分野でも新たに市場に参入し、顧客を獲得するのは非常に難しいものです。通信教材の場合は進研ゼミやZ会という手強い相手がいましたが、タブレット端末のインパクトは凄まじく、スマイルゼミは新規参入でありながら通信教材の市場で新たなジャンル開拓に成功。
この動きを追随するように、進研ゼミは2014年度から小学生コースで「チャレンジタッチ」を、Z会もiPadを使用するタブレットコースを開講しました。
1台の端末で全ての勉強が終わる手軽さ
タブレット端末の通信教材の最大の特徴は、「1台で全ての勉強が完結する」です。それ以前は、毎月郵送された教材を解き、答案を返送して添削指導してもらうというスタイルが昭和から変わることなく続いていました。
これは子どもが課題に取り組むことが前提となっていますが、せっかく会員になっても、問題を解かず、返送しなければ学習定着や学力アップにつながりません。
課題に取り組めばポイントがもらえ、そのポイントを集めれば景品が貰えるというシステムで子どものやる気を引き出すような仕組みもあります。それでも全員が取り組むかといえば、なかなかそうもいきません。
一方、タブレット端末1台で学習が完結するスマイルゼミの登場は、「楽しみながら学ぶ」という新たな学習モデルを提案。図形問題や理科は映像で理解度が深まるという、文明の利器のメリットが活かせます。
いずれの教材でも、基本的にはAIが生徒児童それぞれの苦手単元を診断し、個々に合わせた問題が出題されることや、映像授業を準備するなど塾的な要素も取り入れており、従来の通信教材のイメージを大きく変えています。
会員数を公表しているベネッセの「進研ゼミ・こどもちゃれんじ」によると、少子化の中でも2020年度の会員数は前年より1万人増加の271万人。コロナ禍による学び遅れなどを心配する保護者のニーズを背景に、タブレット端末の手軽さは支持を得ているようです。
英語学習の敷居を格段に下げた
タブレット端末による通信教材の威力はさらに増しています。2020年度から小学校5年生以上で英語が教科化され、通知表に成績が付けられるようになった今、英語学習は小学生の子どもを持つ親にとっては非常に気になるものです。
今までだと英会話教室などに通って英語力をアップさせることが王道でしたが、タブレット端末型の通信教材の登場により、英語学習の敷居が格段に低くなりました。
たとえば、ネイティブの音声を聞きながら発音練習をすることもできるなど、ひと昔前では考えられないほど英語学習環境が向上しています。
コロナ禍でオンライン授業のニーズやその在り方が大きく取り沙汰されています。通信教材の世界は10年近く前からICT機器を使った家庭学習システムが導入されているのですから、今後ますます公教育でのIT化が加速することを期待したいところです。
参考資料
DATA BOOK 2020(https://pdf.irpocket.com/C9783/ng2K/HdMf/oVAS.pdf)(ベネッセコーポレーション)
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