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最低賃金1500円に引き上げ 全労連が要望 みんなの意見は?

LIMO / 2021年6月18日 18時0分

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最低賃金1500円に引き上げ 全労連が要望 みんなの意見は?

全国労働組合総連合(全労連)は2021年5月31日、最低賃金を1500円に引き上げ、全国一律の最低賃金制度の実現に向けた格差の是正を政府に求めました。

そもそも、なぜ1500円という金額なのでしょうか。また、賃金引き上げによる経済効果はどのくらいあるのでしょうか。

今回は全労連の要望と、それについてのみなさんの意見も紹介していきます。

毎月23万円程度が必要との試算

では、なぜ最低賃金1500円を全労連が主張したのかを解説していきます。

全労連の調査によると、25歳の単身者が普通に生活するためには、毎月23万円程度というデータが出ています。これを毎月150時間労働すると仮定した場合、時給約1500円となることから、今回の訴えになっています。

また、コロナ禍は日本だけでなく世界中の経済に影響を与えていますが、海外の事例もみていきます。

たとえば米国では、バイデン大統領が連邦政府と契約する企業の最低賃金を時給10.95ドル(約1194円)から15ドル(約1635円)に引き上げる大統領令に署名しています。

フランスでは、2021年1月に9.76ユーロ(約1288円)から10.03ユーロ(約1324円)に。またドイツでは、2021年1月に9.5ユーロ(約1254円)へ引き上げられ、さらに同年7月に10.45ユーロ(約1379円)へ引き上げられるといいます。

全労連は、「最低賃金の据え置きによる賃金抑制が『経済復興』の足かせとなっている。その結果、国民の消費購買力が回復せず、深刻なデフレから抜け出せなくなっている。経済危機を乗り切るために、賃金を抑制する『誤り』を繰り返してはならない。」と訴えています。

ここまで、最低賃金をめぐる議論について解説してきました。それでは、稼いだお金をみんなはどれぐらい貯蓄しているのでしょうか。次にみていきましょう。

20代の半数以上 貯蓄200万円未満

それでは、貯蓄の状況もみてみましょう。

金融広報委員会があらわした「2020年家計の金融行動に関する世論調査」によると、金融資産非保有世帯(貯蓄ゼロ世帯)の割合は、「単身世帯:36.2%」、「2人以上世帯:16.1%」となっています。単身世帯の3割以上、2人以上世帯の約6分の1が、貯蓄がない状況です。

また、今回の時給1500円の試算は、単身で25歳の人を対象に導き出したものです。
そこで、20代の貯蓄額の内訳も見ていきましょう。

金融資産保有額(金融資産を保有していない世帯を含む)

金融資産非保有:16.0%

100万円未満:20.0%

100~200万円未満:16.0%

200~300万円未満:12.0%

300万円以上(無回答含む):36.0%

20代のうち、金融資産非保有、つまり「貯蓄ゼロ」は16%。また半数以上が貯蓄200万円未満であることがわかります。

賃上げで約170万人の雇用創出に

それでは、最低賃金が1500円に上がった場合の経済効果も見ていきましょう。

労働運動総合研究所(労働総研)が2021年1月18日に発表した春闘への提言によると、最低賃金1500円への引き上げは、国内生産を26.7兆円、付加価値を12.95兆円増やし、169.5万人分もの新たな雇用を生み出し、税収を2.48兆円増加させるとの試算を発表しています。

また、非正規雇用を正規化することで、下記のような効果があると試算しています。

国内生産…15.6兆円

付加価値…7.5兆円

新たな雇用…98.7万人

税収…1.44兆円

賃金の引き上げは企業の労務コストを上昇させるが、やがて家計消費需要の拡大を通じて新たな国内生産が誘発され、企業経営にプラスなど大きな経済効果を生むと全労連は睨んでいます。

最低賃金は上げるべきか?

ここまで、最低賃金1500円への引き上げについて、解説してきました。みなさんはどう感じたでしょうか。ネット上でSNSなどの声を見てみると、さまざまな意見があります。

最低賃金を上げすぎると企業が人を雇わなくなり、1人ひとりにかかる負担が大きくなる。

アルバイトで働いている方であれば、時給を上げるより社員雇用への道を訴えるべき。

最低賃金が上がっても、税金や保険料も同時に上がるからあまり意味がない。

最低賃金の引き上げを含む賃金相場が上がった場合、「従業員のリストラを検討する」という企業が約1割-。内閣府が2021年5月13日に公表した調査にはこんなデータもあります。最低賃金をめぐる議論は今後も続くので、チェックするようにしましょう。

参考資料

全国労働組合総連合「【見解】コロナ禍を理由にした最低賃金の抑制は許されない 貧困と格差の是正、地域経済再生のためにも全国一律制の実現を ━ 8時間働けば「ふつう」の暮らしができる最低賃金の実現を求める全労連の見解 ━」(http://www.zenroren.gr.jp/jp/opinion/2021/opinion210531_01.html)

全国労働組合総連合「全国一律の最低賃金をつくろう」(https://www.zenroren.gr.jp/jp/housei/data/2017/171006_01.pdf)

金融広報委員会「家計の金融行動に関する世論調査(2020年)のポイント 」(https://www.shiruporuto.jp/public/data/survey/yoron/pdf/point2020.pdf)

労働運動総合研究所「労働総研ニュースNo.371・372 2021年2・3月「2021年春闘提言」(http://www.yuiyuidori.net/soken/news/2021/data/371-372.pdf)

内閣府「新型コロナウイルス感染症の影響下における中小企業の経営意識調査」(https://www5.cao.go.jp/keizai1/kigyochosa/kigyochosa/210513kigyochosa.pdf)

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