【離婚とお金】失敗・後悔しないために知っておきたい3つのこと
LIMO / 2021年9月28日 18時15分
【離婚とお金】失敗・後悔しないために知っておきたい3つのこと
他人同士が婚姻届けによって夫婦となる結婚。暮らしていく中で生じる意見や価値観の違いから、離婚を考えたことがあるという人も少なくないでしょう。
女性の方からのお金のカウンセリングで意外と多いのが「いつか離婚しようと思っているけれど、今から何をしておけばいいのか」――いわゆるリコカツについてです。
ただ、勢いでできる結婚と違い、離婚はしっかり準備しておかないと思いがけないお金の苦労をするはめに陥ることもあります。離婚で失敗しないために知っておきたいことを3つ紹介します。
1. 養育費をもらっている母子世帯は24.3%
厚生労働省の「平成28年度全国ひとり親世帯等調査結果報告」によると、離婚した父親から「養育費を現在も受けている」母子世帯の割合は24.3%、約4分の1にとどまります。また、過半数の56%が「養育費を受けたことがない」という結果になっています(総数:1817)。
一方、離婚した母親から「養育費を現在も受けている」父子世帯の割合は3.2%、「養育費を受けたことがない」は86.0%でした(総数:308)。
ちなみに、この調査は5年に一度行われ、最新調査は今年2021年に実施されることになっていますが、コロナ禍の影響でどのような結果になっているか注目したいところです。
離婚後にシングルマザーとして子どもを育てていくには収入が必要です。その場合、”養育費は当然もらえるもの”という算段でいると、実際はもらえなかったり、途中から支払われなくなった時に生活が一気に不安定になってしまいます。
公正証書や調停で養育費の取り決めをしていれば、給与差し押さえなど強制執行をする手段もありますが、相手方に支払い能力がなかったり、連絡がとれなくなったりすることもあり得ます。養育費をあてにしなくてもやっていける心とお金(仕事や貯金)の準備が必要です。
2. 扶養の範囲で働いていたら社会保険負担増
厚生年金や共済組合に加入している夫の妻で、専業主婦あるいは夫の扶養範囲内で働いていた場合、妻の国民年金保険料は個別に収める必要がありません(3号被保険者といいます)。健康保険についても夫の保険料に含まれています。
しかし、離婚してそれらの社会保険料を自分で払うことになると、かなり大きな負担になります。どれくらいの負担になるか具体的な数字でイメージしていきましょう。
仮に、国からの児童扶養手当※4万円と月11万円の仕事の収入を合わせた15万円で生活していこうとした場合、勤務先から引かれる社会保険料は健康保険5412円、厚生年金1万0065円。
合計すると1万5477円で、給料分の手取りは9万4523円になります。さらに40歳以上なら介護保険990円も引かれるので9万3533円になるのです(東京都の場合、 2021年)
※児童扶養手当は世帯主の収入・扶養する子どもの人数によって金額が異なります。また、一定額以上の収入がある場合は支給されません。
社会保険料がかからないよう年収を130万円以内に抑えても、国民年金だけで1万6610円の保険料と国民健康保険料が必要です。なぜ勤務先から天引きされる厚生年金や健康保険料のほうが安いかというと、実はこの社会保険料と同額を勤務先が負担してくれているからです。
収入が低ければ年金事務所で手続きして国民年金保険料の免除申請ができますが、自分が老後もらえる年金額は増えていきません。
将来的に自分の年金を増やすためにも、しっかり社会保険が備わっているところで働くことがシングルで生きていくには大切なことになります。専業主婦やパート仕事をしていた場合、正社員として働くのはハードルが高く感じるかもしれませんが、自立して生きていくためには仕事をして相応の収入を得ることは必要不可欠です。
3. 年金分割は気持ち程度しか増えない
妻が夫の扶養に入っていた場合、離婚後に年金事務所で手続きをすれば婚姻期間中の夫の厚生年金の1/2を将来受け取ることができます。しかし、離婚しても夫の年金を半分もらえるなら…と老後を楽観視していると、かなり厳しい老後になってしまいかねません。
たとえば、短大を出て20歳から25歳まで働き寿退社。それから15年間夫の扶養に入っていた場合の妻の年金額は1カ月6.6万円。40歳の時に離婚したとして、年金分割で増える年金は月あたり約1.4万円程度(夫の平年収400万円と仮定)。つまり、自分の年金と合わせても月8万円程度になるだけなので将来安泰とはいえません※。
離婚後40歳からフルタイムで働いたとしても、年収によりますが月10万円~13万円ほどの年金額にしかなりません。老後どこで誰とどのように生活するのかを考え、自分がもらえる年金額を知っておかないと、離婚して失敗したと後悔することになってしまいます。
※おおよその金額の目安です。
「親権は当然母親」になるわけではない
最後に、お金そのものではないですが知っておきたいのが親権のことです。
離婚の際、子どもがいると重要になるのが親権です。子どもが小さければ基本的に母親に親権がいくことになることが多いですが、収入のめどがなく生活力がない、浮気など離婚の有責配偶者に該当する、パートナーや子どもを虐待している、などの理由で父親が親権をもつケースもあります。
子どもを連れて離婚したいと考えている場合、自分に離婚原因をつくらず、生活力をつけておくことが失敗しないための準備になります。
まとめ
FPとして離婚する前に知っておきたいことを相談者に伝えると、
夫のおかげでどれだけ社会保険の負担が少なくなっているかを知った
老後夫婦で年金をもらえば生活しやすくなることがわかった
あらためて夫婦のあり方を考えることで初心を思い出した
となり、夫婦の仲がまた良くなったというケースも数多くあります。
冒頭に述べたように、離婚はしっかり準備しておかないと後々お金で苦労することになってしまうかもしれません。それでも、結婚生活を続けることで自分自身が嫌いになりそうとか、暴力を受けてしんどいということがあれば、離婚は前向きな選択になります。決して離婚は負け組ではありません。
妻でもママでもなく。自分らしく輝き続けられる人生を歩んでいきましょう。
参考資料
平成28年度全国ひとり親世帯等調査結果報告(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000188147.html)(厚生労働省)
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