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【離婚とお金】児童扶養手当や婚姻費用を解説!

LIMO / 2021年10月3日 10時0分

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【離婚とお金】児童扶養手当や婚姻費用を解説!

新型コロナウイルスによる緊急事態宣言が9月30日に解除されましたが、第6波への懸念もあり、まだいつ収束するのか先は見えません。一時話題となった「コロナ離婚」ですが、厚生労働省によると2020年の離婚件数は19万3251組で、前年の20万8496組より1万5245組減少しています。 

9月29日には国税庁より、民間企業の平均給与が2年連続で減少の約433万円と発表されました。平均賞与は、リーマンショック後以来の大幅減少である約65万円に。こうした経済への影響が、離婚を控える一因とも考えられます。

特に女性が離婚を考える場合、まず考えることは「お金について」でしょう。小さな子を抱えていると働くことも難しく、生活費はどう捻出するか、仕事と育児をどう両立するか、教育費はどうするかなど、考えるべきことは多岐にわたります。

お金に対する不安の一つとして、漠然としているという点があります。収入や支出、受けられる支援などをひとつひとつ「見える化」していくと、不安も減り、具体的な行動にうつることができるでしょう。今回は離婚前に知って起きたい「離婚にまつわるお金の見える化」の方法と具体的な制度をご紹介します。

生活費は、収入と支出の「見える化」を

まずは足元の「生活費」を見える化しましょう。現在ひと月いくらで生活しているか、光熱費や食費などの「支出」を項目別に書き出し、一ヶ月何万円あれば生活できるかを明確にします。

支出の中でも、多くを占めるのが家賃です。離婚の際に悩まれるのも住む場所でしょう。収入がある方なら賃貸を借りることもできますし、実家に帰るのも一つ。離婚後であれば公営住宅への申し込みもできます(離婚前でもDV被害者は裁判所等の証明で申し込める場合があります)。

住んでいる地域によっては、ひとり親の家賃の一部を助成したり、ひとり親世帯向けの入居をサポートしているところもあります。一度に住む場所を決めるのではなく、一時的に実家に戻り、子どもの入学や就職とともに引っ越しをするなど段階的に考えても良いでしょう。

次に「収入」です。収入については、「離婚前・離婚後」に分けて考えていきましょう。

子どもが小さい間は専業主婦や扶養内パートの方が多いですよね。収入の中でも、まずは児童手当など、受給できる制度をまとめて計算しましょう。基本的には「児童手当」と離婚後には「児童扶養手当」が所得制限内であれば受給できます。児童手当の詳細は、以下の通り。

児童手当

【月額】

3歳未満は一律月1万5000円、

3歳以上小学校就学前までは月1万円(第3子以降月1万5000円)

中学生は一律月1万円

※所得が一定以上の方は特例給付の5000円。2022年10月より、年収1200万円以上ならゼロ。

支給日

毎年6月、10月、2月

児童手当は夫の口座で受給することが多いため、別居中の妻は貰えないケースもあります。ただし離婚前であっても、「離婚協議申し入れにかかる内容証明郵便の謄本、調停期日呼出状の写し、家庭裁判所における事件係属証明書、調定不成立証明書」などがあれば、児童手当の認定請求を行うことで、子どもと同じ住所の方が児童手当を受給できます。詳しくは自治体に問い合わせましょう。

次に、原則離婚後に受給できる児童扶養手当です(離婚前でもDV被害者は裁判所等の証明で申し込めます)。

児童扶養手当

【月額(令和3年4月~)】

全部支給4万3160円、一部支給4万3150円~1万180円

2人目加算:全部支給1万190円、一部支給1万180円~5100円

3人目以降1人につき:全部支給6110円、一部支給6100~3060円

【支給対象者】

18歳に達した3月31日までの児童(障害者は20歳未満)を監護する母、監護し生計を同じくする父または養育する者(祖父母)

【所得制限限度額(収入ベース)

全部支給(2人世帯)160万円、一部支給(2人世帯)365万円 ※前年の所得に基づき算出

【支給日

1、3、5、7、9、11月

これ以外についても、費用を確認していきましょう。

他に離婚前に考えておくべきお金は?

先ほどの制度以外にも、離婚前であれば「婚姻費用」が貰えます。夫婦は法律上互いに生活を助け合う「扶養義務」があるため、別居中であっても、婚姻費用として生活費を分担する必要があるのです。

金額は、裁判所の「婚姻費用算定表」により決められています。2019年12月23日に公表された改定標準算定表(令和元年版)から、具体例を見てみましょう。

婚姻費用の例

子どもの人数と年齢:子ども2人(2人とも0~14歳)

夫婦の収入:夫が会社員で年収500万円、妻がパートで年収100万円

婚姻費用:夫から妻へ月10~12万円

表にされていて分かりやすいので、自分の場合はいくらぐらいか調べてみてくださいね。

夫に婚姻費用を請求しても貰えない場合は、「婚姻費用の分担請求調停」を申し立てるといいでしょう。申立費用は「収入印紙1200円分と連絡用の郵便切手」です。話合いがまとまらず調停が不成立になった場合は、裁判官が必要な審理を行い、一切の事情を考慮して審判によって結論が出ます。

離婚前には婚姻費用や児童手当などを計算しながら、自分の仕事についても考えましょう。子どもが乳幼児の間は、仕事と育児の両立は大変です。まずはパートや、今増えている副業でフリーランスを始めるなど、少しでも収入を得る方法を検討してみて下さい。子連れでも相談しやすいマザーズハローワークなら、子育てと両立しやすい仕事を紹介してもらえます。

「子どもが3歳になってから、入学してから、高学年になってから」など、雇用形態を変えたり、仕事を増やしたりするタイミングはいくつかあります。続けていくことが大切ですので、無理をせずに自分にあった方法を考えましょう。

離婚後に利用できる支援は?

離婚後に貰えるのが「養育費」です。養育費も同様に、裁判所により算定表が出されています。さきほどの「夫が年収500万、妻が100万、子どもが0~14歳の子が2人」なら月6~8万円です。

ただし厚生労働省の「平成28年度全国ひとり親世帯等調査結果報告」によると、離婚した父親から「養育費を現在も受けている」母子世帯は24.3%。養育費が貰えない人が多いというのはご存じの方も多いですが、養育費についてはきちんと取り決めを行うといいでしょう。

同調査によると、母子世帯の母で養育費の「取り決めをしている」が42.9%で、前回調査 の37.7%のより約5ポイント増えています。

2020年4月に施行された改正民事執行法では、公正証書などがあれば、裁判所が金融機関に資産情報を出すよう命令することで情報を開示できるようになりました。離婚による心労もあると思いますが、養育費の取り決めは行うようにしましょう。

その他にも、ひとり親になると各自治体によってさまざまな支援があります。一例として、以下のようなものがあります。

児童育成手当(都制度)…ひとり親家庭の児童、又は障害をもった児童へ支給する東京都の制度。対象は親の離婚やDVによって裁判所から保護命令を受けた児童で、18歳になった最初の3月31日まで(4月1日生まれは3月31日で繰り上げ)。対象児童1人につき1万3500円(所得制限あり)。

ひとり親家庭等医療費助成制度…各種医療保険の自己負担分から一部または全額を助成(所得制限あり)。

自立支援教育訓練給付金…看護師や保育士など地方公共団体が指定する対象の教育訓練を受講して修了すると、対象講座の受講料の6割相当額(上限修学年数×20万円、最大80万円)を支給。対象は児童扶養手当の支給を受けているか、同等の所得水準。

自治体によって制度や内容が異なりますので、詳細は問い合わせましょう。

離婚後に受けられる制度を明確にすることで、家計の収支が見えてきます。そうするとまずは「現時点で毎月何万稼ぐ必要があるか」と目標が明確になるでしょう。心身ともに疲弊している場合は、まずは心身の健康が大切なため公的制度を利用するのも一つです。

教育費も「見える化」を

離婚で特に不安を感じるのが子どもの教育費ですが、教育費に関しても前もって見える化をするといいでしょう。「進学する学校の種類別の入学金と授業料」「仕送りをする必要があるか」「きょうだいで入学する場合」の3つで計算しておきたいですね。

制度として利用を検討したいのが、大学や短大、専門学校などへの入学費や在学費用を支援する、国の「高等教育の修学支援制度」です。いわゆる大学無償化で、住民税非課税世帯とそれに準じる世帯が利用できます。

支援は年収に応じて3段階に分けられ、支援内容は「授業料等の減免」と「給付型奨学金」の2つ。たとえば「授業料等の減免」については、住民税非課税世帯なら「国公立大学で入学金約28万円、授業料約54万円(年額)、私立大学で入学金約26万円、授業料約70万円(年額)」の支援を受けられます。

ひとり親で子ども1人の場合、「年収約210万円で全額、年収約300万円で3分の2、年収約370万円で約3分の1」の支援が受けられますので、こういった制度の利用を検討すると、子どもの進学の選択肢も広がるでしょう。

これまでご紹介しいた制度を見ると、自分で調べたり、問い合わせをしたりすることが大切になります。具体的に計算し、制度を調べることで、不安も減りとるべき行動が見えてくるでしょう。

参考資料

国税庁「令和2年分民間給与実態統計調査結果について」(https://www.nta.go.jp/publication/statistics/kokuzeicho/minkan2020/pdf/001.pdf)

内閣府「児童手当制度のご案内」(https://www8.cao.go.jp/shoushi/jidouteate/annai.html)

内閣府「子ども・子育て支援法及び児童手当法の一部を改正する法律案の概要」(https://www.cao.go.jp/houan/pdf/204/204_2gaiyou.pdf)

厚生労働省「児童扶養手当について」(http://docs.google.com/spreadsheets/d/18KOtBP_Ofo2AXScxJxMzsw1rru3TWlgbWCiO-nCG--E/edit#gid=629740379)

裁判所「養育費・婚姻費用算定表」(https://www.courts.go.jp/tokyo-f/saiban/tetuzuki/youikuhi_santei_hyou/index.html)

裁判所「婚姻費用の分担請求調停」(https://www.courts.go.jp/saiban/syurui/syurui_kazi/kazi_07_03/index.html)

厚生労働省「平成28年度全国ひとり親世帯等調査結果報告」(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000188147.html)

法務省「民事執行法及び国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律の一部を改正する法律について」(https://www.moj.go.jp/MINJI/minji07_00247.html)

東京都福祉保健局「児童育成手当」(https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/kodomo/kosodate/teate/zidouikuseiteate.html)

厚生労働省「母子家庭等関係」(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kodomo/kodomo_kosodate/boshi-katei/index.html)

文部科学省「高等教育の修学支援新制度」(https://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/hutankeigen/index.htm)

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