植物性ミルクの新顔「カボチャミルク」 おいしく、栄養豊富で、サステナブル
LIMO / 2021年10月19日 18時15分
植物性ミルクの新顔「カボチャミルク」 おいしく、栄養豊富で、サステナブル
ニュージーランドから日本市場へ
近年、世界的に植物由来の代替食品への関心が高まり、市場が拡大しています。筆者が暮らすニュージーランドでも、市場調査会社のコルマー・ブラントンが2019年に発表した調査書「ベター・フューチャー」で、人口の3人に1人が肉の摂取量を減らしていることが示されています。
このような食生活の変化は、ほかの分野でも見られます。たとえば、酪農製品。生乳やA2ミルクなどが登場し、牛乳が話題を呼んだ時期もありましたが、今、注目されているのは、ソイ(大豆)やアーモンドなどに代表される植物性ミルクです。
バラエティ豊かな植物性ミルクがニュージーランド人の食生活に浸透しつつある中、日本を含むアジア市場限定の植物性ミルクが誕生しました。原材料は日本人にもお馴染みの野菜です。
日本で輸入量が多いニュージーランド産かぼちゃ
ニュージーランドで誕生したのは、原材料にかぼちゃを使った「カボチャミルク」です。
ニュージーランド産のかぼちゃの一番の輸出先は日本であり、日本市場に出回る輸入かぼちゃで最も多いのは、ニュージーランドのものだそうです。日本での全輸入量に対してニュージーランド産が占める割合は64%。続くメキシコの32%を大きく引き離しています。
ニュージーランドのかぼちゃの産地といえば、北島の東海岸に位置するキズボーン、ホークスベイ地方です。暖かく、日照時間が長いのが同地方の気候の特徴。かぼちゃの生育には、ぴったりの条件がそろっています。
2019年・2020年には、28の農家が8万7000トンのかぼちゃを収穫しています。一方、2020年に日本がニュージーランドから輸入した量は6万トン近くに及びます。単純計算すると、ニュージーランドの収穫量の約4分の3が、日本に送り出されていることになります。
「カボチャミルク」の生みの親は著名な日本人シェフ
日本の”おふくろの味”の1つ、かぼちゃの煮物。そのかぼちゃを「カボチャミルク」に変身させたのは、著名な日本人シェフである野村祥恵さんと、北島の東海岸ホークスべイ地方のかぼちゃ農家です。
野村さんはオークランドで、オーストラレーシア(豪州、ニュージーランド、ニューギニア及び周辺の島々を含む地域)最大のアジア料理専用施設を創設し、アジア料理のクッキングスクール、サチエズ・キッチンを運営しています。
スクールと同名のミールキットはスーパーマーケットで販売され好評を得ており、テレビ料理番組は世界35カ国で放映されています。著作もあり、国内外のメディアで取り上げられるセレブリティ・シェフです。
「カボチャミルク」は、まず野村さんがキッチンで作るところから始まりました。そして味や色、質感などに納得できたところで、それを製造チームが商業用に製造する方法を模索しました。
夏の終わり、最も熟したところでかぼちゃは収穫されます。その後、実をくり抜きフリーズドライ加工を施します。パウダー状になったものにオート麦のパウダーをほんの少しと、水、塩、天然香料を加えると、市場向けの「カボチャミルク」の完成です。
サステナブルな生産者が栄養満点のかぼちゃを供給
「カボチャミルク」の味は、甘くてホクホクの蒸しかぼちゃのようだそうです。日本生まれの野村さんのレシピが元になっていますから、日本人好みの味に仕上がっているに違いありません。
何と言ってもかぼちゃは栄養満点。かぼちゃ200gで1日に必要なビタミンCとビタミンAを補うことができ、ニンジンに匹敵するほどのベータカロテンを含んでいます。繊維質や鉄分も豊富です。「カボチャミルク」は、そんな栄養素を損なわないように作られています。
乳成分不使用、防腐剤フリーの100%ヴィーガン食品であり、コレステロールもゼロ。防腐剤や、着色料・香料などの人工添加物は一切含まれていません。そして、原材料のかぼちゃが遺伝子組み換え作物ではないのは、言うまでもありません。
かぼちゃの生産者は、適正な農業を実践していることを証明するNZGAP認証を得ています。これは食品安全、労働環境、環境保全に配慮した、サステナブルな生産活動を行う生産者や企業のみに与えられるもの。NZGAP認証は、GLOBALG.A.P.から国際基準であるGLOBALG.A.P認証※と同等と承認されています。
※GLOBALG.A.P.認証とは、食品安全、労働環境、環境保全に配慮した持続的な生産活動を実践する優良企業に与えられる認証
かぼちゃ農家の「夢」が現実のものに
「カボチャミルク」の生産に当たり、シェフの野村さんと並んで重要な役割を担うのは、シェーン・ニューマンさんです。ニューマンさんは家族と共に40年以上にわたって農業と輸出業を手がけてきた中で、流通・小売チャンネルを開拓してきました。
それを生かして、「カボチャミルク」は日本・韓国・香港の人々の手元に届けられています。日本では現在、2つのスーパーマーケット・チェーンで手に入れることができます。長野県を中心としたツルヤと、新潟・長野・富山を中心とした原信ナルスです。
「カボチャミルク」は、かぼちゃ作りのプロ、ニューマンさんの夢だったといいます。「昔から認められている、かぼちゃの高い栄養価を引き出し、誰もが常にその恩恵を被ることができるようにしたい」。ニューマンさんの夢は、現実のものになりつつあります。
参考資料
KABOCHA MILK公式サイト(https://www.kabochamilk.com/)
野菜統計/かぼちゃ(https://www.yasainavi.com/graph/category/ca=1)(野菜ナビ)
Buttercup squash(http://www.hea.co.nz/2012-05-11-03-05-28/buttercup-squash-trade)(New Zealand Horticulture Export Authority)
Nutrition(https://buttercupsquashnz.wordpress.com/nutrition/)(New Zealand Buttercup Squash Council)
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
トランプ発言で注目「カナダ」の日本との"深い縁" キャノーラ油の品種改良の背景に"両国の信頼"
東洋経済オンライン / 2025年1月15日 16時0分
-
石油依存を軽減する植物由来素材を採用したエコ樹脂フレーム『FREE FiT』新作登場
PR TIMES / 2025年1月15日 13時0分
-
「5キロ4000円」の高級米を安く買い叩かれる…「初の品薄」に直面した魚沼の農家が農協に卸すのをやめた理由【2024下半期BEST5】
プレジデントオンライン / 2025年1月14日 8時15分
-
【大雪】野菜の入荷少なく価格は高騰 キャベツ農家に聞く今後の見通し 福岡
FBS福岡放送ニュース / 2025年1月10日 18時33分
-
高知大ベンチャー、AIで農業の生産性向上 独自モデル開発、生産から輸送まで負担軽減
共同通信 / 2025年1月3日 7時1分
ランキング
-
1妹の結婚相手は“誠実そうな男”だったのに…「泣きながら逃げてきた」妹が明かした恐ろしい素顔
日刊SPA! / 2025年1月15日 15時52分
-
2「太らないパンの食べ方」を、“パン中毒”だった保健師が教えます:1月に読みたい記事
女子SPA! / 2025年1月16日 8時45分
-
3「友達がいない」「こだわりが強い」結婚できなかった37歳男性、それでも“親友のような妻”と出会えたワケ
日刊SPA! / 2025年1月16日 8時54分
-
4食べ過ぎかも? 胃もたれの原因と長引くときの解消方法
マイナビニュース / 2025年1月16日 10時0分
-
5サイゼ「価格据え置きで営業最高益」に見る大変化 逆張り戦略でファストカジュアル化が成功か?
東洋経済オンライン / 2025年1月16日 8時40分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください