「つみたてNISA」は20~40代で多い?「おひとりさま」の貯蓄も解説
LIMO / 2021年10月16日 11時35分
「つみたてNISA」は20~40代で多い?「おひとりさま」の貯蓄も解説
10月17日は「貯蓄の日」です。毎年この日に、その年の収穫へ感謝をこめて伊勢神宮で行われる神嘗祭(かんなめさい)に由来するもので、お金を無駄遣いせず大切にしようという思いも込められ日本銀行により制定されました。
今年もあと2カ月と少しですが、みなさんは思うように貯蓄は進んでいますか。一口に貯蓄といっても、預金だけでなく、投資信託や保険、株式などがあります。
投資信託や株式といった資産運用は、少し前まで「余剰資金のある人がやるもの」で、年齢層も比較的高い人がおこなう印象でした。しかしつみたてNISAでは、20~40代といった若い世代での利用が増えています。
特に一生独身や離婚などでシングルとなったおひとりさまは、資産運用を活用しての貯蓄が向いている面もあります。つみたてNISAの基本やおひとりさまに向いている理由をみていきましょう。
効率的に貯蓄を増やす「つみたてNISA」とは?
おひとりさまにも、さまざまな属性がありますよね。国立社会保障・人口問題研究所の「人口統計資料集 2021年版」によると、50歳時の未婚・離婚・死別の割合は以下の通りです。
50歳時の未婚・離別・死別の割合(2015年)
男性
未婚:23.37%
離別:6.26%
死別:0.57%
女性
未婚:14.06%
離別:10.18%
死別:1.88%
50歳時では男性で約30.2%、女性で約26.12%がおひとりさまです。比較してみると、女性は未婚と離別の割合が大差ないですね。
ひとりで生きていくとき、生活の土台となるのは「お金」です。ベースであるお金がきちんとしていれば、日々の生活や趣味、友人付き合いなども楽しめ、病気をしたときや老後の不安も和らぐでしょう。
とはいえ、「日々の生活に追われてなかなか思うように貯蓄できない」と悩まれる方も少なくないのでは。金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査](令和2年)」から、40~50代の貯蓄の平均をみてみましょう。
単身世帯の貯蓄(金融資産を保有していない世帯を含む)
40歳代:中央値40万円・平均値666万円
50歳代:中央値30万円・平均値924万円
平均値でみると貯蓄があるように思えますが、平均値は一部の大きな数字に引きずられやすいため、実態に近いのは中央値です。中央値を見ると、貯蓄の難しさが分かります。
思うように貯蓄ができないと悩むおひとりさまに、考えてほしい一つが「つみたてNISA」を利用した貯蓄です。
つみたてNISAとは、一定の条件を満たした投資信託の中から自分で商品を選び、毎月一定額を積み立てるもので、2018年1月からはじまりました。通常は配当金や分配金、譲渡による利益に20.315%の税金がかかりますが、つみたてNISAなら毎年40万円まで、最長20年間非課税になります(非課税運用額は最大総額800万円)。
運用益が非課税という点で、これまでなかなか投資を始められなかった方でもはじめやすくなりました。
では、たとえば「20年間で1000万円ほど貯めたい」と思ったとき、銀行預金とつみたてNISAで運用するのでは、どれくらいの差が出るでしょうか。金融庁の資産運用シミュレーションを利用して、つみたてNISAが利回り3%で運用できた場合と比較してご紹介します。
20年間で約1000万円貯めるのに必要な毎月の積立額
銀行預金:毎月4万1666円(メガバンクの普通預金金利0.001%)
つみたてNISA:毎月3万円(年率3%で20年間で984万9060円)
つみたてNISAを利用することで、月1万1666円ほどの負担が減ります。20年間では約280万円にのぼります。
老後に向けて貯蓄する目標額は、お住まいの地域や居住形態、生活水準などにより異なります。ただ資産運用を取り入れることで効率的に貯蓄でき、月々の貯蓄の負担も軽減されるでしょう。
投資なので、もちろん元本割れをするなどリスクもあります。たとえばリーマンショックのように相場全体が下がれば、売りたくても売れない場合もあるでしょう。そういったリスクを考えて、預金と並行して運用を行うといいでしょう。
つみたてNISA、20~40代の口座比率は?
投資に興味はあるものの、なかなかはじめるまでには至らない人もいると思います。リスクはもちろん、「投資はギャンブルみたいなもの」「難しくて理解できなそう」というイメージが影響しているでしょう。一方で、コロナ禍で投資を始める人が増えているという話も聞きます。
金融庁の「NISA 口座の利用状況調査(2019年12月末時点)」と「NISA 口座の利用状況調査(2020年12月末時点)」をみると、つみたてNISAの口座数と買付額は以下の通りです。
つみたてNISA口座の利用状況(2019年12月末時点・2020年12月末時点)
つみたてNISA口座数:189万230口座・302万2422口座
つみたてNISA口座の買付額:2975億5299万円・7614億2837万円
2019年と2020年では、つみたてNISA口座数は約1.6倍、買付額は約2.6倍増加しています。
さらに2021年10月8日に公表された金融庁の「NISA・ジュニア NISA 口座の利用状況調査 (2021年6月末時点) 」から、年代別の口座数や年代比率を眺めてみましょう。
つみたてNISA年代別口座数(2020年3月末~2021年6月末時点の増加率 )/年代別比率
総数:417万5430口座 (15.5% ) 100.0%
20歳代:80万9093口座 (21.9%)/19.4%
30歳代:117万7990口座 (15.9%)/28.2%
40歳代:103万5183口座 (14.4%)/24.8%
50歳代:69万5904口座 (13.6%)/16.7%
60歳代:32万92口座 (11.0%)/7.7%
70歳代:11万8247口座 (6.2%)/2.8%
80歳代以上:1万8921口座 (5.4%) /0.5%
つみたてNISA口座数の年代別比率を見ると、多い順に30代、40代、20代。これまではお金も時間もある定年された方が投資を行う印象でしたが、つみたてNISAに関しては20~40代と若い世代が多い傾向にあります。
投資にもさまざまな金融商品や投資スタイルがあり、短期で売買をする方もいます。一方でつみたてNISAは長期運用が基本で、毎月コツコツと積み立てていくもの。投資対象や投資時期が分散されているので、リスクを抑えながら資産を着実に育てたいと考える方が利用しているのでしょう。
基本的に一度申し込めばそのまま積み立てていくので、20~40代という仕事や育児に忙しい現役世代でもはじめやすいのです。
資産運用に定年なし
お金を増やす方法は、基本的に2つ。自分で働くか、お金に働いてもらうかです。元気なうちは働き続けることも大切ですが、人間ですから、誰しも病気のリスクは抱えています。年齢を重ねるうちに、「いつまで働けるだろうか」という不安は頭をよぎるでしょう。また、仕事には基本的に定年があります。
一方で、お金を増やす資産運用には定年がありません。年をとってもお金を増やすスキルをもっているということは、ひとりで生きていく上での安心感にもつながるでしょう。
投資ははじめるまでに時間がかかりますが、実際にはじめることで理解も進み、またニュースなどを目にするようにもなります。現役時代は忙しいのでなかなか学ぶ時間もありませんが、定年を迎えれば時間も生まれて、資産運用について学ぶこともできるでしょう。
稼ぐ手段はいくつもっていても損はありません。そういった視点から、おひとりさまを生き抜くためのスキルとして資産運用について考えてみるのもいいでしょう。
参考資料
国立社会保障・人口問題研究所「人口統計資料集 2021年版」(http://www.ipss.go.jp/syoushika/tohkei/Popular/Popular2021.asp?chap=0)
金融庁「資産運用シミュレーション」(https://www.fsa.go.jp/policy/nisa2/moneyplan_sim/index.html)
金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査](令和2年)」(https://www.shiruporuto.jp/public/data/survey/yoron/tanshin/2020/20bunruit001.html)
金融庁「つみたてNISAの概要」(https://www.fsa.go.jp/policy/nisa2/about/tsumitate/overview/index.html)
金融庁「NISA 口座の利用状況調査(2019 年 12 月末時点) 」(https://www.fsa.go.jp/policy/nisa/20200630/01.pdf)
金融庁「NISA 口座の利用状況調査(2020 年 12 月末時点) 」(https://www.fsa.go.jp/policy/nisa/20210615/01.pdf)
金融庁「NISA・ジュニア NISA 口座の利用状況調査 (2021 年6月末時点) 」(https://www.fsa.go.jp/policy/nisa/20211008/01.pdf)
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