住宅ローン控除「13年に延長」が終了間近!控除額は3年で最大80万円?
LIMO / 2021年11月14日 11時35分
住宅ローン控除「13年に延長」が終了間近!控除額は3年で最大80万円?
住宅ローン控除(住宅ローン減税)は、原則的に「10年間」にわたって年末の住宅ローン残高の最大1%が控除される制度です。しかし現在、控除期間が「13年間」に延長する特例措置が実施されています。
控除期間が13年となる契約期日は、以下の通り。
注文住宅の新築:2021年9月30日
分譲住宅・中古住宅の取得:2021年11月30日
注文住宅の契約期日はすでに過ぎており、分譲住宅の契約期日ももうそこまで迫っています。11月末までに契約した場合とそれ以降の契約では、どれだけ控除額に違いが出るのでしょうか?
延長3年間の最大控除額はそれまでの10年間より低い
住宅ローン控除によって控除される最大額は、年間40万円(長期優良住宅等は50万円)です。では「3年間延長となれば、最大120万円の差が生まれる」……かと思いきや、そうではありません。
特例によって延長される3年間の最大控除額は、それまでの10年間と異なり、3年間で最大80万円。具体的には、次のうちいずれか少ない金額が控除されます。
住宅ローンの残高または住宅の取得対価(上限4000万円)のうちいずれか少ないほうの金額の1%
建物取得価格(上限4000万円)の2%÷3
3年間で80万円というのは上限額であり、11年目で住宅ローン残債が1000万円以下になっていれば年間10万円以下となりますし、そもそも建物の取得価格が4000万円を下回っていれば最大控除額は控除されません。
控除額が大幅に変わるのは2022年以降?
80万円といっても決して少なくない金額ですが、実は、2022年度からはさらに住宅ローン控除による節税効果が損なわれる可能性があります。
2022年税制改正で最大控除額が見直される見通し
2022年度も住宅ローン控除の制度自体は継続の見込みですが、控除額の上限に関する規定が変わる可能性が浮上しています。
現行制度の年間最大控除額は「住宅ローン年末残高の1%」です。しかし近年では1%を下回る借入金利で住宅ローンを借り入れている人が多く、実際に支払った金利以上の控除が受けられる、いわゆる「逆ざや」現象が起きています。
住宅ローンを組んだほうが得をするといっても過言ではないこの状況を改善すべく、2021年度税制改正大綱には「控除額や控除率のあり方を2022年度税制改正で見直す」としっかり明記されています。
節税効果が半減以下となる可能性も
2022年度税制改正により、最大控除額が「実際に負担した金利」となるとすれば、0.4%を下回る金利の住宅ローンが出てきている昨今では、住宅ローン控除による節税効果が半減以下となる可能性もあります。
つまり、2021年12月以降にマイホームを購入した場合、控除額の減少幅は最大80万円ですが、2022年度からは数百万円の減少となるおそれもあるのです。
控除額だけ考えて購入を急ぐべきではない
控除期間が延長することにより、確実に控除額はあがります。さらに、来年度には控除額が大幅に下がる可能性も。しかし、住宅ローン控除制度だけをマイホームの購入時期を決めるのは避けるべきでしょう。
不動産価格は高騰傾向に
首都圏の2021年4月~9月における新築マンションの平均価格は「6,702万円」。同期間の過去最高を更新しています。昨年は新型コロナウイルスの影響が大きかったとはいえ、前年比+10.1%と大きく高騰しているのです。
また昨今では、価格を少しでも抑えるため、新築マンションの専有面積の縮小化も進んでいます。高騰しすぎた新築マンションを諦め、相対的に立地が良く、広さもあり、価格も安い中古物件を選択する人も増加傾向にあります。
東日本不動産流通機構によれば、2021年10月の首都圏の中古マンション平均価格は「3886万円」。1000万円かけてリノベーションしたとしても、新築マンションと比較すれば格安です。
変わる不動産市場、変わる生活……物件選びは慎重に
今回お伝えしたかったのは、不動産価格が高騰しており、物件の選び方が多様化している今、控除額が変わるからといって焦って契約すべきではないということです。
全国的にコロナ陽性者数が急減したことにより、あらためて働き方、暮らし方が変わり始めている方もいらっしゃることでしょう。また、世界的にインフレも懸念されている時期。住宅ローン控除は、マイホーム購入を後押しする制度です。制度に踊らされて判断を焦るのではなく、しっかりと家族の今とこれからを見据えた物件選びをした結果、節税効果を得る……これが住宅ローン控除制度を最大限活かすことになるのではないでしょうか。
参考資料
国土交通省「住宅ローン減税制度の概要」(https://sumai-kyufu.jp/outline/ju_loan/)
自由民主党・公明党「令和3年度税制改正大綱」(https://jimin.jp-east-2.storage.api.nifcloud.com/pdf/news/policy/200955_1.pdf)
日経新聞「上半期の新築マンション、発売戸数44.7%増 価格も上昇」(https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC182QJ0Y1A011C2000000/)
東日本不動産流通機構「月例速報サマリーレポート2021年10月度」(http://www.reins.or.jp/pdf/trend/mw/mw_202110_summary.pdf)
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