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住宅ローン控除「0.7%」に縮小か?2022年度税制改正

LIMO / 2021年11月23日 11時35分

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住宅ローン控除「0.7%」に縮小か?2022年度税制改正

12月に2022年(令和4年)度税制大綱の発表を控え、各方面で議論が大詰めとなっています。2022年度税制改正で注目されているのは、住宅ローン控除(住宅ローン減税)の縮小です。

かねてより、金利負担より高い控除額となる「逆ざや」現象が見られていた住宅ローン控除。今回の改正で、控除率が引き下がるものと見られています。今回はこの議論の背景をおさらいしたうえで、今後の展望についても解説していきます。

住宅ローン控除の縮小が検討されている背景

現行制度では、住宅ローン控除による年間最大控除額は、年末時点の住宅ローン残高の「1%」です。しかし、近年では住宅ローンの変動金利が0.4%を下回る商品も出てきており、控除額が実際に支払った利息を上回る現象が見られていました。

年間20万円の利息を払っている人が年末に40万円控除される……このように、控除制度によって「もうかる」仕組みを是正するため、住宅ローン控除の縮小が検討されているのです。

控除率が「0.7%」に?控除額はどう変わる?

2022年度税制改正大綱が発表されるのは、例年と同じであれば12月。11月現在、国土交通省から住宅ローン控除による控除率を現行の「1%」から「0.7%」に縮小する案が出るなど、議論が進んでいます。

また、控除率低下による住宅投資の落ち込みを避けるため、控除期間を10年から15年以上に延長する案も検討されているようです。

「控除率0.7%」の場合

現行制度では、住宅ローン控除による控除率はローンの年末残高の最大「1%」。年末時点で3000万円の住宅ローンが残っていれば、最大「30万円」が所得税などから控除されます。控除率が「0.7%」となれば、最大控除額は「21万円」になります。

(/mwimgs/8/b/-/img_8b41616dee5989837e1f0b84234355c427768.png)

拡大する(/mwimgs/8/b/-/img_8b41616dee5989837e1f0b84234355c427768.png)

【出典】国土交通省「住宅ローン減税制度の概要」

ただし、住宅ローン控除は「A:所得税+住民税額」「B:40万円(長期優良住宅等は50万円)」「C:借入残高の1%」のうち最も少ない額がその年の控除額となります。そのため、AまたはBがCに満たないケースでは、必ずしも現行制度と比較して控除額が3割減となるわけではありません。

「控除率0.7%」かつ「控除期間15年に延長」の場合

現行制度では、住宅ローン控除による控除期間は原則「10年」。これが「15年」に延長するとなると、控除額はどうなるのでしょうか?

一見すると、控除額が3割減となっても、期間が1.5倍に伸びれば、控除額は現行制度より上がるようにも感じられます。しかし、延長した期間がそれまでの10年間と同じ控除額になるとは限りません。

現に、消費税増税により控除期間が「13年」に延長された際には、延長した3年間の最大控除額は、実質的にそれまでの10年間における2年分でした。控除期間が延長しても、このような制限が設けられ、現行制度と同等の総控除額になるよう調整される可能性はあると考えられます。

また、控除期間が延長するのは「13年」に延長したときと同様、消費税課税住宅に限定される可能性もあります。

頭金・金利タイプ・繰り上げ返済……慎重に検討を

これまでは、住宅ローン控除の恩恵を最大限受けるため「とりあえず変動金利で10年間は繰り上げ返済しない」という選択をされていた方も少なくなかったものと考えられます。住宅ローンを組む必要がなかった人も、期間中繰り上げ返済できる人も、そのほうが「得」だったからです。

また、株式会社リクルート住まいカンパニーによれば、住宅購入における自己資金10%未満の比率は年々増加しているとのこと。2020年には、新築戸建は「25.9%」、新築マンションは「16.0%」の契約者が頭金ゼロで購入しています。これもまた、自己資金を投入するより控除額が高くなることが要因の1つになっていたものと考えられます。

しかし、2022年度税制改正により住宅ローン控除の「逆ざや」現象解消に近づくと見られる今、「控除額ありき」ではない資金計画を立てる重要性は増すといえるでしょう。

金利変動リスクや住宅ローン残債が資産価値を上回るオーバーローンのリスクに備え、住宅購入時には頭金の額や住宅ローンの金利タイプをしっかり検討し、繰り上げ返済に充てられる資金を貯蓄しておくことが大切です。

「逆ざや」は続く?

とはいえ、たとえ住宅ローン控除の控除率が「0.7%」となったとしても、今の住宅ローン金利を考えれば「逆ざや」現象がなくなることはありません。期間延長となれば、さらに現行制度の節税効果との差分は少なくなるはずです。

住宅ローン控除制度は、ここまで複数回、社会情勢に合わせて、最大控除額や控除期間が改正されてきました。今後も変わっていくことでしょう。そして、不動産価格も住宅ローン金利も、今後、変わっていくものです。

自分たちの生活も、当然ながら変わっていきます。これらすべての変わっていくものの流れの中で、自分たちにとって最適なタイミングを見極めることこそが、住宅購入で成功するポイント。控除制度ばかりに目を向けず、ミクロな視点、マクロな視点をもって購入時期を検討しましょう。

参考資料

国土交通省「住宅ローン減税制度の概要」(https://sumai-kyufu.jp/outline/ju_loan/)

日経新聞「住宅ローン減税、控除率0.7%要望 国交省」(https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA197R50Z11C21A1000000/)

株式会社リクルート住まいカンパニー「2020年首都圏新築分譲一戸建て契約者動向調査」(https://www.recruit.co.jp/newsroom/recruit-sumai/press/upload/PressRelease_kodate_2020.pdf)

株式会社リクルート住まいカンパニー「2020年首都圏新築マンション契約者動向調査」(https://www.recruit.co.jp/newsroom/recruit-sumai/press/upload/ce84f4aa73e2acf7972c0a489cdec09f_1.pdf)

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