70代以上の平均と現実「老後の貯蓄がゼロ世帯」は何割か
LIMO / 2021年12月7日 6時55分
70代以上の平均と現実「老後の貯蓄がゼロ世帯」は何割か
人生100年時代の幕開け。
人々が健康に穏やかな暮らしをできるようになるほど、寿命は伸びていきますね。実は、戦続きの世であった安土桃山時代、日本人の平均寿命は35歳程度だったようです(※1)。
実際に日本人の平均寿命が大きく伸びたのは、戦後から。男女のそれぞれの平均寿命は、昭和22年(1947年)には50代前半でした。これが70代を超えるのは昭和50年(1975年)なのです(※2)。
ひと昔前であれば、老後の終盤ともいえる年齢が、いまでは「この先の楽しみ」が待つ円熟世代。70代以降の年金生活(※編集部注)は、できればゆったり安心して過ごしたいですよね。
そこで避けて通れないのが、「お金の問題」でしょう。
最近大ヒットの映画『老後の資金がありません!』のタイトル通り、老後の蓄えがない方も中にはいらっしゃるかもしれません。そこで今回は、70代以上の方で「老後の資金がゼロ世帯」は何割なのか見ていきましょう。
【※参考記事】「基礎年金と厚生年金」結局いくらもらえるの?(https://limo.media/articles/-/25920)
70代以上世帯の貯蓄額「平均でいくら?」
さっそく、実際の70代世帯にはどれくらい貯蓄があるか見ていきます。
金融広報中央委員会が2021年2月に公表した「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査] 令和2年(2020)調査結果」によると
70歳代以上:金融資産保有額
(金融資産保有世帯)
平均:2208万円
中央値:1394万円
続いて、金融資産を保有していない世帯を含めた、この世代全体の数字を見てみましょう。
70歳代以上:金融資産保有額
(金融資産を保有していない世帯含む)
平均:1786万円
中央値:1000万円
金融資産非保有世帯(貯蓄のない世帯)を含めた、70代以上世帯全体の貯蓄額は、平均1786万円、中央値1000万円という結果になりました。平均は一部のお金持ちに引き上げられる傾向がありますので、ここでは実感に近い中央値がより参考となりそうです。
70代以上「老後の貯蓄がゼロ世帯」は約2割
ここからは、70歳以上世帯のうち、どのくらいの世帯がいくら貯蓄できているでしょうか。また、金融資産非保有世帯、すなわち「貯蓄ゼロ世帯」はどのくらいいるのでしょう。
金融資産を持たない世帯も含めた、70代以上・二人以上世帯の金融資産保有額もみていきましょう。
70歳代以上・二人以上世帯のうち、金融資産非保有(貯蓄ゼロ)世帯は18.6%。全体の約2割存在しています。
かの「老後2000万円問題」が記憶に新しい方も多いでしょう。この金額を超えている世帯は全体の約3割。一方、貯蓄額300万円未満の世帯も同程度存在します。
老老格差ともいえる「二極化」の現実がここに見られますね。平均や中央値からは見えない部分といえるでしょう。
では、70代以上世帯は、どのような理由で「資産が減る」のでしょうか。同調査によると、「金融資産が1年前よりも減少した」と回答した70代以上世帯の割合は、31.4%となりました。減少した理由として、「定例的な収入が減ったので金融資産を取り崩したから(40.2 %)」「耐久消費財(自動車、家具、家電等)購入費用の支出があったから(35.9 %)」といった項目が挙げられています。
普段の生活のなかで、貯蓄を切り崩す必要が生じているわけですね。特に贅沢をしているわけではないのに「お金が足りない」というのは、ちょっと不安です。
そこで考えたいのが、「老後も資産を減らさないための工夫」です。実は、次のページでお伝えする貯蓄の中身にヒントがあります。
70代以上「金融資産の中身」を丸裸!
ここからは、70代以上世帯の「貯蓄の内訳」を見ていきます。
70歳代以上世帯「種類別金融資産保有額」
(金融資産を保有していない世帯含む)
預貯金(うち運用または将来の備え):921万
うち定期性預貯金:723万円
金銭信託:4万円
生命保険:333万円
損害保険:49万円
個人年金保険:65万円
債権:35万円
株式:226万円
投資信託:129万円
財形貯蓄:14万円
その他金融商品:9万円
合計:1786万円
預貯金が半分以上を占めていますね。貯蓄が少なめの世帯は、この預貯金の一部を資産運用に回して対策をすることが一つの方法といえそうです。低金利が続くいま、銀行などの預貯金につく利息はほんのわずか。お金を増やすことには繋がらないからです。
70歳代以上の資産運用の際に大切なのは、「守りながら運用する」という考え方。現役時代のように、長期間(20年以上)の期間がとれない場合、債券を活用して3~4%程度の安定的な運用スタイルを選ぶと良いでしょう。
理由として、株式のようなリスクの高い商品だと、価格が大きく下落し、大切な資産が減ってしまった場合、老後生活の計画が崩れてしまうからです。
退職金の受け取りがある場合は、その一部を資産運用に回す視点を持つのもよいでしょう。資産の減りを緩やかにするための工夫を、しっかり考えていきたいものですね。
老後のための資産形成は「早めのスタート」がポイント
老後のための資産形成のコツは、「できるだけ早く始める」こと。時間をかけて、じっくり老後資産を作っていくことが大切です。
いつか貯金が底をつきてしまう恐怖に苛まれる老後は、避けたいところ。老後を見据えたマネープランには、先手先手で取り組んでいきましょう。
参考資料
※1 いろは出版「寿命図鑑」(https://iroha-shop.jp/c/book/0500101000063)
※2 厚生労働省「令和2年 簡易生命表の概況」(https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/life/life20/index.html)
金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査] 令和2年(2020年)調査結果」(https://www.shiruporuto.jp/public/document/container/yoron/)
外部リンク
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