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60代「老後の貯蓄」2000万円、みんな実際持っているのか

LIMO / 2021年12月27日 17時50分

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60代「老後の貯蓄」2000万円、みんな実際持っているのか

天海祐希さん主演映画「老後の資金がありません!」が、コメディ要素満載で好評を博しているようです。

2019年に「老後2000万円問題」が注目を浴びて以来、リタイヤ後の家計に「なんとなく」危機感をお持ちの方も増えたはず。

年を重ねれば、シニア世代特有の必要経費も発生するでしょう。介護費用はその最たる例といえますね。「備えあれば憂いなし」とはいうものの、実際に必要となる金額は予測しにくいものです。

今回は、一般的な老後のスタート地点ともいえる60代のお金事情について深掘りします。「2000万円」という金額を軸に、老後の資金作り(※編集部注)についても考えていきましょう。

【※参考記事】50歳を超えてから「月30万円の不労所得」を作る4つの方法(https://limo.media/articles/-/24980)

60代の平均年金額はいくら?

老後の暮らしを支える柱となるのは公的年金ですね。まずは、60代のみなさんが受け取る国民年金・厚生年金の平均額を確認していきましょう。

■国民年金の平均年金月額

60~64歳:4万2306円(受給権者数:20万2672人)

65~69歳:5万7502円(受給権者数:686万9256人)

■厚生年金保険(第1号)の平均年金月額

(含:国民年金部分)

60~64歳:7万5922円(受給権者数:127万9834人)

65~69歳:14万3069円(受給権者数:354万2997人)

※65歳未満の月額について

厚生年金保険(第1号)の受給権者は、主に定額部分のない、「報酬比例部分」のみの者

国民年金の受給権者は、繰上げ支給を選択した者

「令和2年度(2020年度) 厚生年金保険・国民年金事業の概況」(参考資料2)より

一般的な老齢年金受給開始年齢は65歳。よって、ここでは65~69歳の月額に着目します。

いわゆる「2階部分」の年金を受け取れる厚生年金のほう手厚い額であることは確かです。とはいえ、ご自身の現役時代の稼ぎと比較すると少ない金額になるでしょう。

まずはねんきんネットやねんきん定期便で年金見込額をチェックしてみましょう。次に、日頃の生活費をざっくり把握します。

老後の家計収支をイメージすることは、貯蓄ペースの見直しにも繋がるでしょう。「老後の資金」を準備する心構えにもなりそうです。

60代世帯で「老後2000万円」を持っているのは約3割

「公的年金だけを老後の命綱にするのは、あまりにも心許ない」と考える方は多数派でしょう。そこで頼りとなるのが現役時代からコツコツ準備してきた貯蓄ですね。

ここで、60代の二人以上世帯にはどのくらい貯蓄があるのか見ていきます。金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和2年)」を参考にします。

■60代・二人以上世帯の金融資産保有額

(金融資産を保有していない世帯を含む)

平均:1745万円
中央値:875万円

※「平均」は一部の大きな数字に引っ張られる傾向があるため、より実態に近い中央値が参考になります。

60代・二人以上世帯の金融資産保有額の中央値は875万円。「2000万円」のラインにはほど遠い金額です。その半分である「1000万円」に達していない世帯が約5割にのぼります。

そして、2000万円以上を保有する世帯は32.9%。老後のスタート時点である60代の時点で「持てる世帯・持たざる世帯」に二極化していることも分かります。

老後2000万円問題を振り返る

60代・二人以上世帯で「貯蓄2000万円」のラインを超えるのは全体の約3割であることが分かりました。

ここで2019年に話題となった「老後2000万円問題」を振り返ります。

「老後2000万円問題」を分かりやすく整理

この試算は2017年の家計調査に基づき、夫婦世帯の収支から試算された結果です。試算中のいくつかの「落とし穴」についても触れておきましょう。

■1つ目は「住居費が持家世帯を前提として、1万円台で設定されている」という点。

賃貸住まいで月の家賃が5万円であれば、20年間、家賃だけで1200万円が必要です。これを「2000万円」に上乗せして準備していく必要があるわけです。

生活費のダウンサイジングは固定費から着手するのが効果的です。家賃はその最たる例でしょう。老後も賃貸物件に住む予定の方は、ぜひ意識してみてください。

■2つ目は「介護費がまったく含まれていない」という点。

住まいのバリアフリー改修や、老人ホームへの入居を考える場合もあるでしょう。

ときには1000万円をくだらない大型出費にもなり得る、シニア特有の大型出費ですね。健康状態や住まいの環境などに応じて、心づもりをしておく必要がありそうです。

老後資金は「先手先手」で対策を

60代世帯の年金・貯蓄事情を眺めてきました。

働き盛りの世帯であれば、住宅ローンや教育費で家計が圧迫され「老後の資金」どころではないというケースも多いはず。

まずは、日頃の家計の収支、そして年金見込額を把握し、リタイヤまでの貯蓄計画を立てていけると理想的ですね。準備のスタートが早ければ早いほど、毎月の積立額は少なくなります。

年末年始は暮らしを見つめ直す絶好のタイミングです。「老後のライフ&マネー」に目を向ける時間を作っていただければと思います。

参考資料

厚生労働省年金局「令和2年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」(https://www.mhlw.go.jp/content/000872907.pdf)

金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和2年)各種分類別データ」(https://www.shiruporuto.jp/public/data/survey/yoron/futari/2020/20bunruif001.html)

金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査](令和2年)各種分類別データ」(https://www.shiruporuto.jp/public/document/container/yoron/tanshin/2020/20bunruit001.html)

金融審議会「市場ワーキンググループ」(第21回)厚生労働省提出資料(https://www.fsa.go.jp/singi/singi_kinyu/market_wg/siryou/20190412/02.pdf)

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