年金額0.4%引き下げ!「厚生年金と国民年金」は一体いくらもらえるのか
LIMO / 2022年1月28日 17時50分
年金額0.4%引き下げ!「厚生年金と国民年金」は一体いくらもらえるのか
2022年度の年金支給額が「0.4%引き下げ」になることが、2022年1月21日に厚生労働省より発表されました。これで引き下げは2年連続です。
こうした報道を耳にする度、現役世代の方たちは「自分の年金がいくらもらえるのか」不安になりますよね。
今回は、実際に年金を受給している方の平均額を眺めながら、受給目安額について解説します。年金支給額がどのように決まるのかについても、合わせて確認していきましょう。
2022年度の年金額の例
4月からの年金額は、2021年度に比べて0.4%引き下げられる予定です。これにより、「国民年金の満額(1人分)」と「厚生年金の標準的な金額(夫婦2人分)」は下記が目安となります。
※厚生年金の金額は、「平均的な収入(平均標準報酬(賞与含む月額換算)43.9 万円)で 40年間就業した場合に受け取り始める年金(老齢厚生年金と2人分の老齢基礎年金(満額))」の給付水準です。
国民年金の満額は、2021年度の6万5075円から259円減り、6万4816円になる見通しです。夫婦二人分の標準的な厚生年金額は、さらに大きな引き下げとなる903円減で、21万9593円。
ただし、上記のモデル年金が必ず受け取れる保証はありません。国民年金に関していえば、未納や免除の期間があると、その分が満額から差し引かれます。厚生年金はさらに複雑で、現役時代に収入に応じた保険料を納め、その金額や加入期間によって年金額が決まる仕組みのため、収入により年金額が変わると捉えて良いでしょう。
そこで、実際の受給額の様子も見ていきたいと思います。
現在の平均受給額
厚生労働省の「令和2年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、2020年度の平均は次のとおりでした。
国民年金の受給額
平均:5万6252円
満額:6万5075円
厚生年金の受給額
平均:21万8854円※
モデル夫婦:22万496円
※厚生年金の男性平均と、国民年金の女性平均の合計
平均ベースでは、冒頭でご紹介した「標準額」に満たないことがわかりました。2022年度も、同様のケースがみられる可能性は高いです。
年金制度は破綻するのか
年金は「自分が積み立てた分を将来受け取る」と考える方もいますが、実はこれは間違い。年金は賦課方式により、現役世代が今の高齢者を支える方式をとっています。これにより、理論上年金が破綻することはありません。
ただし、「物価変動率」「マクロ経済スライドによる調整」「名目手取り賃金変動率」により、年金の額は調整されます。長く制度が続くように設計されているため、今回も改定が行われたということです。
公的年金の破綻について、過剰に不安視する必要はないでしょう。しかし、高齢化社会が進んでいるのは事実です。このまま進むようであれば、「年金保険料アップ」「年金額減額」「受給開始年齢の繰り下げ」などで調整されていくでしょう。つまり、年金制度は破綻しなくとも、十分な年金が受け取れるとはいえないということです。
老後に向けて自分で対策を
年金受給額の状況や、2022年度の年金目安額を見ていきました。自分の年金目安額については、「ねんきんネット」などで確認できます。働き方や収入が変われば見込額も変わるので、定期的に確認する習慣をつけましょう。
合わせて老後に向けた自助努力も必要です。現役時代から退職後を見据え、しっかり対策しておきたいですね。教育費や目の前の生活費でつい使ってしまう場合は、お金の置き場所も考えてみましょう。給与天引きの貯金制度があれば利用し、なければ貯蓄型保険や資産運用など、「手をつけにくい」場所にお金を預けるのも一つです。
将来になってから慌てることのないように、コツコツ準備を始めていきたいですね。合わせて、今回の改正のような情報は積極的に手に入れておくと強みになります。制度の改正は決して遠い存在ではなく、多かれ少なかれ自分に影響を与えます。さまざまな情報にアンテナを張り、マネープランに組み入れましょう。
参考資料
厚生労働省「令和2年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」(https://www.mhlw.go.jp/content/000872907.pdf)
厚生労働省「令和4年度の年金額改定についてお知らせします」(https://www.mhlw.go.jp/content/12502000/000725140.pdf)
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