専業主婦世帯の平均年収を探る。貯蓄と負債をデータで検証
LIMO / 2022年3月28日 5時20分
専業主婦世帯の平均年収を探る。貯蓄と負債をデータで検証
老後2000万円問題とは
3月になり、来年度の保育園の結果も出て、4月から職場復帰という方もいらっしゃると思います。毎年の保育園落選のニュースからも共働き世帯が多いイメージがありますが、実際どれぐらい差があるのでしょうか。
令和3年度の厚生労働省のデータによると、共働き世帯は年々増加し1240万世帯、専業主婦世帯は減少傾向にあり571万世帯となっています。共働きや専業主婦である事情はご家庭により様々ですが、それぞれどんな生活なのか気になるものですよね。
今回は、減少傾向にある専業主婦世帯のお財布状況についてフォーカスしていきます。
専業主婦世帯の世帯年収はいくら?
まずは、総務省統計局「家計調査報告(貯蓄・負債編)2020年)」から「夫のみ有業世帯」の平均年収を見ていきましょう。
専業主婦世帯の年間収入・家庭状況
年間収入:677万円
世帯主の年齢:49.5歳
世帯人員3.22人(18歳未満人員1.05人)
持家率:77.1%
世帯年収の平均は677万円でした。世帯主の年齢はおよそ50歳で、18歳未満でこれから大学費用などがかかってくるお子さんが1人というのが平均的な家族構成でした。
専業主婦世帯の貯蓄と負債
平均貯蓄額:1488万円
<内訳>
金融機関:1444万円
通貨性預貯金:543万円
定期性預貯金:415万円
生命保険など:292万円
有価証券:194万円
金融機関外:43万円
平均負債額:898万円(うち、住宅・土地のための負債847万円)
純貯蓄額:1488万円-898万円=590万円
専業主婦世帯の平均貯蓄額は約1500万円と、まとまった貯蓄がありますね。内訳をみると6割が流動性の高い預貯金となっています。これからかかってくるお子さんの教育費に備えていることが想像できます。
また住宅ローン等での負債が900万円弱ありますね。多くの方が退職を迎える65歳までは15年ほどありますので余裕を持って返せる金額といえるでしょう。
これから迎えるライフイベントは?
人生の3大資金と言われるのが「住宅・教育・老後」ですが、先ほどの専業主婦世帯を元に考えてみましょう。住宅ローンは返済可能な金額でしたので、「教育」と「老後」について考えていきます。
教育資金はどのくらいかかるのでしょうか。文科省「令和3年度私立大学入学者に係る初年度学生納付金平均額(定員1人当たり」によると、私立大学・理系学部の4年間でかかる学費は約552万円です。
子どもが自宅外通学で一人暮らし費用や仕送り等が必要になると、さらに400万円が必要になります。
先ほどの平均貯蓄から教育資金を差し引くと、残りは500~1000万円ほどになりますね。この金額で「老後」への備えは大丈夫か、老後にかかる費用について考えていきます。
そもそも老後資金はいくら必要?
ここでは、2019年に話題になった「老後2000万円問題」を参考に老後資金について考えていきます。
老後2000万円問題の発端は金融庁発表のレポートで、「老後の生活費は年金収入だけでは2000万円不足する」と発表された事でした。
このモデルケースはいわゆる現役時代が専業主婦世帯で「夫65歳以上、妻60歳以上の夫婦のみの無職世帯」となっています。1ヶ月の実収入20万9189円、実支出26万3718円で月の赤字は約5万5000円。この赤字が老後30年続くと約2000万円が不足するという計算となります。
また、上記の試算には介護費用などは含まれておらず、あくまで生活費の赤字です。介護が必要になった場合や趣味を楽しみたい場合は追加の費用がかかります。
もらえる年金額は現役時代の勤務形態や収入によって変わりますので、自分がいくらもらえるかは、ねんきんネットなどで調べてみましょう。
老後資金に備える方法は?
これまで「世帯年収600万円の専業主婦世帯」の貯蓄状況や、これからかかってくる費用について考えてきました。
住宅や教育についてはローンを利用できますが、老後資金はローンが利用できませんので早めの対策が必要です。
老後資金に備える方法の1つとして、「お金にはたらいてもらう=資産運用」を取り入れてみるのもいいですね。
つみたてNISAやiDeCoなど、国が後押ししてくれている資産運用の制度もあるので、より身近に感じている方も多いと思います。
それぞれ特徴の違いによってどんな人が向いているかが違ってくるので、特徴を理解した上で始めるのが大切です。例えば、iDeCoは掛け金が所得控除になり、住民税と所得税が節税になるメリットがありますが、収入のない専業主婦の方は所得がないので節税効果はなくなってしまいます。
また、住宅ローン控除を利用中の方も収入やローン金額によってはiDeCoの効果がなくなってしまう可能性があるので注意が必要です。
自分がどの資産運用があっているのかわからないという方は、情報収集からはじめてみるのもいいですね。
参考資料
厚生労働省「令和3年度版厚生労働白書 図表1-1-3 共働き等世帯数の年次推移」(https://www.mhlw.go.jp/stf/wp/hakusyo/kousei/20/backdata/1-1-3.html)
総務省統計局「家計調査報告(貯蓄・負債編)-2020年(令和2年)平均結果-(二人以上の世帯)」(https://www.stat.go.jp/data/sav/sokuhou/nen/index.html)
国税庁「令和2年分 民間給与実態統計調査―調査結果報告―」(https://www.nta.go.jp/publication/statistics/kokuzeicho/minkan2020/pdf/000.pdf)
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