コンビニ業界は斜陽化へ? “ファミマ買い、ローソン売り”の背景

LIMO / 2018年3月23日 9時45分

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コンビニ業界は斜陽化へ? “ファミマ買い、ローソン売り”の背景

催促相場で経営の大きな変化を促されたローソン

コンビニ業界は既に緩やかな斜陽化へ?

一時前まで代表的な成長産業と目されてきたコンビニエンスストアが、大きな転換点を迎えています。いや、転換点はとうに過ぎて、既に緩やかな斜陽化に向かっているという見方も少なくありません。

実際、右肩上がりの成長を続けてきたコンビニ業界には、それまでなかった出来事が次々に起きています。

ミニストップが上場来初の赤字転落へ

3月16日、店舗数ベースでコンビニ業界第4位のミニストップ(9946)が、2018年2月期の業績見通しを下方修正しました。営業利益は従来予想17億円から▲1億円へ、連結最終損益も同1億5千万円から▲11億5千万への減額修正で、いずれも1994年の上場以降で初の赤字転落です。

下方修正の主な要因は、国内と韓国の売上低迷、および国内店舗を中心とした減損損失の計上となっていますが、国内コンビニ事業の不振が大きく足を引っ張ったことは明らかです。

なお、国内コンビニに関しては、既存店1店舗の1日あたりの売上高を対前年同期比101.5%で計画していたところが、通期での前年比は99.8%に止まったようです。計画が甘かったと言えばそれまでですが、コンビニ事業としては非常に大きな乖離と言えましょう。

しかし、これはミニストップに限った特殊要因ではありません。他のコンビニ各社も程度の差こそあれ、似たような状況にあるのです。

コンビニ業界の成長神話が崩壊しつつある理由

長らく好調が続いてきたコンビニ事業の頭打ち傾向が強まった主な理由は、(1)店舗拡大を進めてきたコンビニ業界内での過当競争(同系列店舗との競争も含む)、(2)ドラッグストアや食品スーパーなど他業種との競争激化、(3)消費者のネット販売へのシフトなどに加えて、昨今の人手不足に伴う人件費増加が追い打ちを掛けていると考えられます。

コンビニ各社も手をこまねくばかりではなく、様々なサービス拡充や高齢者向け宅配を開始するなどの施策を講じていますが、現時点では大きな効果が出ていないのが実情です。

こうした収益圧迫要因は今後も拡大すると見られ、とりわけ、(3)に挙げたネット販売の影響は益々大きくなると考えられます。コンビニ業界はもはや成長産業ではなく、生き残りを賭けた熾烈な戦いが続くという見方が出るのも当然のことでしょう。

株式市場で鮮明になった“ファミマ買い、ローソン売り”

コンビニ業界での生存競争は、株式市場にも表れてきました。

2018年に入ってから、ユニー・ファミリーマートホールディングス(8028)の株価上昇が続く一方で、ローソン(2651)の株価低迷が続いています。

直近2月末以降を見ると、ユニー・ファミリーマートHDは昨年来高値を更新する日が相次ぎ、3月下旬に入っても高値更新となる日が珍しくありません。しかし、ローソンは2月26日~3月2日まで5日連続で昨年来安値を更新したのを始め、3月8日には約4年ぶりの安値水準を記録するなど、両社の株価は好対象でした。

その後、ローソン株はやや戻したものの、まさしく“ファミマ買い、ローソン売り”の値動きが今も続いています。実は、改めて振り返ってみると、この2年間で両社の株価には決定的とも言える大きな差がついてしまったのです。

ローソン(青)、ユニー・ファミリーマートHD(赤)、セブン&アイHD(緑)の過去2年間の株価比較

“ファミマ買い、ローソン売り”が起きた背景

この背景には、国内外の投資家、とりわけ海外投資家がポートフォリオの見直しの一環として、同じコンビニ株ならばローソン株の比重を減らして、ファミマ株を引き上げる動きに出たと推察されます。これは、以前コンビニ業界が成長産業と目された時には、ほとんど見られなかった動きです。

成長が見込めない業種ならば、その中でより成長が期待できる企業に多くの投資資金を振り向けるということでしょう。

では、なぜ今“ファミマ買い、ローソン売り”なのでしょうか?

吸収合併や経営統合で規模の拡大を目指すファミリーマート

ユニー・ファミリーマートHDは、2016年9月にファミリーマートがユニーGを吸収する形で経営統合した企業で、ユニーGの傘下にあったコンビニ「サークルKサンクス」も続々と「ファミリーマート」に衣替えを行っています。

ファミリーマートは2010年にもコンビニ「am/pm」を吸収合併しました。その結果、ファミマはいつの間にか最大手のセブンイレブンとほぼ肩を並べる店舗数へと拡大したのです。

店舗数だけ拡大すればいいというわけではありませんが、規模拡大による調達コスト削減などシナジー効果が見込めるほか、今後は間接部門のスリム化等による経営効率化も期待できます。もちろん、顧客層の拡充による売上増加も大きなメリットでしょう。

方向性が今一つ明確でない印象が強いローソン

一方のローソンは、店舗数こそ業界3位とはいえ、上位2社と大きな差がついてしまいました。規模の拡大メリットを享受するには、少し中途半端と言えそうです。

また、経営トップが度々交代する中で、その方向性(「ローソン100」の展開、成城石井の買収など)がやや不透明という印象が拭えません。2017年2月には三菱商事の連結子会社になったものの、少なくとも、目に見える形の効果が出ていないようです。

そして、肝心の業績も2018年2月期は2期ぶりの減益となる見込みで、営業利益率の悪化にも歯止めがかからない状況です(2015年2月期の14.2%から218年2月期見込み10.1%へ)。

ローソンの株価低迷は経営の“大きな変化”を促す「催促相場」

この状況ならば、ローソンからユニー・ファミリーマートHDへ投資資金をシフトするのは、当然と言えば当然のことかもしれません。また、これは同時に、ローソンに対して経営面での“大きな変化”を促すものとも言えましょう。決してローソンが見限られたわけではなく、株式市場でいうところの「催促相場」です。

しかし、この先に何の変化もなければ、ほぼ間違いなく見切りを付けられる可能性が高いはずです。

成長シナリオが大きく狂いかけている、あるいは、既に崩れてしまったかもしれないコンビニ業界では、今後も次々と大きな動きが出てくるでしょう。そうした動き、とりわけ、ローソンの今後の動きに注目したいと思います。

LIMO

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