孫会社の時価総額は5兆円!? その企業グループの実態とは
LIMO / 2018年5月25日 10時15分
孫会社の時価総額は5兆円!? その企業グループの実態とは
株式投資が楽しくなる「企業トリビア」
「孫会社」というと、孫会社を生み出した「親会社」と「子会社」があり、一般的には親会社の企業規模が最も大きく、子会社、そして孫会社と次第に小さくなっていくイメージがあるのではないでしょうか。
ところが、孫会社が親会社や子会社の規模をはるかに超えて大きくなった企業があります。今回はその企業グループを見ていくことにしましょう。
源流の企業には日本を象徴する名称がついているが・・・その由来とは
まず、時価総額5兆円の孫会社を生み出した親会社の歴史的な文脈から始めます。その親会社とは「富士電機」です。産業向けモーターから、インバーター等に使用されるパワー半導体などまでを開発製造しています。
その富士電機の「富士」ですが、実はこの社名の由来は「富士山」の「富士」ではありません。
では、何が由来なのでしょうか。
これは、富士電機が1923年に古河電気工業とシーメンス(ドイツ語ではジーメンスと発音)の資本・技術提携によって富士電機製造株式会社として設立されたことに由来します。古河の「ふ」とジーメンスの「じ」をとって「富士(ふじ)」としたのです。
余談ですが、J2のサッカーチームであるジェフユナイテッド市原・千葉のユニフォームの胸元には富士電機のロゴがついています。
ジェフはJEFと表記しますが、これは運営会社であるジェフユナイテッド株式会社の株主が東日本旅客鉄道株式会社(JR East)と古河電気工業株式会社(Furukawa Electric)であることに由来します。JR Eastの”JE”とFurukawaの”F”を組み合わせたというわけです。
富士電機が生み出した国内有力ICT企業
次に、富士電機が生み出した子会社について見ていきます。富士電機の事業領域はメカトロニクスでしたが、その富士電機が生み出した企業はICT(情報通信技術)に強みを持つ富士通です。
1935年に富士電機製造株式会社の電話部所管業務(交換および伝送)が分離し、富士通信機株式会社が設立されます。1949年には東証に上場、1967年に社名が富士通株式会社に変更されました。
ちなみに、富士通サッカー部を前身としているのがJ1のサッカーチームである川崎フロンターレです。そのユニフォームの胸元にはFUJITSUのロゴがあります。
川崎フロンターレの公式サイトでは、川崎フロンターレを運営する株式会社川崎フロンターレの株主として富士通や富士電機の名前が並んでいます。
時価総額5兆円企業とはどこなのか
さて、富士電機、富士通という流れから生まれた孫会社、時価総額5兆円企業とはどこでしょうか。
それは黄色いロボットでおなじみの「ファナック」です。ファナックは1958年に現在の富士通のNC(数値制御)部門として始まりました。
1972年に富士通からNC部門を分離して設立された当初の社名は富士通ファナック株式会社でしたが、1982年にファナック株式会社に変更となっています。
では、ファナックの名称の由来は何なのでしょうか。それは、ブランド名として利用していた”Fuji Automatic NUmerical Control”の頭字語であるFANUCとされています。
それぞれを時価総額で比べると
ここまで富士電機、富士通、ファナックと見てきましたが、最後に時価総額を比べてみます。すると、2018年5月22日現在で、富士電機の時価総額は約6000億円、富士通が約1.4兆円、そしてファナックが約5兆円と、親、子、孫の順に時価総額が大きくなっています。
企業のDNAが次々と伝承され、さらに規模の大きな企業を生み出していく理想の姿と言えるのではないでしょうか。
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