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心が折れる職場に共通する「ある特徴」とは?

LIMO / 2018年6月2日 12時20分

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心が折れる職場に共通する「ある特徴」とは?

「人が集まる職場」のつくり方

 社員が生き生きと働いている会社もあれば、反対に人を採っても採っても辞めていくような会社もある。働く人の心が折れるような職場には、雰囲気の上で何か共通点はあるのだろうか?

「うるさすぎる職場はもちろんダメですが、私語が一切ないような、静かすぎる職場も問題です」と話すのは、「職場のメンタルヘルス・コミュニケーション対策」の第一人者であり、『人が集まる職場 人が逃げる職場』の著者・渡部卓氏。職場の雰囲気として、どんな状態が理想的なのかを解説してもらった。

メンタル不調者が多い職場の特徴

 私は職場のコミュニケーションやメンタルヘルスのコンサルタントとして、国内外の中小企業から大企業まで、さまざまな企業から依頼を受けてきました。依頼内容として多いのが、「メンタル不調になる人が多い」「休職者・退職者が多い」などの問題を抱えて困っているので、その解決策を教えてほしい、というものです。

 状況を確認するために、依頼のあった企業を実際に訪問し、オフィスや工場などを人事スタッフと一緒に巡回することもよくあります。そうしてたくさんの企業を回ってきた中で、問題を抱えた職場には、いくつかの「共通点」があるとわかりました。

・チリひとつ落ちていないような綺麗で整然としたオフィス
・人はたくさんいるのにシーンと静まり返っている
・ロボットのように無表情で作業する社員が多い

 こういった職場は、メンタル不調に陥る人や休職・離職が多い傾向にありました。つまり、「あまりにも管理・統制された空気」の中では、人は生き生きと働けないということなのです。

どんな職場が理想的なの?

 とはいえ、私語を慎まず全員が好き勝手に話していて、まったく統制が取れていなかったり、相手が踏み込まれたくないような話までズケズケと踏み込んでしまったりするような職場だと、それはそれで問題があります。

 仕事はきちんと行いつつ、気になることがあれば気軽に相談できたり、会議で一人ひとりの発言が多かったり、休憩時間には和やかに雑談をするなど、メリハリを持って、適度に「ワイワイガヤガヤ」している雰囲気の職場が理想的です。

 実際にそんな職場を訪れたこともありますが、「適度にワイガヤ」な職場は、多くの社員が生き生きとしていて、人事部の方や管理職の方も自然体で明るい人が多い印象がありました。

「交流の場」を設けただけでは意味がない

 最近ではそうした「雰囲気づくり」の重要性を感じている企業も多く、社員同士が交流できるような交流会や休憩所・サロンのような場所を会社側で設けるようなところもあります。

 しかし、「実際にやってみたらあまりうまくいかなかった」「盛り上がらずに数回で終わってしまった」という声もよく聞きます。

 それも仕方のないことで、いきなり社員を集めて「さあ、みなさんで会話をしてください」と言っても、その場の会話が盛り上がるとは限りませんよね。交流の場を設けるのはいいのですが、ただ場所を用意しただけでは、あまり意味がありません。

自然な交流を広げるには、まず「自己開示」する

 そこで、交流の場をつくるときには、誰もが話しやすい空気をつくっていただきたいと思います。特に効果的なのは、主催者や交流を広げようとする側が、まず「自己開示」することです。

 私は企業の講演会に呼ばれた際、参加者同士のグループワークを行うことが多くあります。しかし、「まずお近くの方同士で自己紹介しながら、意見や感想を交換しましょう」と言っても、なかなか誰も話そうとはしない、あるいは話し出してもぎこちなく、一言二言で会話が終わってしまうようなことが多々あります。

 そこで私は、こんな場面では、ある「工夫」をするようにしています。

 それは「まず自分の実体験をお話しする」ようにすることです。その講演会のテーマがストレス・マネジメントについてであれば、「私はストレスの専門家と言われているんですが、私も上司と部下の板挟みのストレスで円形脱毛症になっちゃって、悩んだ時期もありますよ。それはちょうど厄年の42歳のときで……」などと、思い切って自己開示してしまいます。

1人の自己開示から会話しやすい空気が生まれる

 すると、はじめは「講演会なんて、この忙しいときに面倒だな」という顔をしていた社員の方たちが、興味を持ったように少しずつ表情が変わってくるのです。

 その上でグループをつくってもらって、「1人3分ずつ、自己紹介と、自分のストレス体験を話してください」と言ってスタートすると、みなさんつい話に熱がこもって、なかなか終わらない。「もう終了時間ですよ」と言っても話すのをやめないのです。

「私、ストレスが溜まると眠れなくなっちゃうんですよ……」

「私も同じです。でも、アロマテラピーをやったらよくなりましたよ」

「えっ、本当ですか! どういうアロマがいいんですか?」

 などなど、私が一方的に話すよりもよい情報交換・交流ができていることもあります。私の自己開示をきっかけに、自然に会話のしやすい雰囲気が生まれたというわけです。

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自己開示はあくまで「きっかけ」に使う

 これは特別な交流の場に限らず、ふだんの職場においても同様のことです。上司や管理職など、職場における権限を持つ方ほど、自己開示から自然な交流を広げ、「話をしてもいいんだ」という空気をつくっていただきたいと思います。

 ここで気をつけていただきたいのは、自己開示はあくまでも「相手の話を引き出す」ためのコツである、ということです。

 ですので、一方的に自分の身の上話をするのはダメです。まずこちらから軽く自己開示した上で、「私はこうなんだけど、あなたはどう?」と相手に問いかけ、話を広げていくことを忘れないようにしてください。

「一日、誰とも話さない」職場にしない

 終身雇用と年功序列制度が当たり前だった一昔前には、良くも悪くも家族意識が強い会社が多く、ワイワイガヤガヤする空気が浸透していました。しかし、いまでは「個人に干渉しない」「プライバシーを重視する」風潮が強くなってきています。

 もちろんそのことは決して悪いことではないのですが、結果として「出社してからほとんど何も話さずに退社する人が多い」「隣の席の人がどんな人なのか、どんな仕事をしているのかもよく知らない」といった状況になっているようでは問題です。

 このような職場では、「職場にいると気が詰まって憂鬱になる」「誰にも相談できない、頼れない」といった思いを抱えた社員が心身に不調をきたし、逃げていってしまうのもうなずける話です。

 職場に適度な会話を生むためには、管理職からの意識的な働きかけも必要だと感じます。まずは基本の「挨拶」から始め、続いて「自己開示」からの問いかけで話を広げ、「適度にワイガヤ」な職場を目指してみてはいかがでしょうか。

 

■ 渡部卓(わたなべ・たかし)
産業カウンセラー、エグゼクティブ・コーチ。帝京平成大学現代ライフ学部教授、(株)ライフバランスマネジメント研究所代表。職場のメンタルヘルス・コミュニケーション対策の第一人者であり、講演・企業研修・コンサルティング・教育・メディア等における多数の実績を持つ。『明日に疲れを持ち越さない プロフェッショナルの仕事術』ほか著書多数。

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