柔軟剤の匂いで頭痛、「香害」の被害者は6割にも?
LIMO / 2018年6月21日 12時35分
柔軟剤の匂いで頭痛、「香害」の被害者は6割にも?
ビジネス、今日のひとネタ
梅雨に入って、洗濯物の扱いが難しい季節になってきました。今日は洗濯物を外に干すか干すまいか……と迷う天気が続きます。
洗濯物の生乾きの匂いのほか、汗の匂いなど、いろんな匂いが気になる時期ですが、「香害」という言葉をご存知でしょうか?
新聞の全面広告にネットで反響が
香害とは、体調不良などを引き起こしてしまう人工香料の強い香りのことを指します。主な例として、柔軟剤、消臭抗菌スプレー、制汗剤、芳香剤、合成洗剤などの香りが挙げられ、体臭などは含まれません。
「日本に新しい公害が生まれています。その名は『香害』」
上記のような警鐘を鳴らしたのは、無添加せっけんなどを扱うシャボン玉石けん。6月5日の朝日新聞、毎日新聞の朝刊に全面広告を掲載し、ネット上でも大きな反響を呼びました。
薔薇の花が描かれた柔軟剤っぽいボトルから、毒々しいピンク色の煙が一面に広がっているこの広告のイメージビジュアルは、まさに工場から排出される有毒ガスを連想させます。
「香害」経験者は6割にも
この意見広告には「素晴らしい」「言いにくいことだからありがたい」「もっと知られるべき」など賛同の声が上がっています。現状では、こうしたことを訴えても「いい匂いなのに」「神経質すぎるんじゃないの」「そんなことで騒ぎ過ぎだよ」と、取り合ってもらえないことが多いからです。
同社(シャボン玉せっけん)の調査によると、香りに含まれる化学物質などによって頭痛・めまい・吐き気などの体調不良を経験したことがあると回答した人は59%にも上ったと報告されており、単純に「気にしすぎ」とは言いがたいようです。
同社による調査方法はウェブ調査で、対象がすべて20代から50代の女性、サンプル数が415人、というのはいろいろ偏り過ぎじゃないかとも思いますが、実際にウェブの声を拾ってみると、男性らしき人で柔軟剤の匂いで頭が痛くなったと訴える人も数多くいます。
化学物質過敏症者にとっては深刻な問題
人工香料が含まれる製品には、いくつもの揮発性の化学物質が使用されています。
ごく薄い濃度の化学物質でも頭痛や思考力の低下、ぜんそくなどをひきおこしてしまう化学物質過敏症(MCS)の人々にとっては、本人のパフォーマンスが十分に発揮できず、特に「香害」に悩まされていると言ってもいいでしょう。症状が重くて、匂いに耐え切れず、学校や職場、あるいは結婚式・葬式などにも行けないといった方もいるようです。
ちなみにMCSについては、日本では大規模な調査はまだなく、推定患者は70万人とも100万人とも、あるいは150万人くらいいるともいわれます。
でもスメルハラスメントも怖い……
しかし、一方で同様の問題として挙げられるのが、口臭・体臭・洗濯物の生乾き臭など、悪臭を原因とする「スメルハラスメント(スメハラ)」。こちらは耳にしたことのある人も多いのではないでしょうか。
匂いケアなどを謳う製品や広告は多く、「香害」を垂れ流してしまう人の中には、スメルハラスメントを恐れて、体臭をかき消すように匂いの強い制汗剤や柔軟剤を使ってしまう人も少なくありません。ですが、匂いの感じ方には人によってかなり違いがあり、自分が「臭いかも」と思っても、実は他人にとっては大したことはなく、考え過ぎということがあり、また逆のこともあるから困ってしまいます。
人種によっても違う「匂いの感じ方」
体臭はや匂いの感じ方は、人種や食生活によっても違いがあり、海外に住んだことのある日本人で「欧米の人は体臭もきついけど香水もきつい……」と話す人は多くいます。東アジア圏の民族は体臭が比較的少ないといわれますが、欧米人の中には日本人や韓国人について「魚の匂いがする」と感じる人もいるそうです。
しばらくお風呂に入っていない、歯を磨いていない、衣服が生乾きで臭いなど「不衛生による匂い」は常に気を配るべきでしょう。しかし、国際化の時代に、自分にしても他人にしても、「人の体臭というのはある程度は仕方のないものだ」という考え方も必要になってきているのかもしれません。
せめて努力で解決できる部分は気をつける
匂いの感じ方や体臭にはそもそも個人差があることもあって、匂いの問題はデリケートでなかなか他人が指摘しにくい、という側面があります。ですが、同僚や家族など、長時間ともに過ごす人々のことを考えると、意外に重要な問題だというジレンマがあります。
これからの季節は、「香害」の面でも、「スメルハラスメント」の面でも調節が難しい季節です。せめて不衛生による悪臭、強すぎる人工香料など、努力と気遣い次第で解決できることは気を付けていきたいですね。
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