中国株式に”底割れ懸念”、再びチャイナショックとなるのか
LIMO / 2018年6月28日 10時15分
中国株式に”底割れ懸念”、再びチャイナショックとなるのか
深刻な株価低迷が続く中国市場
久々に株価暴落が起きた今年前半の世界株式市場
早いもので今年も半分が過ぎようとしています。今年前半の世界の株式市場は、久しぶりに大きく揺れ動きました。
改めて振り返ってみると、昨年秋からの上昇相場を引き継ぐ形で1月下旬にはほぼ全市場で高値を付けましたが、2月初旬に起きた米国市場での急落を皮切りに、世界中で株価暴落となったのは記憶に新しいところです。日米欧などの主要市場では、1月下旬の高値から2カ月後に概ね▲15%近く下落しましたので、久しぶりの“暴落”と言っていいでしょう。
確かに、10年前のリーマンショック時に比べると下落はマイルドでしたが、最近では2016年6月のブレグジット以来の大幅下落になったことは間違いありません。
3月下旬以降の株式市場は回復傾向が鮮明だが…
しかし、3月下旬から底打ち感が出始め、上昇に転じる市場も目立つようになりました。中には、米国ナスダック総合指数のように、暴落前の高値を抜いて過去最高を更新するレベルに回帰したものもあります。
また、日本の株式市場も、まだ暴落前の水準には至っていませんが、4月以降は8週連続上昇を記録するなど、一連の暴落がなかったかのように順調な回復を示しています。
世界の株式市場はこのまま回復を続けていくのでしょうか。
目下の最大懸念は中国市場の株価下落
実は足元、2月~3月の暴落ショックが癒されつつある中で、新たな懸念が出てきています。それは、中国市場の深刻な株価低迷です。
まずは、昨年末以降の世界の主要市場における株価騰落率を見てみましょう。つまり、2017年末と直近株価(6月26日終値)との比較です。また、カッコ内は直近1カ月間の株価騰落率(5月25日と6月26日の終値比較)を掲載しています。
【米国】ナスダック総合指数:+9.5% (+1.7%)
【ロシア】モスクワMOEX:+5.7% (▲3.3%)
【インド】ムンバイSENSEX:+4.1% (+1.6%)
【豪州】オーストラリアASX200:+2.2% (+2.7%)
【カナダ】S&Pトロント総合指数:+0.4% (+1.3%)
【フランス】CAC40:▲0.6% (▲4.7%)
【米国】NYダウ:▲1.8% (▲1.9%)
【日本】日経平均株価:▲1.9% (▲0.5%)
【英国】FTSE100:▲1.9% (▲2.5%)
【香港】香港ハンセン指数:▲3.5% (▲5.6%)
【韓国】韓国総合指数:▲4.7% (▲4.5%)
【日本】TOPIX:▲4.8% (▲2.3%)
【ドイツ】DAX指数:▲5.3% (▲5.4%)
【ブラジル】ボベスパ指数:▲6.5% (▲9.5%)
【インドネシア】IDXコンポジット:▲8.3% (▲2.5%)
【中国】上海総合指数:▲14.0% (▲9.4%)
突出して大きい中国の株価下落率、米国の利上げも一因に
こうして見ると、昨年末以降の約半年間で▲14%下落している中国の株価下落率が、他国より突出して大きいことが分かります。また、直近1カ月間の下落率で見ても、ブラジルと並んで大きいことも分かります。
現在、上海総合指数は“節目”と言われた3,000ポイントを大きく割り込み、約2年半ぶりの安値を更新中です。
その一因は、米国の利上げの影響と言われています。確かに、米国の継続的な利上げ実施に伴い、資金引き上げが続く新興国の株価下落が顕著です。中国以外でも、インドネシアやブラジルなど、インドなど一部を除く多くの新興市場国で株価低迷が続いています。
しかし、それだけでは中国の株価下落が突出していることを十分に説明できません。
米中貿易摩擦問題も大きな要因だが…
他の要因として挙げられるのが、いわゆる“米中貿易摩擦問題”の影響です。トランプ政権が打ち出した中国製品(鉄鋼など)への課税強化や輸入制限が、米中貿易戦争に発展するリスク拡大につながっているというものですが、これも間違いなく株価下落の要因になっていると言えましょう。
しかし、米中貿易摩擦問題で、この突出した中国の株価下落を十分に説明できるでしょうか。
少し気になるのが、最近発表されている中国の経済指標です。現時点では、急激に悪化しているデータが公表されたわけではありません。しかし、回復ペースが鈍化した、あるいは、既にピークアウトしたと推察できる指標が多いことも事実です。
たとえば、大手建機メーカーが公表している中国の油圧ショベル需要(月次)を見ると、5月の伸び率は+55%増(対前年同月比)となり、直近では最も低い伸びとなりました。確かに、+55%増は大きい伸びですが、既にピークアウトしつつあると見られたようです。この数値が公表されて以降、日立建機(6305)やコマツ(6301)などの株価は連日で年初来安値を更新しました。
3年前の“中国ショック”再発への警戒が必要
中国の株価下落で思い出されるのは、2015年夏に起きた“中国ショック(チャイナショック)”です。あの時もきっかけは小さな経済指標でしたが、6月中旬の高値から2カ月後には最大▲45%下落する大暴落となったのです。
この“中国ショック”は、世界中の株式市場に極めて大きな影響を与えたことを覚えている人も多いはずです。現時点では、今回はそこまで深刻な状況には至っていませんが、それでも、今後は中国株式市場の“底割れ懸念”に注意が必要です。
3年前の“中国ショック”再来となる懸念は、まだ燻ったままと考えられます。
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
2024年11月のマーケットの振り返り【解説:三井住友DSアセットマネジメント・チーフリサーチストラテジスト】
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年12月3日 16時50分
-
強すぎる米国株に付いていけない日本株。エヌビディア決算は期待上回れず
トウシル / 2024年11月25日 12時10分
-
アングル:中国本土株の投機買い過熱化、外国投資家も追随の構え
ロイター / 2024年11月21日 17時32分
-
米国「トランプ相場」の余韻に日本と中国が絡む展開~一喜一憂しやすい地合いで上値トライできるか?~
トウシル / 2024年11月11日 12時10分
-
トランプ氏当選で注目のセクターと懸念点は?新政権発足から100日間は「ハネムーン期間」
MONEYPLUS / 2024年11月9日 7時30分
ランキング
-
1昔は〈円高不況〉という言葉があったのに…令和のいま〈円安〉が景気に効かなくなった納得の理由【経済評論家が解説】
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年12月7日 9時15分
-
2抜群の資産価値を誇る「高級腕時計」…世界の時計愛好家が愛してやまない〈超人気モデル〉の市場価格を徹底比較!
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年12月7日 10時15分
-
3Temu運営の中国「拼多多」、成長ペースさらに鈍化 7~9月は売上高、純利益ともに予想値に届かず
東洋経済オンライン / 2024年12月6日 17時0分
-
4次に売れるクルマは何か? どん底の日産が復活するための道筋
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年12月7日 6時15分
-
5日本もまだまだ捨てたもんじゃない…国民を「生活の困窮」から救うこれだけの支援・助成制度
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年12月7日 10時15分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください