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保育園無償化で女性は働きやすくなるの? お金だけではない問題点

LIMO / 2019年1月17日 10時40分

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保育園無償化で女性は働きやすくなるの? お金だけではない問題点

2019年10月から幼児教育・保育園無償化が開始されることが決定しました。これで3歳児以上(年少以上)は幼稚園および保育園の利用料が原則無料になります(幼稚園は上限あり)。保育園では0~2歳児は住民税非課税世帯のみ無償となり、それ以外は今までのままですが、3歳児以上で認可保育園に通う場合は年収などに関係なく無償化の対象です。

保育園に無料で預けられるのなら女性が働きやすくなるのでは?と思うかもしれませんが、実際にはそう簡単に解決できなさそうです。お金だけの問題ではない、女性が働きに出られない理由について考えてみました。

保育園無償化になれば、さらに待機児童が増える可能性も

現在、待機児童を減らそうと保育園の新設や幼稚園でのこども園の設置などの政策が進み、自治体にもよりますが以前に比べると保育園に入所させやすくなったようです。しかし、保育園が無償化になって働きたい人が増えれば、さらに待機児童が増えることになることも想像できます。

一度キャリアを中断して専業主婦になっていた人が正社員になるのは、小さな子供がいる場合かなりハードルが高く、パートか派遣しか職を見つけられないということがほとんどだと思います。

激戦区では、母親が正社員の場合は比較的入所させやすいですが、パートや派遣、求職中だと優先順位は低く、結局無償化の恩恵を受けようとエントリーしたところで入所できない可能性は高くなりそうです。

こうなると無償化だから働こうと思っても、働くことができないという女性も出てきます。幼稚園の場合は無償化と言いつつも月に25,700円までの補助となり、月謝が高い園に通う場合は差額を支払う必要があります。

延長保育を実施している園は通常の25,700円までの補助に加えて月に37,000円まで補助が出るので、延長保育を上手く利用すれば働けますが、保育園の場合3歳以上は全額無償化になることを考えると、幼稚園は預かり時間も短く、働きたい人にとっては保育園よりもメリットが少ないようです。

働き始めた後も、子供の体調などが気がかりで気が重い

働き始めた後も、子供は風邪や病気をもらいやすく、その度に休んだり早退・遅刻を繰り返したりすることを考えると気が重いという意見もあるでしょう。

育休中の会社ですでに人間関係が構築されているならば、そのような場合でも仕事を頼めるかもしれませんが、新たに入社する会社の場合はそう気安くはいきません。子供が病気で苦しんでいる中、心を痛めながら病児保育に預けて出社をする方も多いようです。

父親である夫が協力的な場合は交代で子供の対応を行うこともできるでしょうが、男性の育児協力は企業の制度的にもまだまだ整っておらず、母親が対応することが多いのが実情です。

また、筆者は正社員として働いている時に1人目を妊娠したのですが、つわりがひどく、時には水しか飲んでいないのに1日中吐き続ける状態で、ピーク時は月の半分ほど出勤できない日が続きました。自分の代わりで残業が増えたことを聞き、周りに迷惑をかけてしまったという罪悪感がいつまでも消えず、2人目も望んでいたため、また迷惑をかけたくないと会社を辞めることにしました。

復帰後に子供の病気にプラスして、また妊娠した時に自分の体調で会社に迷惑をかけることを想像すると耐えきれなかったですし、働き続けるのは難しいと実感したからです。

単純に子供と過ごす時間が欲しい

育休の期間は会社によって異なりますが、国としては2年間育児休業給付金を支給してくれるので※、1年〜2年間育休が取れる会社もあるようです。また、生まれた子が想像以上に可愛く、泣く子を保育園に預けてまで働くことに罪悪感を感じる母親もいます。

経済的に厳しければ働かざるを得ない場合もあるでしょうが、夫の給与だけでなんとか生活ができる場合、「そこまでして仕事を続けなくても良いのでは?」と悩んでしまうようです。

人により価値観はさまざまですが、働く母も専業主婦もどちらも立派な仕事には変わりありません。自分の感情と働くことのメリットをよく考えて納得した上でのキャリア構築が大切だと筆者は考えます。

※2017年10月1日から、保育所等における保育の実施が行われないなどの理由により、子が1歳6か月に達する日後の期間に育児休業を取得する場合は、子が2歳に達する日前まで育児休業給付金の支給対象期間が延長された。

まとめ

保育園が無償化されたら、ある程度は働く女性も増えると思いますが、働きたい人が増えれば実際に働きたくても保育園が不足し入所できない可能性もあります。また、保育園だけの問題ではなく、母親自身の感情のコントロールも難しく、政府が望んでいる「1億人総活躍社会」のような増え方はしないのではないでしょうか。

いずれにしても女性が子育てをしながら働き続けることは難しく、無償化になるからといって簡単に解決することではありません。女性が働きやすい社会になるのはまだまだ時間がかかりそうですし、夫を始め周りの協力が重要になるでしょう。

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