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人間を超える? 著名ブランドも注目するバーチャルモデル

LIMO / 2019年2月28日 19時45分

人間を超える? 著名ブランドも注目するバーチャルモデル

人間を超える? 著名ブランドも注目するバーチャルモデル

ビジネス、今日のひとネタ

ここ数年で、「バーチャルリアリティ」や「バーチャルユーチューバー」など、「バーチャル〇〇」といった言葉はもはやおなじみのものとなってきました。

そんな中、最近、話題となっているのが「バーチャルモデル」です。いったい、どのようなものなのでしょうか。

バーチャルモデルとは?

バーチャルモデルとは、Instagramなどを中心に活躍する架空のモデル、デジタルヒューマンのことです。CGで作られた見た目は生身の人間そっくりですが、容姿はもちろん出自などの設定もすべて架空です。

彼らのInstagramのフォロワー数は非常に多く、Instagramでファッションブランドの宣伝を行うなどインフルエンサーとしても活躍しています。

バーチャルモデルの先駆けとなったのは、アメリカを拠点とするベンチャー企業、Brudによって運営されている「リル・ミケーラ(Lil Miquela)」と、イギリスの写真家、キャメロン・ジェームス・ウィルソン氏によってつくられた「シュドゥ(Shudu)」です。シュドゥのInstagramのフォロワーは15万人以上、ミケーラに至っては1500万人を超えており、かなりの人気があるようです。

架空のモデルに世界が注目

こうしたバーチャルモデルには、さまざまなファッションブランドが熱い眼差しを向けています。2018年8月には、フランスのブランド「バルマン」が自社のキャンペーンで、シュドゥを含む3人のバーチャルモデルを起用しました。

また、リル・ミケーラは、ブランド物を身につけるだけでなく、2018年末に自身のファッションブランドを立ち上げると発表しました。

アメリカの投資会社Betaworks Venturesのパートナーであるピーター・ロジャース氏は「2019年と2020年にはバーチャルインフルエンサーが多く見られるようになるだろう」と述べています。バーチャルモデルは(運営者がおかしなことをしない限りは)スキャンダルとは無縁の存在だけに、投資家らも注目しているようです。

バーチャルモデルは日本でも

日本では、2019年1月に「imma(イマ)」というバーチャルモデルが登場し、大きな話題となりました。

「CGに見えない」
「ここまでリアルだとなにが現実かわからなくなる」
「ほんとうにかわいい、ファッションも良い」

と感嘆する声や、immaに憧れる女性もすでに多くいるようで、ネットメディアで彼女の「インタビュー」が掲載されるなどしています。

一方で、immaは、人間の体と背景に、CGで作られた頭部が合成されていると発表されており、ネット上では、

「全部CGかと思ったのでがっかり」
「immaちゃんの顕現のために写真ごとに実在の自分の顔を潰されている実在モデルがいるのやばい」
「人間のモデル、いらなくなっちゃうのでは」
「バーチャルインフルエンサーにAIが搭載されたら大衆の意見とかがAIに操作されそう」

と不審に思う人も少なくないようです。

ファッション業界でのニーズ

近年では、ファッションモデルが摂食障害を患いがちなことが問題となっており、痩せすぎのモデルは起用しないという方針を打ち出した企業もあるほか、フランスではそうしたモデルの活動自体が法律で禁じられています。

しかし、バーチャルモデルであれば、モデルの健康面について考える必要がなく、年を取ることもありません。また、(あくまでイメージが崩れない程度にですが)体型を自由に変えられることもあって、ブランドや企業としては、自社製品を魅力的かつ効果的に売り出すための力強い協力者となり得ます。

こうしたバーチャルモデルは、SNSでインフルエンサーが多く活躍する時代にはまさにぴったりだと言えます。

生身のモデルも変わらざるを得ない!?

バーチャルモデルの表現がよりリアルで多彩になるとともに、制作コストが生身のモデルやカメラマンの起用時のコストより下がれば、今後、人間のモデルの仕事が少なくなっていくことは大いに考えられます。

「AIをはじめとした技術の発達で人間の仕事が奪われていくから、人間にしかできないことをしなくては」といった論調は、これまでもさまざまな業界でよく耳にされてきましたが、その波はファッション業界にまで届いているといえるでしょう。

これまでは、多くのモデルに対して、美しさや若さが求められてきましたが、それらの点ではCGにかなわなくなったり、長期的には活躍できなくなったりという事態も考えられます。そうなれば、人間のモデルには、単に容貌だけではなく、キャラクターや内面も含めた「深み」が重要になってくるかもしれません。あるいは、老いやある種の不格好さをテーマにしたモデルも出てくるのかもしれません。今後の動向に注目したいところです。

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