「パパのようにならないで」は禁句!? 男の子の育て方を考える
LIMO / 2019年2月28日 10時45分
「パパのようにならないで」は禁句!? 男の子の育て方を考える
共働きが当たり前の時代を生きていく息子へ
昨年末話題になった、「VERY」2019年1月号にて組まれた特集「『きちんと家のことをやるなら働いてもいいよ』と将来息子がパートナーに言わないために今からできること」。将来息子が結婚をし、夫婦で共働きになった際に「仕事だけではなく、“当たり前のように”家事育児を担うように、どう教育をしていくかを考える特集でした。
筆者夫婦にとっても、昨年生まれた息子に対して、性差や男女の役割分担といったトピックは教育における大きなテーマ。今回は、この“男の子育児”について考えます。
「お父さんのようにならないで」と思っても...
先の「VERY」の特集を見てもわかるように、「きちんと家のことをやるなら働いていいよ」という言葉は、家庭において少なからず妻が夫に言われていると思われます。
専業主婦の母親のもとで育った夫の「夫は仕事、妻は家庭」という考えを、今から変えることは難しい。であれば、息子には夫婦共働きや男女平等が当たり前であるという意識を持ってほしい。そして息子のパートナーになる人には、自分がいま感じているストレスやモヤモヤを感じてほしくない。この特集には、そんな妻たちの、切実な思いが込められていました。
ここからは、家事育児に関しては夫に似てほしくないと考える妻が多いことがわかります。しかし、母親に「あなたはお父さんのようにならないで」「お父さんに似ないでほしい」と言われる子どもの立場を考えると、この気持ちを息子に表現してしまうのは、絶対に避けたいことでしょう。
また、こうした気持ちが強くなりすぎた結果、「息子が自分の思う通りに育たないのは、夫に似ているせいだ」という考えに至ってしまう可能性も。最も身近にいる同性である父親は、息子にとってはあまりにも大きな存在です。そんな血のつながった父親を、存在から否定するような発言は親子の信頼関係が大きく揺らがせてしまうものだと思われます。
「家事は女性が無料で担うもの」という感覚をどう消すか
共働きだったり年収が夫婦でそれほど変わらなかったりするのに、家事負担は主に妻という家庭はいまだに多く存在します。そうした状況が当たり前の環境では、「家事はお母さんがやるもの」「お母さんが家事をやればタダ」という意識が子どもに芽生えてしまう可能性は大いにあります。それは、現在の子育て世代の男性たちが、専業主婦であった母親を見て抱くようになった意識と同じ。
そこで筆者が考えているのは、子どもの家事労働に対してお小遣いをあげるという“家事お小遣い制度”。掃除機をかけたり洗い物をしたり洗濯機をかけて洗濯物を畳んだり夕ご飯を作ったりと、さまざまな家事労働を子どもが手伝った場合には、その対価としてのお小遣いを子どもに支払うという制度です。
こうすることで「家事は無料ではない」「家事は女性だけのものではない」「家事は時間がかかるもの」という意識が培われるのではないか。この家事お小遣い制度によって、家庭内で労働と対価について実践を交えながら教えることができるのではないかと、期待しています。
「息子は母親の小さな彼氏」は夫への不満の裏返し?
男の子を持つお母さんから、「息子は小さな彼氏(恋人)」といった言葉を聞いたことがあるでしょうか。自分のことを無条件で自分を愛してくれる息子に対し、可愛さあまって“彼氏”のような感覚を持つお母さんが、実は少なくありません。筆者は出産前、「自分も息子を生んだらそうなるのかもな」と楽観的に捉えていました。
しかし出産後、この言葉の気持ち悪さが身に染みてわかるようになりました。これは、「誰かに求められる」「愛される」という承認欲求の対象を、恋人から家族に変わってしまった夫から、息子へと変換しているだけだからです。「息子は小さな彼氏」意識は、自分の意のままにならない夫への不満からきていることが往々にしてあるのでしょう。
そして息子を自分の意のままの男の子に育てたいという、強い支配欲もあるように感じます。たしかに息子は、自分のおっぱいを飲み、一緒にお風呂に入り、常に一緒にいる“彼氏”のような存在です。1歳~2歳になれば、意思疎通もでき、「ママ、ママ」と世界中の他の誰よりも自分を慕ってくれることになるでしょう。
しかし、あくまでも息子は自分から独立した一人の人間です。承認欲求や支配欲のはけ口として息子を利用してはいけないのだと、幼少期から母親が肝に銘じることは、とても大事なことのように思えるのです。
子育てにはこれと決まった正解がなく、自分が思った通りには絶対にいきません。だからこそ、我が家ではどんな教育や育て方をしていくか、家庭内の方針をどう定めるかを夫婦で考えるのは、とても大切な時間のように感じます。
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