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IEAの2018年需要見通し引き下げ受け、原油安

トウシル / 2017年11月15日 16時0分

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IEAの2018年需要見通し引き下げ受け、原油安

米税制改革の不透明感引きずり、金は小幅上昇

 金相場は小幅上昇。一時1週間ぶりの安値をつけた場面もあったが、ドル安や軟調な株式市場が押し上げ要因となった。

 また、米税制改革の進捗遅延のリスクも安全資産である金買いにつながった。米国株が全体的にやや弱い動きになっており、米長期金利の伸びも鈍い。これらは金相場の支援材料になりやすい。

 15日発表の10月の米CPI(消費者物価指数)は堅調な内容になりそうだが、これを受けた金融市場の反応には注意したい。もっとも、長期的なトレンドに変化が見られるとは考えていない。下値は相当堅いと考えてよいだろう。

 一方、米調査会社IHSマークイットは、中国、米国、欧州、インドの4市場において、HV(ハイブリッド車)を含むエンジン車が、20年後も新車販売の6割を占めるとの試算を公表。EV(電気自動車)が着実にシェアを拡大するものの、エンジン車の優位はしばらく続くとの見通しである。IHSは、2040年時点の4市場の新車販売台数を5,400万台、うちエンジン車の割合を62%と予想。2016年新車販売台数の98%から大幅に低下するが、「エネルギー密度の高さなど、化石燃料の優位性は根強く、なお主力の動力源の地位にとどまる」としている。

 ただし、HV販売によるところが大きく、HVを除いたエンジンのみの車は、2031年の時点で50%を割り込むと予想。また、次世代エコカーとして本命視されるEVのシェアは2040年に3割超となる見通しで、2016年の1%から大幅に増加する。EV普及の足かせとなっているバッテリーコストも販売台数の増加に伴って低下し、2030年代にはエンジン車に価格競争力で並ぶ見込みとしている。

 これらの動きは、プラチナ・パラジウムなどの白金族市場に大きな影響を与えることになるだけに、今後の動向には最新の注意が必要だ。

 

非鉄は全般的に上値の重い動き

 非鉄相場は軟調な展開。LME(ロンドン金属取引所)在庫は銅が増加したが、それ以外の銘柄が減少した。

 アルミは反落。上値の重い状況にある。銅も反落。6,920ドル超えに失敗しているが、6,750ドルでは下げ止まっており、これを維持できるかを注視することになるだろう。ニッケルは大幅反落。1万2,150ドルのサポートを割り込んでおり、目先は1万1,590ドルを維持できるかを確認することになる。

 亜鉛も大幅安。サポートの3,160ドルを割り込んでおり、このまま下げるようだと3,035ドルまでの下げになる可能性がある。鉛も反落。2,450ドルを試す動きにあり、これを維持できるかを確認することになるだう。

 今は全般的に上値の重い動きにある。株価の不安定さに加え、この日発表された中国の経済指標の内容が嫌気されているといえる。

 中国の10月のアルミニウム生産は255万トンと、前月の261万トンから2.3%減少。減少は4カ月連続。前年同月の273万トンと比べると7.5%の減少だった。コスト高に加え、違法な製錬所の閉鎖が影響した。

 中国政府による大気汚染対策の一環で、間もなく冬季の生産規制が始まるため、生産は今後も減少が見込まれる。1~10月のアルミ生産は2,723万トンで、前年同期比を3.7%上回っている。今年の生産は6月に過去最高となる293万トンまで増加したが、その後は違法な精錬所の閉鎖に伴い、減少傾向にある。

 また、10月の中国の非鉄金属全体の生産は446万トンとなり、9月の444万トンから小幅に増加したが、前年同月の455万トンを下回っている。また、1~10月の非鉄金属の生産は4,522万トンで、前年同期比3.4%増だった。

 中国の10月の鉱工業生産は前年同月比6.2%増と、伸び率は9月の6.6%から鈍化。環境汚染防止のための強制的な工場閉鎖や減産など影響したとみられている。過剰生産能力を抱える主な業界では、セメントが3.1%減、板ガラスが0.3%減と落ち込んだ一方で、粗鋼は6.1%増えた。10月の小売売上高は10.0%増と、2ケタの伸びを維持したが、9月に比べて小幅減速した。幅広い投資動向をカバーする1〜10月の都市部固定資産投資は前年同期比7.3%増となり、伸び率は1〜9月の7.5%を下回った。

 10月の不動産投資は前年比5.6%増で、9月の9.2%増から伸びが鈍化した。1~10月の不動産投資も前年比7.8%増と、1~9月の8.1%増から伸びが減速。10月の不動産販売(床面積ベース)は前年比6.0%減で、2015年1~2月以来最大の落ち込みとなり、減少率は9月の1.5%を上回った。1~10月の不動産販売(床面積ベース)は前年比8.2%増で、1~9月の10.3%増から鈍化した。10月の新築着工(床面積ベース)は前年比4.3%減。9月は1.4%増だった。1~10月の新築着工(床面積ベース)は前年比5.6%増、1~9月の6.8%増から鈍化した。

 不動産市場の沈静化措置により、大都市の住宅価格は若干軟化し、小規模都市の価格の伸びも鈍化した。ただし、急激な値下がりの兆候はみられていないもよう。中国当局は住宅ローン頭金向けの違法な資金調達の規制を強化しており、銀行に対して住宅購入者の所得について厳格に審査するよう求めているという。

 一方、中国の10年債利回りが一時4%に上昇し、2014年10月以来の高水準となった。市場の地合いが悪化する中、流動性の高い債券を売ってキャッシュポジションを確保しようとする動きが強まったようだ。利回りは9月末から約0.37%上昇している。また、10月の新規人民元建て融資も予想以上に減少し、2016年10月以来、1年ぶりの低水準となっている。

 足元のセンチメントは非常に弱いが、今後も経済指標がさえない状況になると、債券売りが続く可能性が指摘されている。政府債は、通常はマクロ経済環境が悪化したときに資金の安全な逃避先となるはずだが、発展途上である中国の金融市場の大部分は流動性が低いため、格付けの高い国債は社債などよりもポジションの解消が容易な資産クラスとなっているもよう。

 

IEAの2018年需要見通し引き下げ受け、原油安に

 原油は下落。米国の増産予想やIEA(国際エネルギー機関)による世界の石油需要見通しの下方修正が嫌気された。

 IEAの月報では、今年と来年の需要の伸び見通しを10万バレル下方修正し、今年は日量150万バレル、来年については130万バレルとした。気温上昇の影響で需要が減退する一方、一部産油国の大幅増産により、2018年上半期に供給過剰が再燃する場合があると予想している。

 米国では産油量が昨年半ばから14%増加している。これらの材料も市場に影響を与えていると言える。米国政府は来月のシェールオイル生産量が日量80万バレル増加し、12カ月連続で増加するとの見通しを示す。そして、API(米石油協会)が公表した10日までの週の米国内の原油在庫は、前週比650万バレル増で、対して市場予想は同220万バレル減だった。これも弱材料視される可能性がある。また、原油受け渡し拠点の米オクラホマ州クッシングの在庫は前週比180万バレル減だった。製油所の原油処理量は前週比日量28万9,000バレル減。ガソリン在庫は同240万バレル増、ディスティレート在庫は同250万バレル減。原油輸入量は前週比日量65万2000バレル増の810万バレル。

 IEAは11月の石油市場月報で、2018年の世界の石油需要見通しを前年比1.3%増の日量9,893万バレルとし、前月から19万バレル下方修正した。2017年は前年比1.1%増の9,765万バレルで、前月から6万バレルの下方修正とした。月報では、サウジアラビアで起きた王子や閣僚らに対する汚職の一斉摘発やイラクの供給減少などを背景に原油価格が上昇したと指摘する一方で、北半球で初冬にかけて例年よりも温暖な気候が続くことから、これが石油需要の足かせになるとしている。

 一方、中国の10月の国内製油所による原油精製量は前年比7.4%増の日量1,189万バレル(5,051万トン)で、過去最高だった9月の1,200万バレルに迫る高水準となった。1~10月の精製量は5%増の4億6,892万トン。10月の国内原油生産量は前年比0.4%減の日量377万バレル(1,601万トン)で、月間ベースで過去最低だった8月の375万バレルから底ばい。
調査会社HISマークイットが公表した調査報告書によると、オンデマンドの配車サービスが普及する中、世界の自動車販売台数は今後20年で減少する公算だが、石油需要は増加が続く見通しだと言う。

 さらに報告書では、2040年に世界で販売される自動車の80%以上が石油を燃料とした何らかの内燃エンジンを搭載したものになるだろうと指摘。米国、欧州、中国、インドの民間保有向け年間自動車販売台数は現在の合計約6,700万台から減少し、2040年には5,400万台になると予想。年間走行距離は合わせて110億マイル前後と、65%増加するという。

 自動車販売台数は減少するものの、輸送以外の分野を中心に石油需要は増加する見通しで、現在の日量9,800万バレルから2040年には同1億1,500万バレルに増加するとの見方を示している。また、2040年までに完全なEVが全自動車販売の約19%を占めるとも予想。モーターの他に内燃エンジンも搭載するPHV(プラグインハイブリッド車)は同14%を占める見通しとしている。

(江守 哲)

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