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米利上げ実施、パウエル議長がややタカ派と受けとられNYダウ反落

トウシル / 2018年3月22日 7時48分

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米利上げ実施、パウエル議長がややタカ派と受けとられNYダウ反落

FRBが0.25%の利上げを実施、市場予想通り

 21日(日本時間では22日午前3時)、米国の金融政策決定会合であるFOMC(連邦公開市場委員会)の結果が発表されました。米国の中央銀行であるFRB(連邦準備制度理事会)は、0.25%の利上げを実施。具体的には、1.25~1.50%であったFF(フェデラル・ファンド)金利の誘導水準を、1.50~1.75%に引き上げました。

米政策金利(FF金利)の推移:2000年12月~2018年3月

出所:各種データより楽天証券経済研究所が作成

 0.25%の利上げ実施を、市場はほぼ確実視していましたので、サプライズ(驚き)はまったくありません。

 今回発表されたFOMCメンバーによる先行きのFF金利予測(中央値)によると、2018年末のFF金利誘導水準は、2.00~2.25%(中心は2.125%)でした。今回の利上げを含め、今年0.25%の利上げが3回見込まれていることになります。これは、昨年12月のFOMCのときに発表された予想と同じです。

 一部に、今年の利上げ予想が4回になるとの見方もありましたが、そこまでタカ派(利上げに積極的)メッセージはありませんでした。

パウエル議長の記者会見でNYダウが下がり、ドル安(円高)に

 利上げ発表直後には、1ドル106.64円までドル高(円安)が進みました。ただし、パウエルFRB議長の発言が伝わるにつれ、米国株が下げに転じ、ドル安(円高)に転じました。日本時間3月22日6時30分時点で、1ドル106.05円です。3月21日のNYダウは、一時、前日比250ドル高まで上がっていましたが、就任後初のパウエル議長の記者会見から下げ、前日比44ドル安の2万4,682ドルで引けました。

米利上げ前後のドル円の動き:3月22日0:00~6:30(日本時間)

 FOMC声明文は、ほぼ予想通りでした。「労働市場は引き続き力を増し、経済活動は緩やかに拡大した」と、経済が好調であるとの認識を示す一方、「物価上昇率は、依然として2%を下回っている」と、足元はインフレが加速する兆しがないことに言及しています。今後の金融政策については、「さらなる緩やかな引き上げが必要になる」と、前回に続き、「さらなる」を加えた形で、利上げ継続が必要とのメッセージを示しました。

 利上げ後、記者会見に臨んだパウエル議長は慎重な言い回しで、柔軟な金融政策を維持すると発言していましたが、市場からは、ややタカ派(利上げに積極的)ととられました。その結果、米国株が下落に転じ、ドル安(円高)が進みました。

 パウエル議長は、「労働市場は引き締まったが、賃金上昇は確認されず」としながらも、先行きのインフレについて「非常に警戒している」と話したことで、利上げ加速の思惑が生じました。

「遅すぎる利上げペースは経済にリスクをもたらす」「(トランプ政権の)通商政策を企業は懸念し始めた」「一部資産は、歴史的水準と比較して高い」などの発言も、米国株が反落するきっかけとなりました。

 

米インフレ率は落ち着いており、利上げを加速させる理由はない

 とはいえ、米国のインフレが加速する懸念は、FOMC前から修正されつつありました。1月の平均賃金上昇率が、インフレ懸念を生みましたが、2月のデータがそれを修正する内容となりました。

 これまでの流れを見ると、2月2日に発表された1月の平均賃金上昇率(速報値)が、前年比2.9%と高かったことから、米利上げが加速する懸念を生じました。しかし、3月9日に発表された2月の平均賃金上昇率は、前年比2.6%に鈍化。また、1月の上昇率も、2.8%に下方修正されています。

 金融当局が重視しているコア・インフレ率は、ターゲットの2%を下回ったままです。したがって、現時点で、米インフレ率は落ち着いており、今、利上げを加速させる理由はありません。

米平均賃金上昇率と、インフレ率(消費者物価コア指数・前年比)の推移:2011年1月~2018年2月 

出所:米労働省

 

日経平均は、今しばらく2万1,000~2万2,000円で推移か

 米国の利上げは、特に大きな悪材料とはなりませんでした。日経平均株価は、今しばらく2万1,000円台で推移すると考えています。

 景気・企業業績が好調という強材料と、円高・トランプ政権の保護貿易政策・森友学園問題などの弱材料の綱引きとなりそうです。

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(窪田 真之)

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