ITサービスの普及加速で、最高益が続くシステムインテグレーター

トウシル / 2018年10月11日 7時53分

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ITサービスの普及加速で、最高益が続くシステムインテグレーター

ITサービス産業が持続的に成長する時代に

 21世紀の成長産業筆頭として、ITサービス産業があります。Eコマース、ネット金融、QRコード決済、ネット広告、ゲーム、音楽配信、人材紹介、カーシェアリング、旅行手配サービスなど、さまざまな成長分野があります。これに伴い、ITインフラの構築・高度化が喫緊の課題となっています。

 ITインフラ構築は、民間の大企業から先に進み、中小企業や官公庁は相対的に遅れていました。ところが2016年から、中小企業や官公庁でもITインフラ整備が待ったなしとなりました。起爆剤となったのは、2016年から導入されたマイナンバー制度。ITを使った業務効率化が、官公庁や中小企業にも広がってきています。

 一方、ネットを使った犯罪が巧妙化する問題もあります。サイバーセキュリティ対策を強化するニーズも、急速に拡大しています。

最高益更新が続くシステムインテグレーター大手

 こうした環境変化を受け、ITインフラ構築を手がけるSI(システムインテグレーター)や、サイバーセキュリティを提供する大手には、最高益を更新する企業が増えています。

システムインテグレーター、情報セキュリティソフト大手の今期連結営業利益

【金額単位:億円】
コード 銘柄名 連結
営業利益
増益率 営業
最高益
4307 野村総合研究所 700 7.5% 4期連続
4704 トレンドマイクロ 407 11.7% 3期連続
4684 オービック 350 8.3% 25期連続
9613 NTTデータ 1,420 15.0% 4期連続
出所:各社決算短信、連結営業利益は会社予想。トレンドマイクロの営業利益は2018年12月期予想、その他は2019年3月期予想。

 野村総合研究所(4307)は、野村系SIで、コンサル・システム開発・運用を一貫して提供できることが特色です。金融・小売り業などに強みを持ちます。

 トレンドマイクロ(4704)は、個人・法人向けの情報セキュリティソフトで国内トップです。近年、法人向けの契約が伸びています。

 オービック(4684)は、独立系SIで、主力のERPが安定成長しています。中小・中堅企業向けで強みを持ちます。

 NTTデータ(9613)は、SI専業で国内トップです。金融や、官公庁向けで強みを持ちます。M&A巧者(企業の買収・合併)で、積極的なM&Aが業績拡大に貢献しています。

成長企業として評価されているので、株価は割高ではないが、割安ともいえない

 SI大手は、今後も安定成長が続くと考えられます。ただし、株式市場ですでに「安定成長株」として評価されているため、PER(株価収益率)などのバリュエーションで見て、株価は割安とは言えません。私がファンドマネージャーならば、ポートフォリオに少しだけ入れておきたいと思うところです。
 

システムインテグレーター、情報セキュリティソフト大手の株価バリュエーション:2018年10月10日時点

コード 銘柄名 株価
(円)

PER
(倍)

配当
利回り
4307 野村総合研究所 5,630 26.4 1.6%
4704 トレンドマイクロ 6,880 33.6 2.3%
4684 オービック 10,640 34.5 1.1%
9613 NTTデータ 1,545 24.0 1.1%
注:PERは、10日株価を今期1株当たり利益(会社予想)で割って算出。配当利回りは、今期1株当たり年間配当金(会社予想)を10日株価で割って算出)

 

 5G導入で、業績拡大が期待される通信制御系システムインテグレーター

 来年から、米国、中国、日本、韓国などで、5G(第5世代移動通信システム)の導入が始まります。当初、2020年からスタートする予定の5Gが2019年に前倒しされる見込みとなったことに伴い、5G関連の設備投資が盛り上がる期待が出ています。

 5Gの特色は、通信の大容量高速化です。高精細画像・動画のダウンロード・アップロードが、今よりも、大幅に高速化されます。また、5Gでは、同時に多数の端末を接続することが可能になり、遅延が少なくなります。これに伴い、スマホを介したサービスは、飛躍的に拡大するでしょう。さらに、医療・ロボットなど幅広い分野に応用が広がると考えられます。

 5Gの導入に向けて今後は、基地局や通信設備、ソフトウエア、計測機器、光ファイバーへの投資が増えてくる見込みです。

 SIでは、通信制御系の仕事が拡大する見込みです。SIには、業務系と制御系があります。業務系はすでに繁忙で、最高益更新が増えています。

 ところが、通信制御系のSIは、近年、業績が伸び悩んでいました。4G(第4世代移動体通信システム)関連の投資が一巡してから、受注の端境期となっていたからです。ただし、2019~2020年にかけて、5G絡みで、通信制御系の仕事が増えてくると考えられます。そこで、業績拡大が期待できる銘柄の投資妙味も増してきていると思います。

 制御系ソフト開発の大手、富士ソフト(9749)は、今期(2018年12月)営業利益を、前期比3%増の100億円と予想していますが、足元の業績が順調に拡大していることから、同24%増の110億円まで上ぶれると予想されます。また、来期(2019年12月期)には、営業利益で過去最高益(2006年3月期の120億円)を更新すると予想されます。

 富士ソフトの株は、5G関連として買われてきており、10日の株価5,500円で、PERは29倍と、割安とは言えません。成長株として評価できますが、投資するのは、押し目を待ったほうが良いと思われます。

 

 

 

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