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そもそも、なぜ、あなたはiDeCoを利用しなくてはいけないのか考えてみよう

トウシル / 2016年11月2日 0時0分

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そもそも、なぜ、あなたはiDeCoを利用しなくてはいけないのか考えてみよう

iDeCoに加入すべきなのは流行だからでもセールストークを受けるからでもない

iDeCo(個人型確定拠出年金)に関する情報発信が増えてきています。関連書籍は一気に10冊を超える勢いで発刊されていますし(本コラム公開時には超えているかもしれません!)、雑誌や新聞の話題となる回数も増えてきています。

金融機関各社の取り組みも積極的で、セミナーの開催案内や制度案内のDMが届き始めているようです。楽天証券等の新規参入に加え、既存の金融機関のiDeCoプランのてこ入れも行われています。

しかし、iDeCoを「そもそも、なぜ」利用するのか、じっくり考えたことはあるでしょうか。流行だから乗っかるものではありませんし、セールストークをされたからおつきあいで入るものでもありません。

金融機関が積極的にセールストークしてきたからといって、おつきあいで「とりあえず口座だけ作っておくか」と考えてはいけません。なぜなら、個人型確定拠出年金の加入者になる、ということは「口座開設=積み立て開始」であるからです。最初の申込書に書かれた金額について、翌月から自動引き落としで積み立てがスタートし、その金額は60歳まで解約不可能になります。なんとなくおつきあいをした結果、大慌てになるかもしれません。

「そもそも、なぜ」の部分をしっかり理解しておくことが、iDeCoを活用するうえでの大前提です。今回は「なんとなく投資」から脱出する格好の題材である「老後資産形成」というテーマについて、iDeCoを軸に考えてみましょう。

iDeCoに加入すべきなのは公的年金が破たんするから、でもない

ところで、iDeCoという制度を国がプッシュするのは、国が公的年金制度破たんの可能性を自ら認めたものだ、という意見もありますが、これはむしろ逆でしょう。

もし、破たん可能性を軸にiDeCo加入を勧める金融機関があったとしたら、その金融機関は避けることをオススメします。というのも、国の年金をゼロと見込むとすればiDeCoだけでは老後の資産形成は足りません。仮に1.2万円を毎月22歳から60歳まで貯めたところで、1,282万円になりますが(年4%の利回りを想定、口座維持手数料は勘案せず)、これだけでは老後はまったくやりくりできないからです。

総務省家計調査年報によれば、年金生活世帯の夫婦は月27.6万円がかかっており、65歳女性の平均余命約24年を掛けると約8,000万円は必要ということになり、先ほどのiDeCoの水準であろうと歯が立ちません。

実は現在の公的年金水準は夫婦で月21~22万円のモデルが提示されており、女性の平均余命を勘案すればこれは生涯約6,000万円の収入に相当します。これにiDeCoを加える、というのが老後の経済を安定化させるための必須戦略であっても、ゼロからiDeCoのみで老後を備えるというのは無理筋です。

公的年金制度の破たん不安を煽りつつiDeCoセールスをするような金融機関は、おそらくiDeCoだけでは不足ですよと、あなたに他の金融商品(おそらくそれは売り手にとっては利益があるが、買い手にとっては高コストだけの商品)の提案をしてくるに違いありません。

実は公的年金の破たん可能性がきわめて低いことは、一昨年の財政検証により明らかになっています。もちろん、公的年金が給付水準を引き下げているのはその通りですが、給付水準の引き下げを行うほど、破たん可能性は遠のくのが道理です。そして、給付水準の引き下げと支給開始年齢の引き上げは、少子高齢化に悩む先進国のどこも行っているアプローチなのです。

先ほどの概算で示した約6,000万円が額面通り期待できないとしても、公的年金は社会保障制度である以上、我々の最低限度の生活水準を満たせないほどの給付水準になることはありません。スーパーで安い食材をしっかり買い、ドラッグストアで日用品を買い、ユニクロ等で衣料品を買えば、これからの時代も公的年金水準でやりくりすることは可能でしょう。

しかし、公的年金では、今までも、そしてこれからも、約束できない部分があります。それは個人にとっての「豊かさ」を補う部分です。

iDeCoに加入すべきなのは、老後の豊かさを自力で備えるべき時代だから

実のところ、今までも、公的年金は国民の老後の「ゆとり」の部分まで支える制度ではありませんでした。そしてそれはこれからも同じです。公的年金の水準は、我々の「楽しい老後」を感じる部分に予算を回せるほどの水準ではないのです。

先ほど紹介した総務省の家計調査年報でも、毎月62,326円が年金生活夫婦の不足額となっています。実はこれ、「交際費、教養・娯楽費」といった老後の楽しみ予算の合計(約5.5万円)にほぼ相当します。つまり、ひとりひとりが楽しく老後を過ごすための予算は公的年金水準では足らない部分であり、実際の年金生活者が個人資産を取り崩してカバーしなければならない、ということです。

そして、これもまた世界的潮流です。要するに「国の年金が支えられる部分には限界があるので、自分でがんばる人は誰でも使える税制優遇支援策を講じるよ」というトレンドです。公的年金水準を国民全員を対象に引き上げることが難しい場合、自助努力で備える人については支援を講じることで、個人個人の豊かさを実現するサポートをしているというわけです。

iDeCo(個人型確定拠出年金)が、そもそも、何のために位置づけられるか、わかってきたと思います。

自分で自分の老後を豊かにする努力がサポートされる制度、iDeCoを自分のために活用しよう

私たちは老後の困窮に備えるためにiDeCoを使うわけではありません。老後の基礎的な収入のベースは公的年金に頼みつつ、ひとりひとりの老後の豊かさの実現のためにiDeCoを使っていけばいいのです。

そして、確定拠出年金の本質は、「自分で自分の老後に備える人については、税制優遇を講じるのでお得に資産形成させてあげよう」ということです。だからこそ、現役世代の国民が誰でも確定拠出年金制度を活用できるようになるわけです。

iDeCoを使えば使うほど(つまり老後に備えて資産を積み増すほど)、私たちの目の前の所得税や住民税は軽減されます。22歳から60歳まで毎月1.2万円を積み立てる(元本547.2万円)人の実効税率が20%とすれば、109万円の所得税・住民税を納めずに自分の老後財産に変えるということです。

先ほどの例の1,282万円も、運用益非課税のメリットあればこそです。仮に運用益に20%課税され手取りが年3.2%にダウンすれば60歳時点の受け取りは1,066万円になってしまいます。要するに216万円分は運用益非課税という節税効果により老後の財産増につながったということなのです。

合計すれば300万円以上の節税です。それでも国は税収が減少する可能性に目をつぶって、国民の自助努力を支援しようとしています。これに乗らない手はありません。それは流行でもセールストークでもなく、自分自身の老後を豊かにするためです。

ところで、iDeCoの税制優遇チャンスは毎月どんどん消滅していきます。今月の掛金納付の権利は翌月末に失効していくからです。つまり少しでも早く、iDeCoに加入し積み立てをスタートさせることが重要です。(2018年1月から掛金は年単位化されボーナス月増額等に対応する予定)

自分の老後を自分で豊かにすることができるiDeCoをぜひ活用し、老後に備えていきましょう!それがiDeCo活用の理由であり、iDeCo活用によって得られる豊かな老後への一歩なのです。

(山崎 俊輔)

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