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米朝会談実施で日本株買い戻し?米金利上昇・貿易戦争の不安は消えず

トウシル / 2018年6月4日 7時45分

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米朝会談実施で日本株買い戻し?米金利上昇・貿易戦争の不安は消えず

4つの悪材料から、先週の日経平均は続落

 先週の日経平均株価は、1週間で279円下がり、2万2,171円となりました。一時、2万2,000円を割り込む場面もありました。

日経平均日足:2018年1月22日~6月1日

 

 以下、4つの悪材料が警戒されました。

(1)トランプ大統領が仕掛ける貿易戦争がエスカレートする懸念

 米中間の通商交渉は、解決の糸口が見えません。5月後半から、トランプ大統領が仕掛ける貿易戦争の矛先が、中国だけでなく、日本、欧州、カナダ、メキシコにも向き始めましたことが警戒されています。

 5月23日、トランプ大統領は自動車の輸入関税を25%に引き上げる検討を始めました。実現すれば、日本にもっとも大きなダメージが及びます。

 6月1日、米国は、EU(欧州連合)、カナダ、メキシコから輸入する鉄鋼とアルミニウムに追加関税を課しました。鉄・アルミの追加関税は、中国・日本に対して発動したものの、EU、カナダ、メキシコに対しては、発動を猶予していましたが、今回猶予期限は過ぎ発動しました。EUは報復措置を検討しており、対立が先鋭化するリスクがあります。

 

(2)イタリア政局不安で、イタリア国債が売られる

 イタリアでは、3月に実施された総選挙でポピュリズム政党「五つ星運動」と極右政党「同盟」が勢力を伸ばしました。両党で、連立政権の樹立を目指しましたが、EU批判を繰り広げる両党とマッタレッタ大統領との対立が先鋭化し、政権樹立が困難になりました。イタリアの政治混迷を嫌気し、イタリア国債が売られました。「五つ星」が、減税・公共投資増額などバラマキ型の財政を提案していることも、イタリアの信用不安を高めています。

 5月31日にはコンテ首相をたて、なんとか連立政権を発足されるめどが立ち、イタリアの政局不安はやや低下しました。ただ、ポピュリズム政党が主導して、反EU・反緊縮の動きを強める間、イタリア不安が続く可能性もあります。

 

(3)米金利上昇の副作用として、低信用国の通貨・国債が売られる

 米金利上昇で、新興国から資金を引き上げ、米国に戻る動きが出ています。その流れから、トルコ、アルゼンチン、ベネズエラ、ブラジルなどの通貨が売られ、国債も売られています。

 イタリアも、対外債務残高の大きい国です。イタリアの政局不安でイタリア国債が売られていますが、見方を変えると、米金利上昇の副作用で、低信用国イタリアの国債が売られていると見ることも出来ます。

 

(4)円高が進む

 貿易戦争の不安・イタリア政局不安・新興国通貨急落に伴う不安などが絡み、「リスクオフの円高」(世界的に不安が高まったときに安全資産として「円」が買われること)が進みました。

 今年の日経平均の動きを見ると、円高が進むと日経平均が下がり(円高株安)、円安が進むと日経平均が上がる(円安株高)流れが、顕著です。

ドル円為替レートの動き:2018年1月22日~6月1日

 

トランプ大統領が、予定通り、米朝首脳会談を実施と表明

 トランプ大統領は1日(日本時間では2日未明)、米朝首脳会談を予定通り、6月12日にシンガポールで実施すると表明しました。「1回の会談で、(非核化スケジュールなどで)合意ができるとは考えていない」と述べており、これから始まる交渉の「第1回」という位置づけです。

 懸案事項は、未解決のまま残りますが、時間をかけて解決に向かう方向性を出せたことは、株式市場で好感されそうです。今週の日経平均は、上昇してスタートすると考えられます。

 

5月の米雇用統計強く、6月12~13日FOMCで利上げの確度さらに高まる

 米労働省が1日発表した5月の雇用統計(速報値、季節調整済み)は、米景気動向をよく表す非農業部門の雇用者数が前月比で22万3,000人増え、景気好調と判断される20万人を超えました。完全失業率は3.8%で、2000年4月以来18年1カ月ぶりの低水準となりました。

 米景気好調が確認できたことで、6月12~13日のFOMC(連邦公開市場委員会)で、米FRB(連邦準備制度理事会)が利上げを決めるのは、ほぼ確実となりました。利上げは、諸刃の剣です。利上げで日米金利差が開き、円安が進みやすくなるのは、プラス材料です。ただし、利上げが加速するとみられると、世界的に株が下がるリスクもあります。

 利上げイベントを、世界の株式市場・為替市場がどう消化するか、注目しています。

 米利上げや貿易戦争のリスクが意識されるため、今週の日経平均は、上昇して始まっても、その後、上値が重くなると考えています。

 

 

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(窪田 真之)

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