破たんリスクの高い銘柄を回避する5つのポイント
トウシル / 2018年6月29日 10時13分
破たんリスクの高い銘柄を回避する5つのポイント
せっかく選んだ銘柄なのに、破たんしてしまえば一瞬にして紙くずになってしまうのが株式投資の世界。破たんリスクの高い銘柄を回避するためにはどこに注目していればよいのでしょうか?
「経営破たん」した上場企業はどうなる?
6月22日、東証1部上場の日本海洋掘削(1606)が会社更生法の適用を申請し、経営破たんしました。
経営破たんは「倒産」とも呼ばれますが、これは正式な名称ではありません。経営破たんは、主に次の3つを指します。
・会社更生法
・民事再生法
・破産
会社更生法や民事再生法は、法的手続きにより債務を大幅にカットしてもらい、事業の再建を図る際に適用されます。破産は、事業を廃止して会社自体をなくしてしまう場合に適用されます。
いずれの場合にせよ、経営破たんとなった上場企業は、「整理銘柄」に割り当てられ、一定期間(原則として1カ月)経過後、上場廃止となります。
なお、近年の経営破たんによる上場廃止企業は下記のとおりです。2008年や2009年は20社以上が経営破たんにより上場廃止になっていますから、2012年末からのアベノミクス相場は、上場廃止企業の少なさからも好景気が続いていることが感じ取れます。
会社はどうなると経営破たんするのか?
ところで、会社はどうなると経営破たんすると思いますか?赤字が続き、債務超過になると経営破たんする、と考える方が多いかもしれませんね。
でも、それは半分正しく、半分間違っています。
会社が経営破たんする理由、それは「資金繰りが悪化して借金や手形などの債務を返済できなくなる」ことです。
ですから、時には業績が黒字であっても経営破たんすることもあります。「黒字倒産」とか、「勘定合って銭足らず」という言葉もあるくらいです。
例えば、多額の売上代金が回収できないため、仕入れ代金の支払いや借入金の返済ができなくなる、というケースです。
とはいえ、やはり多くの場合は、赤字が続き、債務超過になれば銀行からの借入もできなくなりますし、取引先も現金取引のみを受け付けるなど取引条件が厳しくなります。その結果、資金繰りに窮して経営破たんするという流れが多いです。
破たんの兆候はどこに現れるのか?
では、上場企業の経営破たんの兆候はどこに現れるのでしょうか?主に次のようなものが挙げられます。
(1)連続赤字や多額の赤字
赤字が続き、多額の赤字を計上するということは、会社からキャッシュが失われていることを表しますので、資金繰りが悪化して経営破たんに至る可能性が高まります。
(2)営業キャッシュ・フローの連続マイナス
赤字続きであっても、企業によっては営業キャッシュ・フローはプラス、つまりお金は回るというケースもあります。例えば製造業は、多額の減価償却費の計上によって赤字になるものの、キャッシュ・フローはプラスになることがあります。
しかし、営業キャッシュ・フローが連続してマイナスということは、本業でキャッシュを生み出せていないことになります。会社からお金が年々流出していることを示し、資金繰り悪化の兆候となります。
(3)債務超過
赤字が何年も続いたり、多額の赤字を計上すると、会社は債務超過になることがあります。
債務超過とは、会社が持つ資産より、借金などの負債の方が多い状態です。つまり、会社の資産全てを投げ打っても、借金を返すことができないという、極めて危険な状況にあります。
債務超過になっている会社は、通常資金繰りも非常に苦しいです。そのため、経営破たんに至る可能性が高いです。
なお、債務超過の状態を1年以上解消できなかった時は、経営破たんに至らなくとも上場廃止になります。
破たんの兆候は株価にも現れる
(4)株価の動き
上記(1)~(3)に該当するような会社は、投資家としても経営破たんのリスクを意識せざるを得ません。そのため、こうした会社の株価は破たんリスクを織り込み、大きく下落していきます。経営破たん直前には株価が2桁台にまで落ち込むケースも多いです。
また、経営破たんした上場企業の、経営破たん直前の株価チャートをみると、株価が下がり続けていて下降トレンドとなっているケースが多いです。
業績が赤字でキャッシュ・フローもマイナス、さらには債務超過で株価も大きく下落・・・こうした銘柄は、経営破たんの兆候が株価に現れているといってよいでしょう。
破たんのリスクを経営者自らが示すしくみとは?
そして上記のほか、経営者自らが経営破たんのリスクを投資家に対して示すしくみがあります。それが(5)「継続企業の前提に関する疑義の注記」と呼ばれるものです。
これは、監査法人に促される形で、経営者自らが「わが社は経営破たんのリスクが他の会社より高いです」と注記することで投資家に注意喚起を行うしくみです。
日本海洋掘削の直近の決算書にも、この注記がありました。
もちろん、継続企業の前提に関する疑義の注記がされている上場企業の全てが、経営破たんに至るわけではありません。業績が回復して復活する会社も珍しくないですし、そうなれば注記の記載もなくなります。
でも、少なくとも現時点では、他の会社よりも経営破たんに至るリスクが高いことを示しているのも確かです。
投資した銘柄が経営破たんして紙くずになるのを防ぎたい、という方は、上記(1)~(4)に該当する銘柄や、(5)継続企業の前提に関する疑義の注記がある銘柄を避けて投資するのが無難です。
(足立 武志)
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