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2019年の銘柄選択:18年の下落率上位5社、上昇率上位5社を分析

トウシル / 2019年1月8日 0時0分

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2019年の銘柄選択:18年の下落率上位5社、上昇率上位5社を分析

TOPIXコア30から銘柄選択する理由

 1月7日のレポートでお伝えした通り、私は日本株に買い場が到来したと判断しています。それでは、どんな銘柄を買ったら良いのでしょうか? まずは、日本を代表する大型株から選択した方が良いと思います。これには2つの理由があります。

  1. まだ日経平均が完全に底を打ったと判断できない。これから業績の下方修正が増える可能性も。不透明な環境下では、大型株の方がディフェンシブ
  2. いつになるかまだわからないが、日経平均が底を打って反発する初期段階では、大型株を中心に買われる傾向がある。中小型株の多くは、大型株の反発が一巡してから買っても遅くないと考える

 というわけで、今日は、東証1部で時価総額が大きい「コア30」に含まれる30銘柄で、昨年2018年の株価パフォーマンスが悪かった5社と、良かった5社の投資魅力についてコメントします。

2018年のパフォーマンスが悪かった5社を抽出

 今年はどんな年になるでしょう。日経平均株価は、1~3月が安値で年末にかけて上昇すると私は予想しています。その通りになれば、2018年に下落率が大きかった銘柄が、2019年は大きく上昇する可能性があります。

 そこで、投資する候補としてまず注目されるのは、時価総額の大きいコア30銘柄のうち、昨年の下落率が大きかった5社です。

 下落率の高い銘柄に投資する場合、小型株ではなく大型株から選ぶべきです。日本を代表する大型株では、株価が大きく下がるうちに割安となり、どこかで下げ止まることが多いからです。ところが、小型株はそうとは限りません。大きく下がった小型株は、そのままずるずる下がり続けることもあります。財務に問題がある場合、構造不況に陥っている場合などです。大きく下がった小型株には、安易に手出しすべきでありません。

東証1部「コア30」:2018年の株価下落率上位5社

順位 コード 銘柄名 下落率 配当利回り
1 4502 武田薬品工業 -42.1% 4.5%
2 6752 パナソニック -39.9% 3.0%
3 6954 ファナック -38.4% 4.7%
4 8306 三菱UFJ FG -34.9% 4.0%
5 6501 日立製作所 -33.1% 2.7%
参考 ---- 日経平均株価 -12.1% ----

出所:楽天証券経済研究所が作成
注:配当利回りは、今期1株当たり年間配当金(会社予想)を1月7日株価で割って計算。上昇率は2017年末株価から2018年末株価までの変化

 

 2018年は、景気敏感株が大きく下がる中、ディフェンシブ株(世界景気の影響を受けにくい株)の値もちが良かった年でした。パナソニック、ファナック、日立製作所は、代表的な世界景気敏感株であり、世界景気が悪化する懸念で売り込まれたものです。

下落率トップの武田薬品は、巨額買収発表が嫌気された

 武田薬品は、医薬品株であり、一般的には景気変動の影響を受けにくいディフェンシブ株に分類されます。ただし、2018年は、アイルランドのシャイアー社に対し、日本円で約7兆円の大型買収を発表したことが嫌気されて、株価が大きく下落しました。買収資金を調達するために新株を発行しますが、それによる利益の希薄化が嫌気されました。一般的に大型買収では、買収コストが先行し、買収シナジーは遅れて出てきます。シャイアー社の買収もそうなりそうです。

 シャイアー社は、稀少疾患や血液製剤で高い利益を上げている会社で、同社を買収することで、武田薬品の収益基盤は長期的には堅固になると考えています。ただし、短期的に買収コストが先行することを嫌気して、売られてしまったのはやむを得なかったと思います。

 武田薬品は長期的には買い場と思いますが、短期的な株価反発は見込み難いと考えます。好配当利回り株として、じっくり長期投資していく対象と考えています。

下落率第2位パナソニックは、景気敏感株として売られた

 ソニーと並び、エレクトロニクス業界で構造改革に成功した企業として高く評価しています。競争力のある白モノ家電で高い収益を上げつつ、車載用の電池などで成長が見込めると考えています。売られ過ぎの大型株として、今後、株価の反発を期待しています。

下落率第3位のファナックは、中国関連株として売られた

 ファナックは産業用ロボット世界トップで、これからもロボット事業で成長が期待できます。また、工作機械向けの*CNC装置でも高い収益力を有します。株主還元に積極的で、配当利回りが高く、自社株買いにも積極的です。長期的には買っていいゾーンに入っていると思います。ただし、今すぐ買うのは時期尚早と思います。

 ファナックは中国関連・設備投資関連株の代表で、中国で設備投資に急ブレーキがかかっている影響を大きく受けるため、今期(2019年3月期)だけでなく、来期(2020年3月期)も減益が続く可能性があります。今後、業績がどこまで落ち込むか見極めてから投資する必要があります。

 ただし今後、米中貿易戦争が何らかの「落としどころ」に向かう期待が出る時には、中国の設備投資が盛り返すと考えられますので、真っ先に投資したい銘柄です。

* CNC装置=機械工作において工具の移動量や移動速度などをコンピューターによって制御する装置。同一手順の繰り返しや、複雑な形状の加工などの工作機械で多く採用されている)

下落率第4位の三菱UFJ FGは、低金利の長期化を嫌気して売られた

 銀行株は2018年、低金利の長期化で、国内商業銀行業務の利ざやが低下する不安から、軒並み売られました。私は、3メガ銀行(三菱UFJ FG、三井住友FG、みずほFG)については、売られ過ぎと考えています。海外収益の拡大と、ユニバーサルバンク経営(証券、信託、リースなど複合経営)によって、高収益を維持していけると判断しているからです。中でも、海外収益の拡大で先行している、三菱UFGの投資魅力が一番高いと判断しています。

下落率第5位の日立製作所は、景気敏感株として売られた

 日立製作所も、景気敏感株として下落率が高くなりました。短期的には売られ過ぎと考えています。ただし、長期的には、やや懸念される材料もあり、ソニーやパナソニックほど積極的に投資したいとは考えていません。

 日立も、事業構造改革に成功した総合電機として、高く評価されてきました。ただし最近、ビジネス・ポートフォリオにやや不安が出ています。1つは、石炭火力発電の収益性が低下していること。もう1つは、内外で原子力発電事業を行っていることです。

2018年のパフォ-マンスの良かった5社を抽出

 パフォーマンスの良かった大型株にも分散投資すべきと考えます。業績モメンタムの良好な銘柄が多いからです。

東証1部「コア30」:2018年の株価上昇率上位5社

順位 コード 銘柄名 上昇率 配当利回り
1 9022 JR東海 14.8% 0.6%
2 4452 花王 7.0% 1.5%
3 6758 ソニー 4.8% 1.8%
4 3382 セブン&アイHD 2.1% 1.9%
5 8766 東京海上HD 1.8% 4.7%

出所:楽天証券経済研究所が作成
配当利回りは、今期1株当たり年間配当金(会社予想)を1月7日株価で割って計算。下落率は2017年末株価から2018年末株価までの変化

 2018年は、ディフェンシブ株のパフォーマンスが良かった年でした。JR東海、花王、セブン&アイは代表的なディフェンシブ株です。以下、簡単にコメントします。

上昇率トップのJR東海は、最高益を更新するディフェンシブ株として評価

 新幹線の利用拡大によって、最高益更新が続いています。外国人観光客の増加、観光ブームによって、新幹線が成長事業となっています。

 JR4社は、前期(2018年3月期)にいずれも最高益を更新しましたが、今期(2019年3月期)は明暗が分かれます。西日本豪雨や地震の影響で、JR西日本、JR九州は減益となる見通しです。ただし、JR東海とJR東日本は今期も最高益を更新する見込みです。来期以降も最高益の更新が続くと予想しています。

 JR東海は長期投資対象として申し分ありませんが、短期的な株価上昇期待はありません。昨年、日経平均が下落する中で逆行高したからです。日経平均が反発する局面で、株価上昇を期待するならば、売り込まれた景気敏感株へ乗り換えた方が良いと思います。

上昇率第2位花王はアジアで成長

 花王は、中国などアジアで生活雑貨の販売が拡大し、最高益を更新しつつあります。同じ「中国関連株」でも、ファナックのような設備投資関連株は業績が悪化していますが、消費関連株である花王は業績好調を維持しています。

 株価に割安感はありませんが、ディフェンシブ株として長期投資するには適格と考えます。

上昇率第3位ソニーは、構造改革に成功して最高益更新へ

 ソニーは景気敏感株の代表でしたが、構造改革によって安定的に高収益をあげられる体質に変わってきました。ゲーム、映画、音楽などが安定収益として期待されます。半導体(画像センサー)も長期的に収益を稼いでいくと期待されます。

 来期以降の業績拡大を期待し、積極的に投資していく価値があると考えています。

上昇率第4位セブン&アイは海外で成長

 国内コンビニ事業の成長性が鈍化していることが懸念されますが、海外(米国)コンビニの成長によって、最高益を更新しつつあります。今年10月に消費増税(8%→10%)が予定されていますが、持ち帰りの食品には軽減税率が適用される見込みなので、相対的に優位と考えています。消費増税のある今年の小売りセクターのコア銘柄として、投資していく価値があると考えています。

 リスクは、百貨店(そごう西武)と、スーパーストア(イトーヨーカ堂)の構造改革がまだ道半ばであることです。百貨店は、消費増税のダメージが相対的に大きくなりそうです。

上昇率第5位東京海上HDも、海外で成長

 M&A巧者で、海外で有利な価格で巨額買収を実施し、海外収益を拡大させてきました。配当利回りが高い、海外で成長する金融株として、積極的に投資する価値があると判断しています。

 

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(窪田 真之)

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