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10連休終わりかけにトランプ・クラッシュ。忘れていた米中摩擦にマーケットはどうなる?

トウシル / 2019年5月8日 10時49分

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10連休終わりかけにトランプ・クラッシュ。忘れていた米中摩擦にマーケットはどうなる?

トランプ・クラッシュにマーケット混乱

 前代未聞の日本の10連休が終わりました。10連休中は、為替フラッシュ・クラッシュ(瞬間的に値が飛ぶ暴落)が警戒されましたが、これは起こらず、トランプ米大統領のツイッター発言の方が効きました。

 5月5日、トランプ大統領は対中国追加関税を10日(金)に10%から25%に引き上げると発言。これを受けて6日の米国株は一時400ドル超急落。ドル/円は110円台半ばに下落しました。10連休中に警戒していた為替フラッシュ・クラッシュではなく、「トランプ・クラッシュ」が起こりました。

 しかし、この発言は9日からの閣僚級米中貿易協議を前にしたトランプ流交渉戦術であり、米中協議は継続されるだろう、決裂はないだろうとの楽観的観測から米国株は引けにかけて戻し、下げ幅は66ドル安まで縮小しました。

 しかし、予断は許さない状況が続きそうです。というのは、5月3日時点ではトランプ大統領は「中国との協議は2~3週間以内に決まる可能性」と発言していて、この数日のうちに事態が急変し、交渉カードとして揺さぶりをかけているというよりも、重要事項で妥協しないという姿勢が伺えるからです。

 ライトハイザーUSTR(米国通商代表部)代表も「中国は合意内容を覆した」と批判。あの楽観的なムニューシン財務長官でさえも「協議は大きく後退した」と発言しています。この発言の元は、知的財産の保護や技術移転の強制禁止などの対立とみられています。

 今年に入ってから昨年までの悲観的な要因が好転し、株価上昇、米金利低下、ドル高と進んできました。好転した要因とは、米中貿易協議の進展、中国の景気対策による景気回復、FRB(米連邦準備制度理事会)の利下げ観測ですが、5月に入ってこれらの要因にブレーキがかかってきた状況となっています。今後、こういった要因がマーケットでの注目材料となりそうです。

4つのリスク要因を分析

 まず、FRBの利下げ観測については、5月1日のFOMC(米連邦公開市場委員会)後の記者会見でパウエルFRB議長は「弱いインフレは一時的」と発言。利下げ観測が後退し、株価は急落しました。果たしてインフレは「一時的」かどうか、今後、マーケットでは物価や賃金などのインフレ指標が一層注目され、相場のかく乱要因となりそうです。強いインフレ指標が発表されれば、利下げ期待は後退したままであり(ドル高要因)、弱いインフレ指標が続けば、利下げ観測が再び高まります(ドル安要因)。

 そして、米中貿易協議は再び波乱材料となってきました。

 中国が譲歩すれば10日の追加関税25%への引き上げは延期、または撤回されるかもしれませんが(手続き的に10日の実施は無理との見方も)、10日に関税率引き上げが実施されなくても交渉難航が予想されるため、ドル/円は上値の重たい展開が続きそうです。

 さすがに米中双方の不利益となる交渉決裂は想定しがたいですが、交渉決裂や交渉難航は回復基調にある中国景気に水を差す形となり、世界経済にとっても大きな影響が及び、再び金融市場にはネガティブな状況が起こることが予想されます。

 そのため、米中貿易協議と同時に、中国景気動向にも警戒しておく必要がありそうです。6月28~29日のG20(20カ国・地域)首脳会議開催までの米中合意は遠いかもしれません。

 米中貿易協議以外に5月23~26日の欧州議会選挙、25~28日のトランプ大統領来日も注目材料です。

 欧州議会選挙では、英国出身議員の位置付け、各国からの反EU(欧州連合)や極右勢力議員の台頭など6月に向けての波乱材料になる可能性があります。

 さらにここへきて、イタリアもリセッション(景気後退)から脱出するなど欧州景気も上向き始め、インフレも伸びが加速してきています。欧州景気に持続力があれば、欧州政局波乱の抑制要因となるため景気物価動向に注目しておく必要があります。もし、景気回復が腰折れすれば、ポピュリズムが激しくなるかもしれません。

 5月25~28日のトランプ大統領訪日時には、米中協議の進展次第では米国民にアピールするため日米協議に強硬姿勢を取る可能性があり、トランプ大統領の発言に注目する必要があります。国賓待遇で新天皇と面会することから訪日中は紳士的に振舞うと思われますが、離日後は発言に警戒しておいた方がよさそうです。

5月はドル/円の動きが活発化の気配

 また、どうやら5月のドル/円は4月よりも活発な動きになりそうな気配です。5月は政治日程が多い月だからです。ただし、最も注目される中央銀行の金融政策決委員会は、日米欧とも5月は開催されません。

 5月の注目日程は以下の通りです。

今後の主要日程(5月は日米欧とも中央銀行の金融政策委員会はなし)

日時 予定
5月8日(水) ・中国4月の貿易統計
5月9日(木) ・米国3月の貿易収支
・閣僚級米中貿易協
5月10日(金) ・トランプ大統領が対中関税を10%から25%に引き上げるとした日
5月20日(月) ・日本1~3月期GDP(国内総生産)速報値
5月23日(木)~26日(日) ・欧州議会選挙
5月25日(土)~5月28日(火) ・トランプ大統領が国賓として来日

(ハッサク)

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