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米中の関税報復合戦でダウ一時719ドル安、日経平均どうなる?

トウシル / 2019年5月14日 13時26分

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米中の関税報復合戦でダウ一時719ドル安、日経平均どうなる?

今週の予想

トランプ大統領の制裁「第4弾」の発表を受け、軟調な展開へ

 トランプ米大統領が中国に対して関税を10%→25%に引き上げを表明した5月5日以降、日米ともに株式市場は急落しました。

 さらにトランプ大統領は政策関税の対象を、中国の全輸入品に広げる「第4弾」の手続きに入ると発表。中国政府も13日、報復関税を表明。このまま米中通商協議が合意に向かうとは考えにくい状況となっています。米中ともに貿易戦争に対しては「一歩も引かない」というコメントを出しており、両政府は互いに相手を中傷する声明を出し合っています。

 先週末にNYダウは大幅反発して終わったものの、トランプ大統領が中国に対する制裁「第4弾」を発表したことで、米中貿易摩擦の激化懸念が高まり、13日は時間外での米株価先物が下落。

 13日の日経平均株価は▲164円の2万1,180円で寄り付き、一時▲216円の2万1,127円まで下落しましたが、後場の序盤にかけて下げ渋りを見せる動きとなりました。

ところが、午後2時発表の3月景気動向指数で、基調判断が6年2カ月ぶりの「悪化」となったことが相場の重しとなり、大引けにかけて▲153円の2万1,191円と、2万1,200円を割って引けました。

 トランプ大統領が制裁「第4弾」を発表したことは、矢継早に制裁措置を繰り出して、中国に構造改革を迫る狙いがあると言えます。根底は国家システムを巡る対立であり、長期化すれば今年の株価回復の期待の素である年後半の景気回復シナリオが揺らぎ、上値を買い上がる材料が乏しく、厳しい相場環境になることが想定されます。

 米国が制裁関税を発動したきっかけは、中国が突然、これまでの米中通商協議の合意文書を修正したことですが、理由として来年2020年の米国大統領選挙まで書面での合意を避け、中国寄りの民主党政権の誕生を待つという作戦だという見方が出ています。トランプ大統領はこれを阻止するため、強引な行動に出て中国に圧力を加えているのかもしれません。

 これが背景だとすれば、今週の株式市場にはリバウンドはなく、相場の勢いは強いものにはならない可能性があります。

 トランプ大統領と習近平主席の闘いで米中貿易摩擦が長期化すれば、株式市場は方向感のない動きの中で、徐々に下値を切り下げ、どこかで悪材料を織り込んで大きく下げて底打ちとなり、そこから新たな上昇がスタートするというシナリオが考えられます。
ということは株式投資にとっては、大きく下げるまで待つことが基本となります。リスクを取る人は、好業績銘柄が下がったところを短期のリバウンドで勝負するということになるでしょう。

 (今週の指標)日経平均株価

 トランプ大統領がこれまで対象外だった約3,000億ドル分にも追加関税を課す制裁第4弾の手続きに入ると発表したため、今週はこれを織り込む動きで軟調な展開が想定されます。先週のチャートからは、際どいところまで下げており、もし3月25日の2万911円を切るようなら、本格調整となります。

 (今週の指標)NYダウ平均株価

 引き続き、米中通商協議の動きが注視されます。中国は報復措置を表明、これによって米中貿易摩擦が長期化すれば世界経済に与える影響が懸念されます。チャートから見ると、3月11日の安値2万5,208ドルを終値で切ると調整が長引くことになります。

(先週の結果)

先週は、トランプ大統領の対中関税引き上げ表明で5日続落

 令和相場入りとなった日経平均は前週末比▲913円の2万1,344円と急反落しました。NYダウは、米中貿易摩擦が再燃し、6日(月)から9日(木)までは8日の小反発を除いて大幅下落が続き6日の高値2万6,476ドルから7日の安値2万5,789ドルまで下落。日経平均も連動し10連休明けの7日(火)から週末の10日(金)まで下落が続きました。ただし、10日(金)の引け後の米国市場では一時▲318ドルの2万5,469ドルまで下げたものの、米中協議の決裂が回避できたことで、とりあえず+114ドルの2万5,942ドルと反発して引けています。

7日(火):10連休明けの令和相場の初日は、米中通商交渉の合意が困難になったとの見方から、前日の米国株式の下落を受け、為替も1ドル=110円台後半の円高となったことを嫌気し、▲335円の2万1,923円と2万2,000円割れとなりました。 

8日(水):前日の米国市場でライトハイザー通商代表部が関税引き上げの実施を10日に実施すると発表したことで、先行き懸念が高まり、欧州株式全面安、NYダウは一時▲648ドルまで下落。終値は▲473ドルの2万5,965ドルとなったことで、米中通商協議への警戒感が高まり、日経平均は▲321円の2万1,602円と3日続落しました。 日経平均は「マド」を空けて下落し、200日線、25日線を割り込み、チャートは悪い形となってしまいました。

9日(木):前日の米国市場は、ほぼ変わらずの動きとなったものの、時間外取引で米株価先物が軟調となり、上海株式も続落したことで、一時▲289円の2万1,315円まで下落。終値は▲200円の2万1,402円と4日続落。

10日(金):前日の米国株式は下落したものの、直近の下げ幅が3日間で850円超となったことで、押し目買いが入り、一時+181円の2万1,584円まで上昇。前引けは+143円の2万1,546円でした。しかし、米中通商協議を前に海外勢の売りが観測されたことで、再度、マイナス圏入りとなりました。日本時間の午後1時1分に追加関税引き上げが発動されると、日経平均は▲226円の2万1,175円まで下落しましたが、その後は買い戻しの動きとなって下げ渋り▲57円の2万1,344円で引けました。この日の5月SQ(特別清算指数)値は2万1,451円と終値はSQ値を下回りしました。

 10日の日本市場の引け後の米国では、トランプ大統領の追加関税とそれに対する中国の報復措置を警戒して、午前中、一時▲358ドルの2万5,469ドルまで下落。しかし、中国は動きを見せず、トランプ大統領も協議を継続することを表明したことで、最悪の事態は回避できたとしてプラスに転じ、上げ幅を拡大して+114ドルの2万5,942ドルで引けました。CME(シカゴ・マーカンタイル取引所)は+180円の2万1,490円でした。

(出島 昇)

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