原油どうなる?配当利回り4~6%の大手総合商社は、今買って良いか?

トウシル / 2019年6月18日 7時53分

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原油どうなる?配当利回り4~6%の大手総合商社は、今買って良いか?

 大手総合商社は、「資源関連株」と言われます。世界中に、原油、LNG、石炭、鉄鉱石、銅などの天然資源権益を保有し、資源事業で高い利益を上げているからです。

 配当利回りが4~6%に達している大手総合商社は、高配当株として魅力的です。ただし、世界景気に不安が生じて原油価格が下落している今、投資して良いでしょうか? 私は、積極的に投資していく価値があると考えています。今日は、その理由を説明します。

 その前に、最近の原油価格の動きを解説します。

中東情勢緊迫でも、原油価格の反発は限定的

 中東ホルムズ海峡で13日、日本の海運会社が運航する1隻を含む2隻のタンカーが何者かに攻撃を受けて炎上しました。ホルムズ海峡は、世界の原油輸出量の約35%が通過する交通の要衝です。原油供給が不安定化する不安から、一時、ニューヨークのWTI原油先物が急騰しました。ところが、その後は上値が重くなっています。

 冷静に考えて、国際的な監視が強まる中で、ホルムズ海峡で同じような攻撃が次々と起こるとは考えられないからです。また、米シェールオイルの増産、中国景気悪化による需要減速によって、原油需給がやや緩んでいることも影響しています。

WTI原油先物(期近)の動き:2018年12月末~2019年6月14日

 

以下、2018年1月以降の原油先物の動きを解説します。

【1】2018年1~10月:上昇トレンド

 世界景気が好調であったこと、OPEC(石油輸出国機構)諸国の減産が続いていたことから、2018年は10月まで原油価格の上昇トレンドが続きました。米国がイランへの経済制裁を再開し、2018年11月からイラン産原油の禁輸を実施すると宣告していたため、11月が近づくにつれ、イラン産原油の供給減少懸念から、投機筋の買いが継続。また、トランプ米大統領が、イラン産原油の禁輸に違反する企業に重い制裁を課すことを示唆していたため、供給不足懸念が強まりました。

【2】2018年11~12月:急落

 ところが、実際に11月になると、米国は、イラン産原油禁輸の「適用除外」に、日本を含む8カ国・地域を指定しました。この発表を受けて、原油は急落。それに加え、中国景気悪化で中国需要が減速する思惑も出て、原油の下げ材料に。また、米シェールオイルの増産が続き、米国の石油在庫が増加してきたことも、売り材料となりました。

【3】2019年1~4月:反発

 米中通商交渉が近く合意に達する期待が広がり、貿易戦争で減速している世界景気も回復に向かうとの期待が出ました。それを受け、原油も買い戻されました。

【4】2019年5-6月:反落

 再び米中貿易戦争がエスカレート。世界景気が悪化する不安が強まり、原油価格は反落しました。米シェールオイルの増産が続いていることも、売り材料に。6月13日に、ホルムズ海峡でタンカーが攻撃を受けたニュースを受けて、一時的に反発しましたが、その後、上値が重くなっています。

シェールオイル増産で2014年に急落した原油は、その後反発したが上値重い

 原油需給がどう変化し、原油価格がどう動いてきたか、もっと長い年月で解説します。

WTI原油先物(期近)の動き:2014年1月2日~2019年6月14日

出所:シェールオイル生産コストは楽天証券経済研究所の推定

 原油価格は、世界の原油需給のバランス変化によって動いています。需要は年々安定して増加していますが、供給はさまざまな要因で増えたり減ったりします。その結果、原油は供給過剰や、需要過剰になって、乱高下しています。

グラフ中の<1>から<5>の動きを、以下に説明します。

<1>2014年に原油価格が急落

 2013年まで原油の世界需給は、日量50万バレルの需要過剰でしたが、2014年に日量90万バレルの供給過剰になったため、原油価格は急落しました。米国でシェールオイルの生産が拡大したことが、供給過剰を招きました。

<2>2015年後半に原油価格が再び急落

 2014年の原油急落で、米国のシェール油田でコスト割れが増加。2015年前半は、シェールオイルの生産が減る思惑から、原油が反発しました。しかし、15年後半は中東原油が増産され、供給過剰が日量2百万バレルまで拡大したために、原油価格が再び急落。高コストの米シェール油田は廃業に追い込まれたものの、低コストのシェール油田が増産したことで、シェールオイルの生産はあまり減りませんでした。

<3>2016年に原油価格が反発

 米シェールオイルの生産がようやく減り始めたこと、OPECが減産に向けて話し合いを始めたこと、世界需要が順調に拡大したことを受け、原油需給が徐々に改善に向かい、原油価格が反発。11月にOPEC+ロシアが減産で合意すると上昇に弾みがつきました。

<4>2017年後半~2018年9月まで、上昇継続

 世界景気回復で、原油需要が順調に拡大する中、OPEC+ロシアの減産が続けられたため、需給がしまり、原油価格が上昇しました。

 2018年5月8日、トランプ米大統領が、イラン核合意から離脱し、イランへの経済制裁を再開すると表明したことが、原油先物がさらに上昇する原動力に。米国は、11月までにイランからの原油輸入をやめるように一方的に宣言し、イランと取引する企業に制裁を課すことを示唆したため、イラン原油の供給減少懸念が強まりました。

<5>2018年10月以降、急落

イラン産原油禁輸の適用除外に、日本など8カ国が指定されると、原油先物は急落。中国景気減速、米シェールオイル増産も売り材料となりました。

原油の本格上昇は期待できないが、大手総合商社株には投資妙味を感じる

 資源掘削技術の革新によって原油などの資源を安く大量に生産する技術は、年々進歩しています。資源価格が2000~2007年のように一本調子で上昇していくことはもうないと考えています。そうした不安を反映し、大手総合商社などの資源関連株は、総じてPER(株価収益率)などのバリュエーションで、割安となっています。

 私は、資源ビジネスにほぼ特化しているピュアな資源株は、収益が不安定なので、評価しません。具体的には、国際石油開発帝石(1605)、石油資源開発(1662)には、投資したいと思いません。

 ただし、資源ビジネスで稼ぎながら、非資源ビジネスの収益を伸ばし、最高益を更新してきている大手総合商社には、積極的に投資したいと思います。伊藤忠商事(8001)、丸紅(8002)、三菱商事(8058)、住友商事(8053)は2019年3月期の連結純利益で、最高益を更新しました。三井物産(8031)はわずかに最高益に届きませんでしたが、2020年3月期の純利益(会社予想)では最高益更新が見込まれます。

 5社とも、PER、PBR(株価純資産倍率)が低く、予想配当利回りは4%超。株価バリュエーションから非常に割安と考えています。

大手総合商社5社の株価バリュエーション:2019年6月17日時点

コード 銘柄名 株価 PER PBR 配当利回り
8058 三菱商事 2,877.0 7.5 0.8 4.3%
8031 三井物産 1,750.0 6.7 0.7 4.6%
8001 伊藤忠商事 2,022.5 6.0 1.0 4.2%
8002 丸紅 714.1 5.1 0.6 4.9%
8053 住友商事 1,601.5 5.8 0.7 5.6%

出所:楽天証券経済研究所が作成。単位は、株価は円、PERとPBRは倍。PERおよび配当利回りは、2020年3月期の1株当たり利益および配当金(会社予想)から計算。

 ただし、1つ注意点があります。商社ばかりに集中投資すべきではありません。「同じバスケットにすべての卵を入れるな」という投資格言があります。単一のリスクを取りすぎないよう、分散投資せよという意味です。

 大手総合商社は、魅力的な投資対象であると考えますが、世界景気敏感株で、株価のボラティリティ(変動性)が大きいことを考えると、あくまでも分散投資の一環として、保有すべきと考えます。

 

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(窪田 真之)

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