米国の長短金利逆転は景気後退の兆し?じりじり進む円高。どうなる日本株?
トウシル / 2019年6月24日 7時53分
米国の長短金利逆転は景気後退の兆し?じりじり進む円高。どうなる日本株?
NYダウが最高値に迫る中、先週の日経平均は小幅高
先週の日経平均は1週間で141円上昇し、2万1,258円となりました。あいかわらず、米国株は強いが日本株は上値の重い展開が続いています。先週は、NYダウが1週間で629ドル上昇し、2万6,719ドルとなり、昨年10月3日につけた史上最高値(2万6,828ドル)に接近。S&P500(米国の主要500社で構成される株価指数)は、先週、過去最高値を更新しました。
日経平均・NYダウ・上海総合株価指数の年初来の動き比較:2017年末~2019年6月21日
19日に発表されたFOMC(米連邦公開市場委員会)声明文で、「年内の米利下げ」が明確に示唆されたため、ドル金利が一段と低下しました。金利低下を好感して、米国株は上昇しました。
ただし、ドル金利の先安感が広がったため、為替市場ではドル安(円高)が進みました。19日には、一時1ドル107円を割れました。NY株の上昇は日本株にとっても好材料ですが、円高の進行が悪材料となり、日本株の上値は抑えられました。
期待を背景にNYダウが堅調に推移し、日経平均や上海総合株価指数も小幅に上昇。ただし、米中貿易戦争が長期化する不安が続いており、上値は重いままです。
ドル円為替レートの動き:2018年初~2019年6月21日
「長短金利逆転」継続、先行きの利下げを織り込み済み
FF金利(政策金利・短期金利)と長期金利の足元の水準を見ると、2006~2007年と同様、長短金利逆転(短期金利が長期金利よりも高いこと)が起こっています。6月19日のFOMCでは、利下げ(FF金利誘導水準の引き下げ)は見送られましたので、長短金利逆転が放置されたままです。
米政策金利(FF金利)および長期金利(10年国債利回り)推移:2004年1月~2019年6月(21日まで)
長短金利逆転は、「先行きの景気悪化・利下げ」を示唆していると言われることがあります。実際2006~2007年に長短金利が逆転した時は、まだ米景気が好調でしたが、その後、08年にリーマンショックが起こり、長短金利とも急低下しました。
2019年になって「長短金利逆転」が起こったときも、当初は、「米景気悪化」の兆しととらえられ、NYダウが売られる要因となりました。
ただし最近は、長短金利逆転をそのように悲観的に見る向きは減りました。FRBは2018年に4回利上げしましたが、それが政策ミスだったと考えられています。米コア・インフレ率が2%前後に留まっている中で、FF金利を無理に引き上げ過ぎたため、長短金利逆転が起こったと見られています。
米コア・インフレ率および平均賃金上昇率の推移:2011年1月~2019年5月
FRB(米連邦準備制度理事会)が利下げするのは、7月30~31日のFOMCになる可能性が高いと思います。ただし、1回利下げしただけでは、長短金利逆転は解消されません。FRBが示唆したのは「年内1回」の利下げですが、長短金利逆転を解消するためには、年内2~3回の利下げが必要な状況です。
米長短金利(10年・2年・3ヶ月金利)の推移:2018年1月2日~2019年6月21日
目先、日本株は二番底を模索後、年末にかけて上昇トレンドに入るとの予想を継続
結論は、毎回述べていることと変わりません。日本株は長期的に買い場と見ています。ただし、貿易戦争や円高を嫌気して短期的に下げる可能性はあります。日経平均はチャートで見ると、現在、まさに二番底を模索している最中と見えます。
日経平均週足:2018年1月4日~2019年6月21日
より安いところで買った方が長期的なリターンは高くなりますが、いつ、どの水準で日経平均が二番底を付けて、反転上昇するか予想するのは困難です。割安な好配当利回り株や日経平均インデックスファンドに、時間分散しながらコツコツ投資していくことが、長期的な資産形成に効果を発揮すると判断しています。
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(窪田 真之)
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