株式投資の重要ポイント「売買高」。売買高で分かる銘柄の特徴とは
トウシル / 2019年7月25日 9時24分
株式投資の重要ポイント「売買高」。売買高で分かる銘柄の特徴とは
株式投資の銘柄選択で気を付けたいポイントの1つが「売買高」。軽視されているようですが、結構重要な要素です。
皆さんは、銘柄選択をするとき、売買高を意識していますか?
売買高とは、実際に売り買いが成立した株数のことです。1日の売買高が10万株であれば、その日に合計で10万株を買った人と10万株を売った人が存在することになります。「売買高」は「出来高」と言われます。
意味は分かっているという人も、銘柄選択のとき気にしていないようですが、実はこの売買高がかなり重要な要素になります。ポイントは「流動性」です。
売買高と流動性との密接な関係
流動性とは、買いたいときにすぐ買うことができる、売りたいときにすぐ売ることができるという「売買のしやすさ」とか「換金のしやすさ」のことです。
例えば不動産であれば、買いたい、売りたいと思ってもすぐには成立しません。かなりの時間を要することとなります。
でも上場株式であれば、証券取引所が開いている時間に注文を出せば、すぐに売買できます。
したがって、上場株式は流動性がかなり高いというメリットがあります。
ただし、上場株式の中でも、流動性が高いものと低いものがあります。それを表すのが「売買高」なのです。
売買高が多ければ多いほど流動性が高く、少ないほど流動性が低いということになります。
流動性リスクとは何か?
例えば、1日の売買高が1,000万株あるA社株と、1,000株しかないB社株があります。A社、B社とも、今の株価は1,000円です。
・A社は売買高が非常に多く、売買の注文もたくさん入っています。
成行で買い注文を出せば1,000円か1,001円で買え、成行で売り注文を出しても1,000円か999円で売れるはずです。
・B社は、売買の注文はあまり入っていません。
成行で買い注文を出すと1,050円で買えてしまったり、成行で売り注文を出すと950円でないと売れなかったりします。
もしかしたら、売買の注文自体が入っておらず、買いたくても買えない、売りたくても売れない…という可能性すらあります。
このように、今ついている株価に近い株価で売買できない、場合によっては売買自体ができない可能性が「流動性リスク」です。
売買高が少ない銘柄のメリットとリスク
売買高が少ない銘柄の多くは、他の銘柄に比べ、PER(株価収益率)や配当利回りといった株価の割高割安度を測る指標から見て割安になっていることが多いです。
なぜかと言えば、「流動性リスク」が株価に織り込まれているからです。
売買高が少ない銘柄を買ってはいけないといっているわけではありません。流動性リスクに目をつぶることができるのであれば、他の銘柄より割安な銘柄を手に入れることが可能です。
ただ、個人的には売買高が少なすぎる銘柄はそもそも株価も上昇しにくいと思っています。それは外国人投資家や機関投資家、投資信託のファンドマネージャーなど、多額の資金を扱う投資家にとって投資対象になりにくいからです。
売買高が少ない銘柄は少量の売買でも株価が大きく動く上、注文自体も少ないのでまとまった金額を投資するのが困難です。その結果、多額の資金を扱う投資家は売買高が少ない銘柄については、いくら割安や業績が好調だったとしても、投資対象にすることができないのです。
売買高・筆者の判断基準とは?
このようなことから、筆者は銘柄選択をする際に売買高を見る一定の基準を設けています。それにより、流動性が低いと判断し、投資対象から外しています。
その基準とは、「自分が売買したい株数の100倍の売買高がコンスタントにあるかどうか」です。
例えばC社株を1,000株程度買いたい、と思ったとき、売買高をチェックして1日当たり最低でも1,000株×100倍=10万株の売買がなければ、投資対象から外すというものです。
売買高が10万株程度では、それほど売買注文が入っていないため、成行注文を出すと今ついている株価から少し離れた価格で売買が成立することも少なくありません。ですからこれは最低限満たすべき基準です。
また、信用取引をする場合は、現物取引で売買する場合よりも機動的な売買が求められます。そのため、売買高の基準をさらに厳しくし、売買高が大きい銘柄を投資対象とするのがリスク管理の面からは望ましいです。
銘柄選択で最も重視すべきは業績であることは間違いありませんが、流動性リスクという追加的なリスクを抑えるために、売買高もしっかりとチェックするようにしてくださいね。
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(足立 武志)
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