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老後2,000万円問題!みんな準備してる?:楽天DI 2019年7月

トウシル / 2019年8月9日 9時1分

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老後2,000万円問題!みんな準備してる?:楽天DI 2019年7月

はじめに

 今回のアンケート調査は7月29日(月)~7月31日(水)の期間で行われました。

 2019年7月末の日経平均終値は2万1,521円となりました。前月末の終値(2万1,275円)比では246円高、月足ベースでも2カ月連続の上昇でした。

 あらためて7月の相場を振り返ってみますと、月初の日経平均は株価水準を一段切り上げて、2万1,500円台を上抜けるスタートとなりました。前月末に開催されたG20(主要20カ国・地域)大阪サミットに合わせて行われた米中首脳会談を経て、米中関係のさらなる悪化がひとまず回避されたことや、FRBをはじめとする各国中銀のハト派スタンスなどが相場を支える格好となりました。

 ただし、米中摩擦は改善に向かったわけはないほか、日米の企業決算発表シーズンを控えていたこともあり、積極的に上値を追う展開にはなりませんでした。また、月の半ばには突如として株価が大きく下振れた後に回復するなど、不安定な一面を覗かせる場面もありました。

 それでも、企業決算に対する反応も冴えないものが多かった割には相場全体が崩れることはなく、注目のFOMC(米連邦公開市場委員会)を通過した後も2万1,500円台を維持しており、全体的には堅調だったと言えます。

 そのような中で行われた今回のアンケートは5,000名を超える方からの回答を頂きました。株式・為替の見通しDIは、数値自体は前回調査と比べて改善に向かう結果だったものの、依然として先行き不透明感に対する不安が根強く残っている印象となっています。

 次回も是非、本アンケートにご協力お願いいたします。

日経平均株価の見通し

楽天証券経済研究所 シニアマーケットアナリスト 土信田 雅之

DI改善も根強い先行き不安

 今回調査における日経平均の見通しDIですが、1カ月先がマイナス22.35、3カ月先はマイナス24.70という結果となりました。前回調査の結果がそれぞれマイナス28.55とマイナス32.30でしたので、わずかに改善したことになります。

 とはいえ、DIの水準自体は低迷している状況が続いています。3カ月先DIについては、昨年10月調査以来のマイナス記録を更新し、10カ月連続まで延ばしています。さらに、回答の内訳を示した円グラフを見ても、そのほとんどが弱気派と中立派で占められており、両者を合わせた勢力は1カ月先で9割近く、3カ月先でも8割以上にもなっています。

出所:楽天DIのデータより楽天証券経済研究所作成

 

出所:楽天DIのデータより楽天証券経済研究所作成

 

 もっとも、今回のアンケート実施期間(7月29日~31日)が、FOMCや米中閣僚級協議などといった、イベントによる様子見ムードが強かったことも影響し、買いを手控えさせた面もありそうですが、それでも日経平均の水準は2万1,500円台を維持するなど、株価の値動きが落ち着いていたことを踏まえると、強気派がなかなか増えないという状況は、先行き不安の根強さを感じさせる印象になっています。

 結果的にこうした不安が的中する格好になってしまいましたが、今回のアンケート調査が終了したタイミングで、トランプ米大統領が対中制裁関税「第4弾」の実施について言及しました。具体的には、9月1日から3,000億ドル相当の品目に対して10%の制裁関税を掛けるという内容なのですが、これを受けた国内外の株式市場は軟調に傾きました。8月相場の日経平均は2万1,000円台割れの展開を見せてスタートしています。

 とはいえ、今回の制裁関税第4弾の発表は、FOMC直後であることや中国の北戴河会議など、タイミングとしてはかなり意図的なものが感じられる一方で、トランプ米大統領は「協議を続ける」姿勢も示しています。また、制裁関税対象の拡大は、それだけ中国以外からの代替輸入が難しい品目が増えることになり、米国経済への悪影響は避けられないことも予想されます。

 さらに、今回の制裁関税の発表によってFRBが次回のFOMCで利下げに動かざるを得なくなるのではという見方も浮上しており、金融相場が継続する可能性があります。そのため、制裁関税が予定通りに実施されるのかは現時点で不透明要素が多く、9月1日の制裁発動以降の不安を先取りしていくのは難しいと思われます。

 ある程度株価が下がったところで反発ねらいの買いが入り、値を戻す展開もありそうですが、DIの結果が示す通り、積極的に上値を追う展開になるにはまだ時間が掛かるのかもしれません。

今月の質問「老後2,000万円問題」

楽天証券経済研究所 根岸 美知代

 金融審議会の市場ワーキング・グループがまとめた「高齢社会における資産形成・管理」と題する報告書(6月3日付)で話題になった老後のお金問題、みなさんはどう考えているのでしょうか。

 [今月の質問1] 65歳以降の備えとして、公的年金以外にいくらくらい必要だと思いますか?

出所:楽天DIのデータより楽天証券経済研究所作成

 ご回答いただいた約65%の方が「2,000万円」以上必要だと思っていることがわかりました。年代別に見ると、どの年代も「2,000万円」以上必要と思っている人が多いことがわかります。

出所:楽天DIのデータより楽天証券経済研究所作成

[今月の質問2]  65歳以降の資金計画(収入・支出)について考えはじめたのは、何歳くらいですか?

出所:楽天DIのデータより楽天証券経済研究所作成

 40代からという方が最も多く、続いて50代、30代となります。ご回答いただいたみなさんの意識の高さがわかります。 

【今月の質問3】65歳以降の備えとして、公的年金以外の対策をしていますか?(複数回答可)

出所:楽天DIのデータより楽天証券経済研究所作成
出所:日本銀行

 日銀の統計では日本の家計の大部分が預貯金に眠っていますが、アンケートにご回答いただいたみなさんはより積極的に投資運用に取り組んでいらっしゃることがわかりました。5位の「iDeCo(個人型確定拠出年金)」は税制メリットを受けながら備えていくことができ良いと思います。 少数派ですが、「その他」には、「スワップポイント」「節約」「宝くじ」などがありました。 

【今月の質問4】65歳以降のお金について、コメントがありましたらお願いします。(50字以内)

 たくさんのコメントをありがとうございます。 一部となってしまいますが、ご紹介いたします。

 圧倒的に多かった「年金だけで生活はできないってことは前から言われていたじゃないですか!」というコメント:

・何をいまさら騒いでいるのか分からない。言われないでもわかるだろ。(20代男性)
・以前から年金だけでは不足すると言われていたのにメディアはアホなんだと思う。(30代男性)
・前から言われてたことなのに今更騒ぐのが意味不明。ねんきん定期便見てないの?って思う。(40代女性)
・みんな、騒ぎ過ぎの感がある。前々から、公的年金で生活できないことはわかっていたはず。(50代男性)
・これまで言われていたことなので、目新しさはない。選挙用に騒いだだけ。(60代男性)
・年金だけでは老後を過ごせない事は誰でも知っているはず。苦しくとも貯蓄をすべき。(70代男性)

お金の教育についてのコメント:

・個人での備え、お金を守る知識が必要。教育に積極的に取り入れていくべき。(20代男性)
・親の遺産をアテにする時代は終わった。日本国民はお金に関する知識がなさすぎる。義務教育で経済教育を。(30代女性)
・日本の金融教育が遅れていることに危機感を感じます。(40代男性)
・少子高齢化で年金に頼れない日本に生まれたからには、子供の頃から財産形成の知識を持たせるべき。(50代女性)
・金融・投資知識の格差が資産の格差に直結しており、第4の矢として全世代への金融・投資教育の充実が必要。(60代男性)
・年金だけで生活はできない。これを年金積立の最初から啓蒙した上で投資教育を行うべき。(70代男性)

切実なコメント:

・自分が65歳を迎える頃には年金は貰えない、もしくは70~75歳からしか受け取れないと想定している。(20代女性)
・65歳以降もそうだが、今のお金も何とかしたいという気持ちです。(30代男性)
・つい10年前までは、年金で生活していける、と教わっていた1970世代は、何もかも犠牲になっている。(40代女性)
・貯蓄なんて子供の教育費でたいてい無くなる。(50代男性)
・若い頃年金を納めれば年をとっても大丈夫と言われて払ってきたけどやっぱりウソだったかと思った。(60代女性)
・今現在で50000円/月不足している(70代男性)
・少しの蓄えは有るものの、病気や災害に遭うと不安がある。(80歳以上男性)

考え方次第で見方が変わるコメント:

・女性が社会進出して働くようになったのと同じように、60代70代80代が働くようになると思う。(20代男性)
・年金は信用出来ない。貰えたらラッキーと考え長期的な資産運用に励みたい。(20代男性)
・人口の年齢分布が崩れている今、年金制度を一度清算し、新たな所得の再分配の方法を検討すべきでは。(30代男性)
・先のことはわからないが、国を頼るより自分で稼ぐ力をもっとつけたい。(30代男性)
・元気な人は働いて、得たお金を元気に使う 日本はお金をぐるぐるさせないとだめ(40代男性)
・備えるのもいいが、人生において充実した時間を送ることも大事だ。価値があるところに使いたい。(40代男性)
・金をたくさん貯める人生より、金をたくさん使う人生の方が楽しい(50代男性)
・年金だけの生活なんてつまらない。働いて苦労する方を選びたい。(50代男性)
・日本には住まない。(60代男性)
・老いていくことは未知との遭遇、悲しきかな先立つものは金!株の売買が上達して少しでも資産を増やしていく。(60代女性)
・国がしっかりしていないので、自分の身は自分で守るしかないですネ!!お互い頑張って生きていきましょう。(70代男性)
・なるようになるさの考えです。(70代女性)
・上を見れば切りがない、下を見れば切りがない。人それぞれの立ち位置で人生をなんとか送れるものです。(80歳以上男性)
・毎月年金以外に10万円程度の副収入(例えば家賃とか)が入る方策を60歳までに実行するべき。(80歳以上男性)

今回もたくさんのご意見をありがとうございました。

為替DI:時代は「ドル高」、「円高」、「クロス円安」

楽天証券FXディーリング部 荒地 潤

 楽天DIとは、ドル円、ユーロ円、豪ドル円それぞれの、今後1ヵ月の相場見通しを指数化したものです。DIがプラスの時は「円の先安」見通し、マイナスの時は「円の先高」見通しを意味します。プラス幅(マイナス幅)が大きいほど、円安(円高)見通しが強まっていることを示しています[図1]。

[図1]​DIの推移:2018年8月~2019年7月

「8月のドル/円は円安、円高のどちらへ動くと思いますか?」という質問に対して、7月末の水準(108.80円)に比べて「円高」になるという予想が最も多く、回答数全体(5,048名)のうちの約42.5%(2,152名)を占めました。反対に最も少なかったのは「円安」予想で約22.5%(1,136名)。残りの約35%(1,760名)は「動かない(わからない)」という回答でした [図-2]。

出所:楽天DIのデータより楽天証券経済研究所作成

ドル/円のDIは、円安・円高の判断の分岐点の0を3ヵ月連続で下回る▲20.13で、投資家の円高見通しが依然強いことを示しています。ただしマイナス幅は前月より19.6ポイント減っています。

またユーロ/円のDIは▲25.91(前回▲30.61)、豪ドル/円のDIは▲14.05(前回▲25.45)で、いずれも分岐点の0を下回り円高見通しが優勢となっています。[図-3、4]

出所:楽天DIのデータより楽天証券経済研究所作成

ただ、ここでお断りしなくてはいけないのは、今回のアンケートは締め切りが7月29日で、FOMC(米連邦公開市場委員会)の利下げも、トランプ大統領が突如発表した対中追加関税も、さらに米7月雇用統計の結果も含まれていません。アンケート終了後の相場の大きな動きを考えると、現在のDIはさらにマイナスに傾いている可能性が高いでしょう。

出所:楽天DIのデータより楽天証券経済研究所作成

 

 投資家の相場観に米中貿易戦争の急激悪化というファクターが含まれていないとして、それでもDIがマイナスだったのは、FRB利下げによる日米金利差縮小で円高を予想したのだと思います。ただし、FOMC後のマーケットは反対方向に動きました。ドル/円は109.31円まで円安が進み、7月の高値をつけています。

 なぜかというと、FOMCの決定については、米経済データは悪くないのに「利下げする必要あるのか」という意見が根強く存在していたこともあり、利下げは「今回やっておしまい」というのがマーケットの判断だったからです。金利差は縮まったとはいえ、ドルの金利的優位性は今後も継続するわけだから、ドル買いが正解だということになったのです。もっともこの時点では、まさかトランプ大統領があんなツイートをするとは誰も想像もしていなかったでしょう。

 米中貿易摩擦が一気に悪化するなか、「利下げはもうないだろう」と言っていたマーケットの変わり身は素早く、すでに9月利下げを100%以上織り込んでいます。つまり今年中にあと2回の利下げもあり得ると意見を変えたわけです。もしこの時点でアンケートを取ったならDIは大幅に円高方向に傾いているかもしれません。

 とはいえ冷静になって考えてみると、世界が景気後退に陥ったとき、どの通貨を選ぶべきかと問われたら、それはユーロでもポンドでも新興国通貨でもなく、やっぱりドルしなかない、という結論に落ち着くのではないでしょうか。

 ただし、円に関していえば、セーブヘブンの円買いのイメージが強く、また日銀の長期間にわたる異次元緩和政策のおかげで他の中央銀行に比べ利下げ余地が限られていることもあって、円高に動く条件が整っています。

 8月の相場は、「ドル高」、「円高」、そして、その結果引き起こされる「クロス円下落」になると考えます。

今後、投資してみたい金融商品・今後、投資してみたい国(地域)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト 吉田 哲

 今回は、毎月実施している設問「今後、投資してみたい金融商品」で、「国内株式」、「外国株式」と回答したお客様の割合に注目します。

 当該設問は複数回答可で、選択肢は、国内株式、外国株式、投資信託、ETF、REIT、国内債券、海外債券、FX(外国為替証拠金取引)、金やプラチナ地金、金先物取引、原油先物取引、その他の商品先物、特になしの13個です。

 文末の表でも示しているとおり、「国内株式」と「外国株式」は、13個の中でも選択する人の割合が高い選択肢です。7月の調査では、「国内株式」を選択した人の割合は13個中1位(50.3%)、「外国株式」を選択した人の割合は2位(42.1%)でした。

 以下のグラフは、設問「今後、投資してみたい金融商品」で、「国内株式」、「外国株式」を選択した人の割合の推移を示しています。

図:設問「今後、投資してみたい金融商品」で、「国内株式」、「外国株式」を選択した人の割合 (2009年1月~2019年7月)

出所:楽天DIのデータをもとに筆者作成

 2018年後半まで、「国内株式」と回答した人の割合は低くても60%、「外国株式」と回答した人の割合は高くても35%、という傾向がありましたが、現在はそれを超えた動きになっています。先述の通り、2019年7月時点で「国内株式」は50.3%、「外国株式」は42.1%です。

 2016年に起きた2つの出来事(同年6月の英国のEU離脱の是非を問う国民投票、および11月の米大統領選挙)を機に、「国内株式」は低下、「外国株式」は上昇する傾向が鮮明になりました。

「国内株式」は、英国の国民投票の選挙の結果に不安を抱く人が増え、投資を手控えるムードが強まったことで大きく低下。さらに、日本にはない強いリーダーシップを発揮するトランプ氏が大統領になり、同大統領の減税策、利下げ圧力策などで米国の株価が徐々に上昇したため、お客様の投資志向が「国内株式」から「外国株式」にシフトしたと考えられます。

 一方、日本は強いリーダーの不在、米国ほど強い景気対策を打ち出せない状況にあるため、その日本の企業の株である「国内株式」に注目する人の割合が徐々に低下したと考えられます。

 足元、米中貿易戦争が激化の一途をたどっているため、以前ほど米国株式の上昇傾向は鮮明ではなくなったものの、状況が落ち着き、利下げなどを背景に再び上昇基調となり「国内株式」から「外国株式」へのシフトが進めば、近い将来「国内株式」・「外国株式」を回答した人の割合が逆転する可能性があると筆者は考えています。

 引き続き、設問「今後、投資してみたい金融商品」で、「国内株式」・「外国株式」と回答した人の割合に注目していきたいと思います。

表:今後、投資してみたい金融商品 2019年7月調査時点 (複数回答可)
※2018年12月より一部、選択肢を変更しています。

出所:楽天DIのデータより筆者作成

表:今後、投資してみたい国(地域) 2019年7月調査時点 (複数回答可)

出所:楽天DIのデータより筆者作成

執筆者の連載

●シニアマーケットアナリスト 土信田 雅之 「テクニカル風林火山

●FXディーリング部 荒地 潤 「毎ヨミ!為替Walker

●コモディティアナリスト 吉田 哲 「週刊コモディティマーケット

(楽天証券経済研究所)

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